笹生優花に託されたもう一つの役目 メンターとは?

今週与えられたもう一つの役目とは(撮影/石井操)

◇米国女子◇みずほアメリカズ・オープン 事前(15日)◇リバティーナショナルGC (ニュージャージー州)◇6677yd(パー72)

開幕2日前の火曜日、練習ラウンドを行う笹生優花は2人のアマチュアと一緒に回っていた。普段は朝早くひとりで回ることが多く、まれな光景。たまたまなのかと聞いてみると、「今週はメンター(導き手)だから」と意外な回答が返ってきた。

全米ジュニアゴルフ協会(AJGA)の取り組みで、今週は週末に入ると12歳から19歳までの24人のアマチュア選手らがプロらと一緒にロープ内でプレーをする。貴重な時間を過ごせるように出場する選手には一人ずつメンターを務めるプロがあてがわれており、笹生はそのうちの一人を担っていた。

開幕2日前はアマチュアのジュニア2人と練習ラウンドをした(撮影/石井操)

面倒を見る側として、話しかけやすい環境を作るように意識する。「ジュニアは恥ずかしがる子が多いし、自分もそうだった。プロの試合を見に行ったことはあるけど、自分から声を掛けに行くのはやっぱり難しかった」と7、8年前の自分の姿を重ねていた。それが好きな選手であれば、ことさら難度は上がる。「やっぱり準備で忙しそうにしているのに『一緒に回りたいです』はなかなか言えないと思う」

ここ数年にわたり、笹生はジュニアイベントを企画してきた。純粋に「ゴルフの話をする場」として運営しており、プロの世界を目指すジュニアを対象としているわけではない。そういう意味で今週の取り組みは「別物」(笹生)と捉えているが、「私もAJGAの試合は色々出たけど、プロと回れる機会はなかったのでプロを目指す子たちにはいいと思う。私たちにもいい影響が出るんじゃないかな」と意義を語った。

昨年は7位で終えた大会(撮影/石井操)

アマチュアたちとプレーするには、笹生自身が予選を通過する必要がある。昨年は7位と好成績で終えた大会。「最終的にはパターが入らないとどうしようもないけど、まずはショットで好位置に持っていくことが大事。そこに集中して、結果が良かったら次はパットが入るように集中して。全体的に良くないとスコアは良くないかな」とスコアメークに注力する。

「もし優花が15歳の時にミンジー(・リー)と回るってなったら『えっ』ってなるだろうな…」。2021年「全米女子オープン」を制したメジャーチャンピオンも、そう思われるに違いない。(ニュージャージー州ジャージーシティ/石井操)

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