「人々の暮らしに寄り添うビールを届けたい」 クラフトビール醸造・販売店舗をオープンへ 福島県郡山市の市街地で

郡山市初のビール醸造所オープンに向けて準備を進める佐藤さん(左)と安藤さん

 福島県郡山市の合同会社ピロノ代表の佐藤孝洋さん(34)は6月上旬、市内堂前町で市内初となるクラフトビールを醸造・販売する店舗をオープンする。構想10年の事業実現に向け、市街地にある築100年余りの石造りの倉庫を改装して醸造タンクを並べた。佐藤さんは「人々の普段の暮らしに寄り添うビールを届けたい」と夢を掲げる。

 醸造タンクではペールエール、セゾン、アイピーエー、ピルスナーと4種類のビールを仕込み、多様な香りや味わいが楽しめる。醸造所に併設するレストランでは店長の安藤僚(つかさ)さん(31)が地ビールと地元産野菜などを使った料理を提供する。

 佐藤さんは20代前半に、愛着ある地元で、好きなビールを仕事にする着想を得た。当時、国内各地で小規模醸造所による個性的なビールが誕生していた。国内外で理想のビールを訪ね歩き、長野県野沢温泉村の醸造所「AJB」のビール造りに感銘を受けた。2017(平成29)年に入社して約4年6カ月の間、英国人の醸造家の下で醸造を学んだ。県内に戻ってからは南会津町の醸造所を手伝いながら、郡山市での開業に向けて準備を進めてきた。

 今後はビールの原料となる大麦やホップも県内農家と協力して生産し、地産地消を目指す。佐藤さんは「日本酒の蔵元のように地ビールとして、100年にわたり地域から愛される醸造所になりたい」と未来を見据える。住所は郡山市堂前町12の6。

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