日々さまざまな投稿が老若男女からなされ、時には物議も醸すX(旧ツイッター)。そんなX上で日本人に大人気の食事メニューが話題となったのは5月4日のことである。
WEBライターが語る。
「焼肉店に関する投稿が230万閲覧数と注目を集めたんです。投稿者の知人の焼肉店経営者が、店を暗くしたところ大繁盛。大盛り上がりしているといった趣旨の投稿です」
実際にXへと投稿された内容は、
《知り合いが焼肉屋をはじめたものの、思ったように売上があがらなかった時期があり、彼の友人の著名飲食店経営者にアドバイスを求めたら「店が明るいから、もう少し暗くしろ」といわれたらしい。いま繁盛店になってるわ。こんなアドバイス、コンサルでは絶対に出ないわ。マジで神っとる。》
というもの。
投稿内容を読むと、飲食業を行なう者に対してアドバイスを送るコンサルタントを批判しつつ、実際に飲食店を経営している立場の人からのアドバイスのほうが役に立つと言いたいようにも読み取れる。この投稿のリプライ欄には、
《作り話感が凄ぉいw》
《焼肉なら暗いほうが美味しくみえるかな》
《客として暗いお店に入るのはちょっと抵抗ある》
と、さまざまな意見が寄せられたのだ。
そこで弊サイトでは、このX上の投稿で厳しく言われているコンサルタントの一人に直撃した。取材に応じたのは、飲食業界などの小売・サービス業界に詳しい経営コンサルタントの岩崎剛幸氏だ。
「一般論からお話ししますと、お店は明るいほうが良いです。理由は明るいお店のほうへと人が集まるのが、繁盛店の原則だからです。お店が暗いと怖い、不安と感じて入りにくいと思う人も多い。さまざまな客層のお客さんを呼び込もうと思ったらお店を明るくして、開放型の店舗作りをしたほうがいいですね」(岩崎氏)
となると、やはり話題となったポストの投稿者による投稿内容は間違いということなのだろうか。その点を岩崎氏に聞いてみると、
「立地やターゲットによって飲食店の店作りは異なります」(前同)
というのだ。
■コンサルタントが話す「焼肉店は暗いほうが良いワケ」
立地やターゲットによって店舗作りが異なるとはどういうことか。
「たとえば、地方のロードサイドにあるような郊外型の焼肉店。こういったお店はさまざまな年齢層のお客さんが来ますから、店内を明るくしたほうが絶対にいいです」(前出の岩崎氏)
しかし、その条件に当てはまらないような焼肉店もあるという。
「東京の赤坂や六本木といった、いわゆるデートスポットや会社員が接待として使用するようなお店です。こうしたお店は明るくしたら絶対にダメです」(前同)
なぜなのだろうか。
「暗いお店で個室が多いと長時間の滞在がしやすくなります。となると、来店するお客さんの客単価も高くなる。1人当たりの予算が、お酒も込みで7000円〜8000円のお店でしょう。立地次第ではありますが、都心の大商圏で繁盛する焼肉店を作ろうと思ったら、暗くて個室が多いお店のほうがいいのです」(同)
また、暗い焼肉店にはメリットがあると岩崎氏は話す。
「焼肉店で蛍光灯などを使うと肉の色がよく分かりますよね。実際に鮮度が悪いかは別として、少し色が悪いと“肉の質が悪そうだ”と勘ぐるお客さんもいるでしょう。店内を暗くしたのは、それが理由ではありませんが、変な勘ぐりを防ぐ意味合いはあるかもしれません」(同)
そう話したうえで岩崎氏はこう結論づける。
「投稿者の方が紹介されたお店がどのような立地の店かは分かりませんが、立地などの前提条件を抜きにして“暗い焼肉店のほうが儲かる”という投稿は"言われてみれば確かに!”という気づきを与えてくれた投稿ともなり、注目されたのではないでしょうか」(同)
やはり、バズるポストには理由があるということのようだ。出店場所によっては焼肉店は暗くしたほうが、お客さんで“ギュウギュウ”詰めになるようだ。