盗難された愛車を発見→2日後に再盗難の痛恨 奇跡起こしたSNSの力「本当にすごい」

ナンバーのないR1を発見…警察に通報もその場で犯人は逃げた。バイクの外装はスプレーで真っ黒に【写真:X(@LuxuryRider2015)より】

愛車発見「とにかく人の温かさに感動」→2日後に再盗難

自動車・バイクの盗難被害が連日のようにネット上で報告される中、愛知・豊橋市では盗難された愛車が発見後、再盗難され再び発見されるという珍事が起こり、ネット上で大きな話題になった。盗難車が戻ってくる確率はほとんどないとされる中、どのように2度も発見したのか。そして伝えたい教訓とは。オーナーのラグ(@LuxuryRider2015)さんに詳しい話を聞いた。

「言葉では表せないぐらいの感謝の気持ちがいっぱい」

1回目の盗難後、バイクを発見し、SNS上につづった協力への感謝の言葉。しかし、そのわずか2日後、愛車は再び行方をくらました。

バイクはヤマハの2016年式YZF-R1だった。

最初の盗難に気づいたのは、3月29日の朝だ。出社しようと自宅駐輪場に行くと、バイクがこつ然と姿を消していた。すぐに警察に被害届を提出し、ネット上にも情報提供を求めた。その後、バイクを発見するまでは次のような経緯をたどった。

3/29(金)警察に被害届を提出 中部運輸局にて廃車手続き完了後、盗難されたことをXに投稿し拡散
3/31(日)午後 Xの投稿を見た方から私のバイクを見たとDMで連絡が入る
4/5(金)ナンバーが捨てられているが見つかったと警察から連絡
4/6(土)ナンバーを引き取ったことをポストし拡散 3/31の方とは別の投稿を見た方からナンバーがないR1を見たと連絡が入る 近隣に住むXのフォロワーさんが目撃地域を徒歩で捜索していたところ、R1を見たと連絡が入る
4/6(土)目撃情報のマップを作成、ポストし拡散
4/7(日)Xの投稿を見た方から私のバイクを見たとDMで連絡が入る
4/12(金)Xの投稿を見た方から私のバイクを見たとDMで連絡が入る ←R1でナンバーがないが色が違う色だったという情報が入る
4/14(日)発見

自身も徒歩や別のバイクで捜索していたが、発見の決め手になったのはXの投稿だった。見ず知らずの人たちが被害を知り、情報を拡散。近隣のバイク乗りらは、道路を走るたびに、同じ車種のバイクが走っていないか目を配らせた。

「自らのことのように盗難情報の拡散をしてくれた方、何度も盗難のポストを投稿するので迷惑なのでミュートやブロックしても構いませんと弱気な言動をポストしても逆に励ましていただくことが多かった点、豊橋市内や近隣にお住まいの方、県外(三重や静岡)からも私のバイクを捜索しに来ていただいた方がいたり、見かけたらすぐ連絡しますや捜索に行けなくて申し訳ありませんと私にメッセージをくださったりと、とにかく人の温かさに感動しました」

その思いがあったからこそ、2度目の盗難は痛恨だった。

「車両の管理しっかりやってる?」。再び被害を投稿すると、犯人への批判が集まる一方で、矛先は自身へも向けられた。

「リプや引用ツイートは非難があると思い正直怖くて見れていませんが、豊橋市内や現場付近を通りかかったついでで、気に留めて見ていただけるレベルでと考えています」

もう大手を振っては頼めない。ラグさんは苦渋の状況に天を仰いだ。

再発見まではさらに2週間強を要した。

4/16(火)再盗難 目撃情報は1件で前回と比較すると極端に少ない状態
5/2 (木)市内の集合住宅駐車場で発見されたと警察から連絡

警察に通報したのは、集合住宅の住民だった。「住民の方にうかがったら10日以上放置されて動いた様子はなかったそうです」と明らかに不自然な置き方をされていたという。窃盗犯はバイクにGPSなどが付けられている可能性を考慮し、一定期間パーキングなどで放置することがある。今回がそのケースに当てはまったかどうかは分からないが、再び愛車はオーナーの元に戻ってきた。

「お願いだから返して」と訴えた【写真:X(@LuxuryRider2015)より】

変わり果てた愛車 学んだ教訓「防犯対策は絶対にやっておく」

「目撃情報は極端に少なくなりましたが、オークションに類似のバイクが出されているとの連絡をいただいたり(実際は別の個体)、実際に捜索をしていただけたり、我がごとのように行動していただけたことでバイクが私の手元に戻ることができたと思っており、大変感謝しています」

安どの気持ちが募るが、まだ犯人は捕まっていない。「キーはまだ犯人が持っているため、再々盗難の危険性もあります」。熟考したラグさんは、大切に乗ってきたバイクを手放すことを決断した。

わずか2か月の間に繰り広げられた2度の盗難、捜索劇。バイクは最初に盗難されたときと同様、外装をスプレーで真っ黒に塗装されていた。変わり果てた愛車の姿に、無念の思いがこみ上げる。

稀有な体験を通じて何を思うのか。伝えたいことを聞いた。

「今回改めて感じたのは自らできる防犯対策は絶対にやっておく必要があるということです。盗難の情報を目にすることがあると思いますが、『自分は大丈夫』と思った瞬間から隙が発生している。犯人はその隙をついてくるということもよく分かりました。当たり前かもしれませんが、ガレージ、バイクカバーなど見えないようにする、ワイヤーロック、できれば地球ロック(駐車場の柵や標識などに固定すること)をする、GPSを装着しておくなどです。盗られるともっと対策をしておけばよかったという後悔の念しかありません」

ラグさんは所有するカワサキ・Ninja650も配線をすべて切断されるなどの被害を受けている。「セローも持っていますがかなりショックなのと恐怖心から全く乗れていません」と、メンタル面のダメージはいまだに癒えていない。

ただ、感謝したいのは、SNSの力だ。

「皆様には多大なご協力をいただいてなんとか手元に戻すことができました。SNSの力は本当にすごいと改めて感じています。しばらくバイクはお休みして、Ninja650が戻ってきたら少しずつ復活していきたいと思っています。重ね重ね皆様には感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました」と締めくくった。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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