IRの地方誘致「厳しい」 元観光庁長官・井手氏 長崎県議会が招致

IR制度の課題について県議から質問を受ける井手氏=県議会棟

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備計画の不認定に関連し、長崎県議会特別委員会は15日、IRの制度設計に携わった元観光庁長官の井手憲文氏を参考人として招致した。井手氏は、IRの整備地は残り2枠あるとし、「国が次期認定に向けて申請受け付けを始めるべき」とした。一方、現行制度での地方への誘致は「厳しい」との認識を示した。
 今後の可能性を探ろうと、観光・IR・新幹線対策特別委が招致。井手氏は国の審査に携わっていないため、委員は制度の課題などに絞って質問した。
 国は最大3カ所のIR整備を規定。大阪府・市の計画のみを認定している。
 井手氏は北海道や千葉、東京、愛知などが検討してきたとし、「地方自治体や事業者が検討を加速するためには、観光庁が次期の認定手続きの申請受け付けを始めると発表することが望ましい」と話した。
 委員は、本県が目指した「地方型IR」の実現可能性を質問。井手氏は現行制度の課題の一つとして、MICE(コンベンション)施設やホテルの規模が大きく、「大都市以外には厳しい」と指摘した。本県が再申請するべきかどうかは「各自治体で事情がある」と述べるにとどめた。
 県はハウステンボスへのIR誘致を目指し、2022年春に整備計画を国へ申請。国は昨年末に「資金調達が不確実」などとして不認定とした。県は再申請について「現行制度では相当程度ハードルが高い」と慎重な姿勢を示している。

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