飯豊まりえ「自分のお芝居を試していいと思えた」座長・吉田羊の姿勢に勇気づけられ『ハムレットQ1』オフィーリア役に挑戦

飯豊まりえさんが、2度目となる本格的な舞台挑戦について、率直な心境と意気込みを語りました。

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モデルとして活躍し、2012年の俳優デビュー以降は、映画『くれなずめ』、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ)、『岸辺露伴は動かない』シリーズ(NHK)など、数々の作品に出演している飯豊さん。

このたび、吉田羊さんの主演舞台『ハムレットQ1』で、ハムレットの恋人・オフィーリア役に挑みます。

シェイクスピアの四大悲劇の1つである本作。『ハムレット』には3種類の原本があり、Q1はそのなかで発行年がもっとも古く、現在普及しているハムレット戯曲に比べ約半分の行数で構成。そのぶん、凝縮されたドラマが疾走感をともなって展開されていきます。

そんな古典名作に出演する飯豊さんにインタビュー。稽古を通じて感じたことや吉田さんの印象のほか、美と健康の秘訣、最近好きなものなどを聞きました。

『ハムレット』は現代に通じる“すれ違いドラマ”の原点

――本作への出演が決まった際、どんな気持ちでしたか?

私は、舞台経験は少ないのですが、演出が森新太郎さんで、吉田羊さんがハムレットを演じられると聞いて、とても面白そうだなと好奇心が掻き立てられ、「挑戦してみたい!」と思いました。

シェイクスピアの作品で、私が最初に知ったお話が『ハムレット』だったこともあり、大きなご縁を感じました。いつかシェイクスピア作品をやってみたいと思っていましたが、まさか自分が出られるとは想像もしていなかったので驚きました。

――『ハムレット』への印象を聞かせてください。

登場人物がよかれと思って選択したことが、どんどんすれ違って連鎖していく、究極の“すれ違いドラマ”だと思います。この作品が原点となって、長い歴史のなかで“すれ違いドラマ”が数多く作られてきたのではないかと思えるほど、影響力のある作品だという印象です。復讐劇ではありますが、負の感情は必ずしもネガティブなものではないのではと、考えさせられるような物語でもあると思います。

――飯豊さん演じるオフィーリアへの印象や、演じるにあたり考えていることなどあれば教えてください。

ハムレットは父が殺された真相を探るため、あえて狂人のふりをして周囲を油断させます。オフィーリアは恋人・ハムレットを見て本当に狂ったと思い、 そのショックから自身も狂人になってしまう。愛する人の影響をものすごく受けてしまう、やさしい人物なので、そういう部分は繊細に汲み取っていきたいと考えています。

お稽古では、最初の本読みに1週間ほど時間をかけてセリフ1つ1つの意味をしっかり確認しながら読み込めたので、私にとってはありがたかったです。

シェイクスピア作品の魅力は、読み込むうちにどんどん解釈が変わるところだと思います。羊さんも、まずは率先してご自身が考えてきたお芝居を演じられて、森さんから「こうしてほしい」とお話があったら、すぐに切り替えて応えられていて。

可能性を探りながら作っていくので、皆さんのお芝居もどんどん変わっていきます。その姿を見て、「まずは自分の考えてきたお芝居を試してみていいんだ」と思えたことが、私にとってはすごく大きかったです。臆せずいろいろなお芝居を試せるお稽古の時間が、充実していてとても楽しいです。

演劇を学びたくて「難しいところに自ら突っ込んでいった」

――「舞台経験は少ない」とのことですが、楽しさのなかにプレッシャーなどは感じますか?

そうですね。でもむしろ、難しいところに自ら突っ込んでいったような感覚です(笑)。演劇をもっと学ぶために、厳しい場所で挑戦したいと思っていたので、日々のお稽古がとても刺激的です。

まわりの俳優さんからは「森さんのお稽古は“1000本ノック”みたいに厳しい」と聞いていました。でもそれなら、お芝居を深めたり、自分を試せたり、忍耐力を鍛えたりできる!と、私はポジティブに捉えていました。

――舞台と映像で、お芝居の感覚に違いはありますか?

