大学生、茨城・高萩で就農体験 食用ホオズキ 魅力伝えたい 農家、若者目線に期待

食用ホオズキの生産農家(左から2人目)の指導を受けながら、苗を植える大学生たち=高萩市大能

茨城県高萩市の特産品である食用ホオズキの生産団体「花貫フルーツほおずき倶楽部」は、地域の魅力ある農産物の発信に取り組む大学生を受け入れ、就農体験などに協力している。大学生たちは4月から9月まで月1回程度訪れ、作業を体験しながら栽培法や特徴などを記録していく。農家側は大学生に現地で得た実体験を広く発信してもらうことで、ホオズキの知名度向上やPR強化につなげる考えだ。

同倶楽部は同市大能地区を中心に栽培に取り組む農家12人でつくり、年間約800~900キロを地元の物産センターを中心に都内の三つ星レストランなどに出荷している。ただ、収穫量が増える8、9月には出荷先がなく、欠点のない完璧な状態でも、ジャムなど加工用に使用することを余儀なくされている。

こうした状況で、大学生からホオズキの魅力を広めたいという協力依頼があり、広報力やPR手段に課題を抱える同倶楽部は、外部の若者目線で課題や魅力を実際に体感してもらおうと、協力を決めた。

今回受け入れている大学生は、産官学による次世代育成活動を展開しているエッジソン・マネジメント協会(東京)が行っている共創チャレンジに参加し、「八百研産(やおけんさん)」というグループ名で活動する3人。

3人は4月末に同市大能を訪問し、作業の風景を動画に収めながら耕運機を使った畝作りとマルチシート張りに挑戦。農家は「成長した時のことを考えて、畝同士は2メートル、苗は70センチ距離を取った方がいい」などと助言した。その後、高さ約10センチの苗36本を定植し、この日の作業を終えた。

3人は今後も大能を訪ね、支柱立てや間引き、収穫などの作業を体験していく予定。体験で得た知識や動画をまとめ、魅力発信や新規就農者向けのマニュアルづくりに生かす。加えて、ホオズキを知ってもらうため、都内での販売や商品開発なども行っていく予定だという。

早稲田大2年、谷口付美華さん(19)は「一つ一つが新鮮な体験だった。自分たちの活動を通して魅力の発信や活性化につなげられれば」と笑顔。同倶楽部の鈴木正文代表は「交流サイト(SNS)などには疎い。若者が全国にホオズキのことを広めてくれるのはうれしい」と期待を寄せる。

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