プライム ライフ テクノロジーズ、家とモビリティの空間連携で価値創出

愛知県刈谷市のモデルハウスで、車椅子でリビングからウッドデッキ、モビリティへの移乗を検証する実証実験を行っている。家とモビリティの空間連携による価値創造の一環だ。

プライム ライフ テクノロジーズ(PLT)が、家とモビリティとの空間連携による車椅子ユーザーのシームレスな移乗実証実験を行っている。

同社は、家とモビリティの空間連携による価値創造の実現を目指している。CASE(=コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化というモビリティの変革を表す4つの領域の頭文字をつなげた造語)の進展により、エネルギー、情報、空間の観点から新たな価値を生み出していこうというものだ。

リビング~ウッドデッキ~モビリティをシームレスにつなぐ

今回の実証実験は、このうち「空間」に特化した実証だ。多くの高齢者が外出の自由を制限されるという社会課題に対して、市販モビリティと住宅をつなげることで解決できるという仮説を証明する。具体的には、住宅のリフォームにより自動車との距離・動線・水平垂直のギャップを解消してバリアフリー化し、車椅子に乗った人が住宅から自動車へシームレスに移乗することを可能にし、家族や介助者の負担軽減に貢献できるかを検証する。PLTとミサワホーム総合研究所が住宅と中間領域(ウッドデッキ)、トヨタ自動車が昇降リフトとモビリティと、3社それぞれの知見をあわせて共同で実施する。

リフォーム提案の一つに

事業化の検討も

実証実験は、4月1日~26日まで、トヨタホームの体験型総合展示場「ATOLIS PARK」(アトリスパーク、愛知県刈谷市)で実施。実証を行うモデルハウスは、サッシをフラット化することでリビングとウッドデッキの段差を解消、サッシも自動開閉とした。また、ウッドデッキ上部には折り畳み式のオーニングを取り付けた。ウッドデッキの一部が昇降機となっており、車椅子利用者が乗ったまま下降すると昇降機及び横付けされた自動車からブリッジが伸び両者をフラットにつなぐ。居室から最短距離、かつ直進移動で移乗することが可能というわけだ。

実証実験は、65歳以上の介護認定を受ける前の高齢者10人程度に実際に体験してもらい使い勝手や使い心地などについてヒアリングを行う。

今回の実証実験に先立ち、今年1月には医療関係者や介護従事者12人を対象とした実証実験を行っており、天候などに左右されず、家族の支援のみで自由に外出できるなど高い評価を得た。その一方で、介助者なしで一人で外出できるようにさせたいなど、要望や課題も指摘された。今回は、実際の高齢者による実証であり、使い勝手などはもとより高齢者の心理面における影響などについても検証したい考えだ。

「次のプロセスとしてコストも含め事業化できるか検討し、3社のリフォーム提案の一つにつなげていきたい。家から自動車への移乗に限らず、玄関の段差解消など汎用性を持つものだという気づきもあった」(技術企画推進部 白浜一志部長)と、気兼ねなく外出できる環境づくりへの取り組みを加速する考えだ。

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