「モノビジョン」の老眼矯正は期間限定…長時間の作業には不向き【一生見える目をつくる】

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【一生見える目をつくる】#13

レーシックの技術を使って行う老眼矯正治療「モノビジョン」。この治療が適しているのは、「まだ白内障になっていない」40歳代後半から50歳代の人となります。もちろん、レーシックが可能な目(健康な成人で、目の病気がなく、角膜の厚さが治療後にも十分に保たれることなど)であることが条件となります。今回は注意点や知っておいてほしいことなどをお話しします。

モノビジョンによる老眼矯正は、効果が10年、15年と持続するものではありません。老眼は、カメラに例えればレンズの役割をする水晶体の弾力が失われて生じます。モノビジョンはこの水晶体を取り換える治療ではない、つまり根本的な原因を解決する治療ではないため、効果が持続するのはだいたい5~8年です。

モノビジョンに興味を持ったら、大抵の人はまずはネットでクリニックを探すのではないでしょうか。その後、実際にクリニックに足を運んだ際、効果は5年から10年以内であると、きちんと説明するクリニックを選択してほしいと思います。

そして、できればメガネやコンタクトレンズを使ってモノビジョンの状態を体験・確認してから手術を決めると良いでしょう。

カウンセリングにしっかりと時間を割いて、患者さんと向き合っているか。治療について納得できるまで説明しているか。デメリットと思われることまで伝えるのは医師として当たり前です。

「患者さんは手術をしてどんな見え方を理想としているのか」を確認するのも、眼科医として重要なこと。どんな仕事をしているのかは術後の目の使い方に関わってくるので、医師はきちんとヒアリングしなければならない。

モノビジョンは、長時間の運転をよくされる方や、長時間パソコンを使用したり読書をする方には適さないこともあります。日常生活を裸眼で過ごしたい人にはモノビジョンはとても良い方法ですが、同じところを長時間見ると、見えている方の目ばかりを使うので疲れやすいのです。

モノビジョンの手術直後は左右の見え方の差に違和感を覚える場合があります。しかし、だんだんと脳が左右の情報を使い分けることに慣れていく。そうすると、左右で異なる見え方を一つの映像として自然に認識するようになります。ほとんどメガネなしで生活ができるようになるのです。

(荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)

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