献金、交付金、官房機密費などの使い道を公私混同する自民党の腐り切った体質(ラサール石井)

自民党の鈴木馨介政調副会長(C)日刊ゲンダイ

【ラサール石井 東憤西笑】#204

中国新聞のスクープだ。2013年7月の参院選で、ある候補者が当時の安倍総理から陣中見舞いに受け取った100万円が官房機密費から出された可能性があるというのだ。官房長官経験者の証言だという。

しかし各メディアはこれをほとんど報じなかった。そこにNHK「日曜討論」でれいわ新選組の大石あきこ議員がぶっ込んだ。この日は「政治資金規正法改正案」について与野党が激しく対立(この日はいつものような与党偏重ではなく、各党平等で、野党に反論の機会を与えたり、討論の体を成していた。いつもは意地悪されるれいわも時間を与えられた。司会者が違ったせいか。だったらいつもこれでお願いしたい)。

そこで「つい最近も(中国新聞の)報道があった。これは自民の改正案などぶっ飛ぶ話じゃないのか」と攻めたのだ。

そこで自民党の政調副会長の鈴木馨祐議員が「再発防止の話と、自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっているのは正直ある」と発言した。

これは裏金事件に対する正当な批判をただの「政局」だと矮小化する全くの「詭弁」である。若手議員こそ今の自民党を改革しなければならないのに、情けない話だ。自民党は根っこから枝葉まで腐り切っている。

これに大石氏は「力の源泉は汚い金、裏金。そのような力をそがなくてはいけないのは当たり前」だと小気味よい反論。官房機密費に関して「まだ答えてもらってない」としっかりクギを刺す。すると鈴木氏は「機密費が選挙に使われたことはない。断言する」と言った。

おいおい。使途を明確にしないから機密費なんだろ。断言しちゃダメだろ。官房長官やったこともないくせに、根拠は何なんだ。案の定、翌日のBS-TBS「報道1930」で共産党の小池晃氏に根拠を問われ、しどろもどろになっていた。

私が気になったのはこの鈴木議員、裏金問題を語るのに必ず「一部の議員が起こした」と「一部」を強調するところ。これも矮小化だ。一部じゃないだろ。これは自民党の長年の体質の問題だろう。

党が集めた献金も、税金からもらった交付金も、官房機密費も、使い道が正しいのであれば全て領収書を出せ。出せないのは選挙に使っているからだろう。金をばらまいて勝ってきたんだろう。誰が考えても分かる話だ。

国の金を党のために使う。あらゆる公私混同をあれもこれもやらかしてきた安倍さんらしい話だ。そう考えると、籠池さんが昭恵夫人から「総理からです」ともらったと言った金も100万だったなあ。

(ラサール石井/タレント)

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