猫の殺処分 過去最少 2023年度の長崎市 初めて100匹割る

長崎市 猫の引き取り数と殺処分数の推移

 長崎市の2023年度の猫の殺処分数が、過去最少の73匹(速報値)だったことが15日までに分かった。100匹を下回るのは記録が残る00年度以降で初めて。最多だった03年度の4047匹から約98%減ったことになる。
 同市動物愛護管理センターによると、殺処分数には引き取り後に病気などで死んだ場合の自然死が含まれ、23年度は引き取った106匹のうち、自然死が50匹(約7割)、実際の殺処分は23匹だった。
 減少の要因について同センターは、ボランティアや自治会など市民らによる地域猫活動や保護、譲渡会に加え、同市の「まちねこ不妊化推進事業」など官民による取り組みを挙げる。
 同事業は殺処分と野良猫による生活環境被害を減らす目的で14年度に開始。飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費の多くを市が助成している。ボランティアや住民が同事業などを活用し、野良猫を捕獲して不妊化。その後、元の場所に戻し、餌やりやトイレの管理を行う地域猫活動が増加。保護猫の譲渡会も頻繁に開かれるようになっている。
 一方、法改正で行政側が動物愛護の観点から引き取りを拒否できる要件が追加されたことも殺処分数減の一因とみられる。引き取れない場合、同センターは地域猫活動などを勧めているが、その後の状況は把握できていないという。
 長崎ねこの会の大庭千佳子理事は「捨てられる猫が減っているのかどうかが重要だ。感覚的にボランティアに寄せられる相談件数は減っていない。手放しでは喜べない」と指摘する。
   
 まちねこ不妊化推進事業は本年度、雄100匹、雌500匹が対象で、今月31日まで申し込みを受け付けている。

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