97歳でもメイク 高齢者に『美』を届ける「介護美容」 どんな効果が?

メイクにエステ、ネイルなどなど若いころには興味深々だったのに年をとるにつれ、だんだんと美容に関心が薄れることも多いとか。
高齢者を専門に『美』を届ける『介護美容』を始めた女性が島根県出雲市にいます。

まだまだ山陰では知られていない介護美容ですが、人生100年時代のいま、急速に注目を集めています。

出雲市にある高齢者住宅。
この日はラウンジに入居者の皆さんが集まって、手に何やら塗りこんでいます。

一体これが何なのかというと…

ippo 坂井百恵さん
「きょうは介護美容っていうサービスでハンドトリートメントを行っておりました。」

介護美容とは、高齢者や、介護が必要な方へ、化粧やスキンケアなどを行い、肌に触れることで、心や身体の健康を促す美容療法のことです。

こうしたサービスを提供する「ビューティータッチセラピスト」として活動を始めた坂井百恵さん。

もともと作業療法士としてデイサービスなどで働いてきましたが…

ippo 坂井百恵さん
「ご高齢の方とか障害のある方を見ていく中でどうしても同じような日々の重なりになってしまって、楽しみがなくなってひきこもり生活になってしまったりとか、おしゃれを諦めてしまったりとか数多く見てきたので、何かサポートできないかなというとこで」

もともと美容にも興味のあった坂井さんは、こうした方々に『美』を届けることで喜んでもらいたいと介護美容の道へと入りました。

この日はハンドトリートメントのほかにもメイクも実演してくれました。
入居者の1人が挑戦です。

入居者の女性
「97歳といくらです」

100歳目前ですがまだまだ元気なおばあちゃん、プロにメイクの手ほどきを受けるのは人生初めてだそうです。

坂井さん
「はい、つけていきますよ」

顔のマッサージから始まり、楽しそうにおしゃべりしながらメイクへと移っていきます

坂井さん
「好きな色は?」
入居者の女性
「好きな色たって茶色ってわけにはいかないわね、こういう派手なのはやめます。どれがいいかな」
坂井さん
「どれがいいでしょう、こうやって考えるのも頭使いますからね」
「そう!そうそうそう上手!」

ただメイクを施すのではなく、一緒にやっていくのが坂井さんスタイル。
「いつかは自分でできるようになってもらいたい」
そんな思いが込められています。

坂井さん
「はい、お疲れさまでした。」

本人の希望でナチュラルな仕上がりになりましたが、表情まで華やかになったようです。

メイクやエステなどの細かい作業をすることで、身体機能の低下を防ぐといった
面もありますが、見た目がきれいになることで何より前向きな気持ちになれることが、介護美容の最大の魅力です。

ippo 坂井百恵さん
「ご本人さんが喜ばれるのはもちろんなんですけど見てる家族とかスタッフの方がすごく喜んでくださって、出雲だけじゃなくて松江とかでも広めていって島根全体が平均寿命じゃなくて健康寿命が、みんなが健康になれるように笑顔になれるようにを目指しています」

人生100年時代のいま、全国で急激に広がりを見せている介護美容。
サービスを利用してみるのもいいかもしれません。

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