桜田ひより『silent』の風間太樹監督と再びタッグを組んだ映画『バジーノイズ』で見せた新境地「言葉を交わさなくても伝わるものがありました」

桜田ひより 撮影/冨田望

子役より活動し、21歳ながらすでに15年を超える芸能活動歴を持つ桜田ひより。ドラマに続いて映画公開された主演作『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』や、山田洋次監督作品『男はつらいよ お帰り 寅さん』、ちび太を演じた映画『おそ松さん』など、さまざまな作品に出演してきたが、2022年のドラマ『silent』への出演で、さらに人気を増した。『silent』のメイン演出を手掛けた風間太樹監督と再びタッグを組んだ音楽青春映画『バジーノイズ』が公開の桜田さんがTHE CHANGEを語る。

「いまでも『silent』について言われます。反響はすごく大きかったですね」

そう振り返る桜田さん。2022年10月期に放送されたドラマ『silent』(フジテレビ)は、社会現象と呼ばれるほどの人気に。川口春奈さんが主演、相手役を目黒蓮さんが務め、主題歌をOfficial髭男dismが提供。これがデビューとなった生方美久さんがゴールデンの連続ドラマ脚本を手掛け、視聴者から絶大な支持を集め、いわゆる聖地巡礼も盛んにおこなわれた。

兄想いの妹をリアリティを伴って演じた桜田さんにとっても特別な作品になった『silent』。公開中の音楽青春映画『バジーノイズ』では、同作でメイン演出を務めた風間太樹監督と再タッグと組み、相性の良さを見せている。

――『silent』に続いて風間監督とのお仕事です。改めて風間監督の演出にどんなことを感じましたか?

「風間監督の世界には寂しいけど温かいみたいな空気があると思っています。それに私が演じた潮が出ていないシーンでも、観ている人が“このとき、潮ちゃんどうしてるかな”とか、なんとなくその人を考えてしまうような気がするんです。それはこの映画と、風間監督の作品ならではだと思います。潮が出ているときは清澄(JO1川西拓実さん演じる主人公)のことが気になるし、清澄しか出ていない時は、潮ちゃん何してるんだろうという気持ちにさせられる。そうした人の存在への意識が、今回はより強いと思いました」

――風間監督とのディスカッションで、特に印象に残っているのはどんな話し合いですか?

「潮は清澄のことを恋愛として好きなのか、一体どういう気持ちなのかと、気持ちの面を話すことが多かったです。この段階ではどういう気持ちだったんだろう、この時にはどう思ったんだろうと、その都度私が監督に伝えていくと、監督もそれに対してすごく考えてくださって。風間監督とはすごく感性が似ているなと再認識することが多かったので、とても演じやすかったです」

言葉を交わさなくても伝わる信頼感

――現場では共演者の方とのコミュニケーションを大事にされたそうですが、監督ともかなり綿密に話し合いを重ねられた現場だったんですね。

「ただ、コミュニケーションがなくても成立するなと感じた関係もありました。今回の撮影を担当されたカメラマンの片村文人さんは、『silent』から引き続きだったんです。普段無口で淡々としているんですけど、とてもキレイな画を撮られる方です。片村さんとは言葉を交わさなくても伝わるものがありましたし、信頼していました」

――風間監督とは感性が似ているとのことですが、改めて風間監督との出会いは、桜田さんにとってTHE CHANGEと言えるものになっていますか?

「風間さんは、すごく自分にいい影響を与えてくれた方です。自分の演技に関することが確立できたのは風間さんのおかげだと感じています」

――それは具体的にどういったことでしょうか。演技面で監督とよく話し合いをよくするようになったとか?

「それもそうですし、すごく心地よい空気感を作ってくださる監督なので、自分のやりたいことをきちんとくみ取ってもらえている実感があります。それによって自分がとてもナチュラルにお芝居できるようになりました」

――子役時代から多くの作品に出演してきて長いキャリアのある桜田さんでも、かなり影響を受けた出会いだったと。

「だいぶ変わりました。言葉で言い表すのは難しいんですけど、感覚が違うんです。自分の演技スタイルが確立された感じがあります」

――それは本当に大きな出会いですね。数年前、クセのある役柄が多いので、これからはキラキラ系や映画のヒロインをやりたいとお話されていましたが、『交換ウソ日記』で実現しました。有言実行は意識していますか? やりたいことは口にするとか。

「あまり意識してないです。でも自然と叶っていっているかもしれません」

――ではこれからやってみたいジャンルをあえて口にしてみると?

「『バジーノイズ』は切なさもありましたが、ラブストーリーとはまた違うので、ガッツリ切ない系のラブストーリーをやりたいです」

21歳になり、大人度がアップしてきた桜田さん。これからどんどんがっつりラブストーリーも増えていくに違いない。

桜田ひより(さくらだ・ひより)
2002年12月19日生まれ、千葉県出身。子役からスタートし、14年の『明日、ママがいない』で注目を集める。18年からは雑誌「Seventeen」の専属モデルとしても活躍し、23年3月に卒業した。近年はドラマ『silent』で高い評価を得る。23年は主演ドラマ『沼る。港区女子高生』『あたりのキッチン』、『家政夫のミタゾノ』のヒロインなどで好演。主な映画出演作に『祈りの幕が下りる時』『男はつらいよ お帰り 寅さん』『おそ松さん』『交換ウソ日記』など。アニメ映画『雄獅少年/ライオン少年』で声優に初挑戦。第47回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。

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