足裏にできたタコが痛い…削ってもいいのでしょうか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

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【日本版「足病医」が足のトラブル解決】#18

本来、足裏は体重を均一に支えていますが、何らかの原因で骨の突出部に過剰に圧がかかり続けると、皮膚の角質が盛り上がり硬くなる「タコ」ができやすくなります。医学的には「胼胝」と呼ばれ、足の変形やサイズの合っていない靴の着用のほか、足を使うスポーツ選手に多く見られます。

ある60代の女性は、趣味でママさんバレーを20年間続けていて、長年足の裏のタコに悩まされていたといいます。皮膚科でタコを削ると一時的には痛みが和らぎますが、バレーボールをするたびに痛みが再発し、台所仕事で立っているのもつらいと受診されました。診ると、加齢による足変形のほか、痛みで歩かなくなることで足がむくむ「廃用性浮腫」のため、本来の足のサイズよりも大きい靴を履いていました。靴の縁に足が当たるのを避けるために緩い靴を履くと、靴の中で足が滑らないよう無意識のうちに足に力が入って圧がかかるので、タコはさらに成長していきます。

まずは痛みのもととなるタコを削り、運動靴と普段使いの靴用にそれぞれインソールを作製し、足変形に対するアプローチを行いました。足がむくまないように日頃から圧迫ストッキングを着用してもらうほか、足の甲をしっかりと固定できるよう靴の履き方の指導を行ったところ、その後タコが再発することはなくなりました。さらに、歩けるようになったことでむくみも改善され、趣味のママさんバレーにも復帰できたと喜ばれていました。

ただ、単なるタコだと見逃してはいけないのが糖尿病の患者さんです。タコに過剰な刺激が当たり続けて悪化すると、皮膚の下に傷ができて血腫の状態になり、潰瘍が形成される「胼胝下潰瘍」を引き起こしやすい。ある調査では糖尿病性足潰瘍と診断された233例のうち、82.4%はタコが原因との報告もあります。糖尿病の場合、自分で角質を取り除く際に皮膚が傷ついてそこから感染し、最悪、足の切断に至るケースも少なくありません。

自己判断せず、足を総合的に診ることができる病院を受診することが大切です。

(田中里佳/順天堂医院足の疾患センター長)

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