パリ五輪逃し「悔しい」 新体操女子団体日本代表・稲木李菜子(国士舘大、力合中出)

みどり新体操クラブの選手に演技のアドバイスをする稲木李菜子(右)=熊本県立総合体育館

 新体操の団体日本代表メンバーとしてパリ五輪大陸別予選を兼ねたアジア選手権(2~4日、タシケント)に出場した稲木李菜子(21)=国士舘大、力合中出=が9日、熊本市で熊日の取材に応じた。団体が5大会連続の五輪出場を逃したことや、自身の今後などについて聞いた。(聞き手・萩原亮平)

 ─アジア選手権2位。パリ五輪への出場はかないませんでした。

 「アジア選手権の演技は納得できるものだった。動画で(優勝の)ウズベキスタンと自分たちを見比べてみたが、なぜ負けてしまったのか分からない。結果がついてくると信じていた分、悔しい気持ちが大きい」

 ─最後のチャンスに重圧もあったのでは。

 「アジア選手権前にあった4月のワールドカップ(W杯)では種目別で2冠だったので、悪い緊張感はなかった。試合を重ねる度に良い演技ができるようになっていたし、自信もあった」

 ─東京五輪後の3年間、パリを目指して得たものは。

 「(芸術性を重視する)ルール変更もあって表現力が重要になった。私自身は苦手とする部分だったが『人が変わったくらい見せ方が良くなった』と評価してもらえるようになった。成長を感じている」

 ─今後の目標について教えて下さい。

 「パリ五輪のことだけを考えてきたし、心が切り替わっていないのが正直なところ。ただ、これまで得た経験を無駄にはできない。五輪が競技の全てではないと思うと同時に、日本代表メンバーをけん引できるような立場になり、ロサンゼルス五輪出場を目指したい気持ちはある」

 ─代表メンバー入りへの競争に勝ち抜く必要もあります。

 「身長が(161センチと)あまり高くないので、演技を大きく見せる工夫も必要になる。また、技の正確性が私の大きな武器。アジア選手権でも重要な技は任せられていたし、強みは生かしていきたい」

 ◆所属クラブ後輩に世界レベルの技手ほどき

 新体操の団体日本代表メンバーの稲木李菜子(21)=国士舘大、力合中出=が9日、所属するみどり新体操クラブの練習会に参加し、後輩たちに世界レベルの技を手ほどきした。

 熊本県立総合体育館であった練習会には小学生から高校生までの約40人が参加。稲木はフープの使い方や演技の見せ方について熱心に指導した。

 アドバイスを受けた女子生徒(13)=長嶺中=は「苦戦していた技を分かりやすく教えてもらえた」と笑顔。クラブの平﨑寛子代表(58)は「世界トップ級の技術を持つ選手と触れあえる機会はありがたい。熊本の競技力の底上げにもつながる」と感謝した。

 五輪大陸別予選を兼ねたアジア選手権で団体2位となり五輪出場権を逃した稲木に対し、選手たちが健闘をねぎらう場面もあった。(萩原亮平)

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