給与アップのための手段として「転職」はひとつの選択肢。多くの人が手にする「スカウトメール」にも、魅力的な給与が踊り、「よしっ!」と決断をする人もいるでしょう。ただ転職したすべての人が満足しているわけではありません。みていきましょう。
人生を変える…こともあるかもしれない「スカウトメール」
XX様のご経歴をお読みしました!
よろしければ一度お話させていただけませんか?
サラリーマンであれば、そんなメールをもらったことがあるでしょう。転職サイトに登録をすれば、1日に何通も送られてくるスカウトメールです。メールをもらって心が踊った人もいれば、迷惑メールをもらったかのように即、ゴミ箱に捨ててしまった人など、反応はさまざま。
エン・ジャパン株式会社/「エン転職」が行った『スカウトメール意識調査』によると、企業や人材会社からスカウトメールを受信したことがあるのは81.8%。20代、30代、40代以上、すべての年代で8割を超えています。
受信したことがある人に、スカウトメールの良かった点を聞いていくと、最多が「想定しなかった企業・仕事と出会える」で53.0%。一方で悪い点としては「一斉送信のようなメールが多い」で59.0%でした。
【スカウトメールの良い点・悪い点】
■良かった点
想定しなかった企業・仕事と出会える…53.0%
求人を探す手間が省ける…40.0%
希望やキャリアに合った仕事が提案される…26.0%
企業からのオファーで自身の強みが分かる…25.0%
数多くの求人を見ることができる…24.0%
公募には出ていない非公開求人が受け取れる…23.0%
■悪い点
一斉送信のようなメールが多い…59.0%
自分の希望しない業界・職種の求人が多い…52.0%
自分の希望しない働き方の求人が多い…28.0%
スカウトメールの量が多すぎる…15.0%
自分の希望年収よりも低い求人が多い…15.0%
良い点も悪い点もあるスカウトメールですが、これがきっかけで人生が変わることも。
――いまの給料よりも、年収が100万円もアップ!
33歳の大卒サラリーマン。目をキラキラさせて、スカウトメールの一言一句を音読。突然舞い込んできた転職話に、胸が躍ったといいます。
年収100万円増に惹かれて「転職」…2年後の後悔
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、30代前半の大卒サラリーマンの平均給与はげ州で32.6万円、賞与も含めた年収が549.4万円。男性も同程度の給与だといいますが、スカウトメールに記されていた年収は、現状の年収よりも100万円以上も高いものでした。
【年齢別・大卒サラリーマンの平均給与】
20~24歳:24.3万円/356.2万円
25~29歳:28.3万円/474.0万円
30~34歳:32.6万円/549.4万円
35~39歳:37.9万円/645.5万円
40~44歳:42.4万円/704.2万円
45~49歳:46.7万円/774.5万円
50~54歳:50.6万円/839.7万円
55~59歳:53.2万円/879.1万円
60~64歳:44.9万円/690.1万円
※数値左より月収/年収
厚生労働省『令和5年上半期雇用動向調査』によると、「転職後に給与が増えた」は38.6%。一方、「転職後に給与が減った」33.2%。30代前半に限ると、「増加」は47.4%、「減少」は32.6%。サラリーマン人生においても、給与アップの伸びしろが大きい30代前半。実際に給与の増加を実現した人が5割に迫ります。
最終的に「年収100万円増」に惹かれて応募。男性は見事に転職を勝ち取ったといいます。
めでたし、めでたし……といきたいところですが、男性の後日談。
――元同僚、2年連続で大幅賃上げと、景気のいい話を聞く
――今の会社では賃上げなんて微々たるもの
――給与、抜かれるのも時間の問題……転職なんて、しなきゃよかった
転職から2年ほど経ったあとの投稿。なんとも残念な言葉が並びます。昨今の賃上げブームにのり、男性の元職場では2年連続で大幅な賃上げを実施したと、元同僚からの話。それに対し、男性の転職先での賃上げは微増にとどまったといいます。
さらに転職して分かったこととして、中途採用に際しての給与水準は業界でも高いものの、転職後の「給与の伸び」については見劣りがすることが判明。先輩社員、さらには管理職の給与を伝え聞いても、「えっ、前にいた会社のほうが高いじゃん」というものだったといいます。
目先の給与だけに捉われてしまった男性。その後のキャリアと給与についてもしっかりと聞いたうえで判断すればよかったと悔やんでいます。
[参考資料]