そのときの感情のまま演じるという点では、舞台も映像もあまり変わらないと感じています。 ドラマだと瞬発力が大事ですが、舞台だとお稽古が1ヵ月以上あって作品に向き合う時間が長いので、作品をより深く愛しながら演じることができると思います。

――座長・吉田さんの印象はいかがですか?

大きな声で引っ張っていくというより、みんなが萎縮することなく輪に入れるよう気遣ってくださる方という印象です。『ハムレットQ1』は緊迫した雰囲気の物語ですが、お稽古場では、羊さんの笑い声につられて、みんなもリラックスしてよく笑っています。羊さんご自身が柔らかい雰囲気を持っていらっしゃるからだと思います。

「貴重な経験だった」10年前の“リポーター”の仕事

――舞台にドラマにと多忙な中でも、美と健康を保つ秘訣を教えてください。

発酵食品を食べること、でしょうか。食事は外食ではなく、なるべく自炊をするよう心がけています。もともと食べることが好きなので、自炊は全然苦ではないです。むしろ作っている時間が癒しでもあるので、そういう時間を大切にしています。

――最近よく作っているメニューは何ですか?

基本、和食ですね。最近は、白菜漬けを作っています。あとは、友人のお料理教室でいろいろ教わって、レパートリーを増やしたり。この前は、パンナコッタの作り方を教えてもらいました。好きなスイーツなので、たくさん作って、たくさん食べたいです(笑)。

――食事以外だと、やはり運動も意識していますか?

そうですね。『ハムレットQ1』のお稽古中は、共演者の吉田栄作さんが私の“期間限定の筋肉コーチ”になってくださって、舞台にも対応できる体作りや、新たな筋トレメニューを教えていただいています。目が合うたびに「ちゃんと筋トレやってる?」と聞かれます(笑)。

――飯豊さんは2014年から3年間、『めざましテレビ』(フジテレビ)のトレンド情報コーナーでリポーター“イマドキガール”を務めていました。当時の思い出や、その後役に立ったと思うことはありますか?

撮影現場のお店に開店前に入って、時間内に準備して撮影して…と、今思うとスタッフさんも皆さん大変だったと思います。数分間のコーナーですが、準備からしっかり時間をかけて丁寧に作られる現場にいられたことは、とてもいい経験になりました。

私も、自分でメイクをして私服で出演していましたが、行く場所に合った格好にするなど、毎回いろいろ考えていました。今はありがたいことに、メイクさんやスタイリストさんが素敵にしてくださるので、あの時にしかできない貴重な経験だったと思います。

今でもたまに、当時のスタッフさんにお会いすると「あの時、本当に大変だったよね」と言われます。当時はまだよくわからなかったのですが、今になって「あれは大変だったんだ!」と気づきました(笑)。

――『めざましmedia』のコンセプト「“好き”でつながる」にちなみ、最近好きなもの教えてください。

紅茶です!アイスにもホットにもできて1年中楽しめるので、いろいろな茶葉を集めてお家で毎日飲み分けをしています。お稽古場にも、栄作さんが紅茶の差し入れをしてくださったので、みんなでいただいています!

――最後に、公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

『ハムレットQ1』の大きなテーマは復讐ですが、“最後に許す”というのも、また1つのテーマだと思います。森さんも、心が解放される瞬間を大事にしたいとおっしゃっています。完全なる悲劇ではないところが『ハムレットQ1』の魅力かなと思いますので、楽しみにしていただけるとうれしいです。

撮影:河井彩美
ヘアメイク:髙山エリ
スタイリング:星野加奈子

【公演概要】

PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』

作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
演出:森新太郎
出演:吉田羊、飯豊まりえ、牧島輝、大鶴佐助、広岡由里子/吉田栄作 ほか

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