JR西日本、主要区間の運賃はどう変わる? 分割購入は依然有効

JR西日本が京阪神エリアの運賃体系を改定します。概要と、主要区間でどう変わるかを見てみましょう。

電車特定区間を拡大

JR西日本は、京阪神エリアの運賃体系を見直すと発表しました。改定時期は2025年4月1日を予定します。

最大のポイントは、「大阪附近の電車特定区間」(電車特定区間)の拡大と、「大阪環状線内」の区分廃止です。

現行の電車特定区間は京都、西明石、和歌山、奈良、長尾の範囲内で、宝塚方面や滋賀県は範囲外でした。これを、野洲、堅田、亀岡、城陽、新三田、網干、関西空港、松井山手まで広げます。

これにより、これまで「幹線」の運賃だった琵琶湖線や湖西線、奈良線、JR宝塚線、JR神戸線、関西空港線の一部または全部が、電車特定区間の運賃区分に繰り入れられます。

画像:JR西日本プレスリリース

「大阪環状線内」は廃止

一方、大阪環状線内の運賃区分を廃止し、電車特定区間の運賃と同一にします。

電車特定区間ではバリアフリー運賃を10円加算します。従って、現在バリアフリー運賃のかかっていない電車特定区間外からの繰り入れ区間は、新たに加算されることになります。

私鉄との競合区間などに設定している「特定運賃」については、基本的には変更しません。ただし、新たに鉄道駅バリアフリー料金の収受対象となる区間など、一部変更となる区間があります。

全体として増収にならないよう

今回の改定により、おおむね大阪環状線内は運賃が値上げ、電車特定区間の新規適用区間では値下げとなる見通しです。

ごくおおざっぱにいえば、大阪市内は値上げ、京阪神エリア外で遠距離に乗る場合の一部が値下げです。

JR西日本としては、運賃収入が全体として増収とならない想定の下で設定しているそうです。電車特定区間の拡大エリアが中途半端な印象もありますが、運賃収入の維持を目指した結果とうかがえます。

値上げは10~20円程度

大人片道普通旅客運賃で適用する賃率は、営業キロ1kmにつき15.50円に、定期旅客運賃は現行の電車特定区間の運賃から1.3%改定した額に、それぞれ平準化します。

JR西日本の新たな運賃表(100kmまで)は以下の通りです。

画像:JR西日本プレスリリース

実際の値上げ額は、おおむね10円~20円程度ですが、大阪環状線の11~15km区間は、210円が240円となり、30円の値上げとなります。

電車特定区間の新規適用区間による値下げも10円~20円程度ですが、51km以上では30円以上に値下げ幅が広がります。

主要区間の運賃はどう変わる?

では、主要区間の運賃はどう変わるのでしょうか。ざっと見てみましょう。

大阪~京橋 170円→180円
大阪~鶴橋 190円→200円
大阪~天王寺 210円→240円
大阪~ユニバーサルシティ 190円→200円
大阪~三ノ宮 420円(変更なし)
大阪~姫路 1,520円→1,460円
大阪~京都 580円(変更なし)
大阪~草津 1,170円→1,120円
京都~三ノ宮 1,110円(変更なし)
大阪~宝塚 330円→340円
大阪~三田 770円→750円
JR難波~奈良 580円(変更なし)
大阪~関西空港 1,210円→1,180円
天王寺~和歌山 900円(変更なし)

分割購入の効果は?

電車特定区間を拡大したことから、大阪を起点とした場合、滋賀や播磨エリアへの運賃が安くなります。そのため、京阪神の「特定運賃」を使った分割購入の効果はやや減衰します。

たとえば、大阪~草津の場合、京都での分割購入は、以下のように変わります。

大阪~京都 580円→580円
京都~草津 420円→410円
分割購入 1,000円→990円
大阪~草津 1,170円→1,120円
差額 170円→130円

新運賃では、大阪~京都が580円で据え置き、京都~草津が410円と10円安くなるので、990円となります。直通運賃は1,120円なので、差額は130円に縮まります。

同様に、大阪~姫路間は、現状1,520円(三ノ宮分割で1,410円)のところ、新運賃では1,460円(三ノ宮分割で1,380円)となり、差額は110円から80円に縮まります。

電車特定区間の新規適用区間では値下げになることが多いですが、「特定運賃」との乖離を埋めるほどではなく、分割購入は依然有効、ということです。(鎌倉淳)

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