水原一平被告の法廷速記録入手「名前を正しく発音している?」判事質問には「Yes, ma'am」大谷翔平選手の口座から不正送金の罪

ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告は14日、アメリカ・ロサンゼルスの連邦地裁に出廷し、罪状認否で形式上「無罪」を主張したが、治安判事が裁判所のセキュリティー側の判断だとして、法廷画家以外の傍聴を認めず、記者が別の法廷で音声のみを聞くという異例の事態となった。しかし音声は聞き取りづらく、発言者や日程などについて判然とせず、一部で混乱も広がった。

FNNは、裁判所の記録担当から法廷での詳細なやりとりを記録した速記録を入手。これにより、水原被告が女性判事へ敬称を使って返答していた事など、法廷内での詳しいやりとりが明らかになった。

名前の発音確認に水原被告「Yes, ma'am」

裁判所の記録担当から入手したやりとりによると、治安判事は水原被告の人定を確認する際、
「ミスター・ミズハラ・・・正しく発音しているかしら」と名前の発音を確認した。
これに対し、水原被告は女性に対する敬称(Ma'am)をつけた上で「はい」と答えた。

水原被告はこれまで銀行詐欺罪と虚偽の納税申告をした罪について、司法取引により「大陪審による起訴(Grand Jury Indictment)」、つまり大陪審の前で検察側が証拠を提示して起訴を判断してもらう権利を放棄している。
その代わりに、検察側が用意した起訴書類「Information」に同意している。
この起訴書類は検察側が証拠を大陪審や公に提示せずにまとめるので、治安判事は水原被告にこのことをきちんと理解しているのか、またフリードマン弁護士から違いや、起きうる結果について説明を受けたか確認した。

権利放棄について治安判事は何度も念押し

やりとりは以下の通り。

治安判事:「ここに大陪審により起訴される権利を放棄する書類があり、署名はあなたのものに見えますが、実際に署名をしましたか?」
水原被告:「はい、しました」

治安判事:「署名により大陪審による起訴の権利を放棄し、(検察側が用意した)起訴書類(Information)に基づいて手続きを進めることになりますが、理解していますか?」
水原被告:「はい」

治安判事:「フリードマン弁護士と2つの違いや大陪審による起訴の権利を放棄した際に起きうる結果について話し合う機会はありましたか?」
水原被告:「はい」

治安判事:「それでいいのですね?大陪審による起訴の権利を放棄したいのですね?」
水原被告:「はい」

形式的に「Not guilty」・・6月4日に「Guilty」答弁へ

この時点で、治安判事は「被告人の大陪審による起訴の権利放棄はきちんと理解し、自主的なものであると認定する」とし、裁判所の係官に進行を許可した。

係官はフリードマン弁護士に対し、罪状認否の方向性をたずねると、フリードマン弁護士は水原被告が形式上「無罪」を主張するものの、後日、有罪を認める答弁をする予定だと説明をした。
これを受け、係官は水原被告に対し「検察の起訴書類にある罪について、どのような答弁をしますか?」と聞き、水原被告は「Not guilty(無罪)」と答えた。

治安判事はすでに司法取引があることを認識しているが、事件を実際に担当する連邦の裁判官が念のため「陪審員による裁判」が行われた場合の期日の確保を希望していると説明し、暫定的に7月1日が設けられた(※この期日は無効になっている)。

検察などは15日になり、次回期日が6月4日に決まったと発表し、「重罪」の有罪答弁を取り扱う権限を持つ連邦裁判所の裁判官の前で罪を認める答弁に変更する手続きが行われる。

【執筆:FNNニューヨーク支局長 弓削いく子】

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