42歳・月収60万円超…肩で風切る「上位10%」エリートサラリーマン、ゆとりの人生のはずが65歳で受け取る年金額に衝撃「なにかの間違いでは?」

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どこまでも厳しく過酷な、サラリーマンの人生。どれほどがんばったつもりでも、結果は「給与額」という冷厳な評価によって、白日のもとにさらされる。上位10%の「エリート」ともなれば、本人も周囲も「デキるサラリーマン」との認識を持っているが、いざ年金生活になると、現役時代とは違った風景が見えてくるようだ。実情を探る。

大卒サラリーマン「上位10%」に入るエリートの給与額

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマン(平均42.6歳)の平均給与は、月収で40.8万円、賞与も含めた年収は673.6万円。中央値は月収35.3万円となっている。

大卒のサラリーマンの場合、月収が41万円を上回っていれば「自分の給料は平均より高い」と胸を張れることになり、35万円を上回っていれば「真ん中より上」と心を慰めることができるだろう。

月収48万円超となると、大卒サラリーマンの上位25%に入ることとなり、「勝ち組」といっていいかもしれない。上位10%に入るには、月収64万円に届いていることが必要で、ここまでくれば、正真正銘のエリートだといえる。

◆大卒サラリーマンの月収の分布

~20万円未満:2.35%

20万~22万円未満:3.76%

22万~24万円未満:6.06%

24万~26万円未満:7.29%

26万~28万円未満:7.23%

28万~30万円未満:7.20%

30万~32万円未満:6.69%

32万~34万円未満:5.99%

34万~36万円未満:5.07%

36万~38万円未満:4.71%

38万~40万円未満:4.51%

40万~45万円未満:9.50%

45万~50万円未満:7.29%

50万~55万円未満:5.50%

55万~60万円未満:4.24%

60万~70万円未満:5.51%

70万~80万円未満:2.94%

80万~90万円未満:1.50%

90万~100万円未満:0.87%

100万円以上~:1.78%

大卒サラリーマンの上位10%に入る、月収64万円のラインの場合、大卒サラリーマンの平均的な賞与額である月収3.5ヵ月分を得ていれば「ほぼ1,000万円プレイヤー」といっていいだろう。

そんなプライドがあればこそ、オフィスの廊下の真ん中を、肩で風を切るかのごとく颯爽と歩き、年収が下のスタッフたちからは、思わず羨望のまなざしが注がれる。

「ウッソ、たったこれっぽっち!?」…衝撃の年金額

「オレは特別」…そんな意識を持っていたサラリーマンも、いずれは年齢を重ね、引退するときが来る。大幅な年収の開きがあった、エリートサラリーマンと、普通のサラリーマン。年金もさぞかし…と思われるが、実際にはどうなのだろうか?

ずっと平均的な収入を得てきた大卒サラリーマンの場合、60歳の定年で現役を引退したら、標準報酬月額は56万円で、65歳から受け取れる厚生年金は11万3,500円程度だ。国民年金が満額支給(令和6年度、月額6万8,000円)だとすれば、月18万1,500円となる。

ならば、エリートサラリーマンの場合はどうか。標準月額は65万円で、65歳から受け取れる厚生年金は月13万1,800円。併給の国民年金と合わせると、月19万9,800円だ。

月収で30万円弱の給与差が付いていた、平均の大卒サラリーマンとエリートサラリーマン。サラリーマン時代は、大きな格差があったはずが、65歳から受け取る年金の差は、たったの「1万8,300円」とは、どういうことか?

じつは、厚生年金の計算の元となる標準報酬月額は「32等級の65万円」が上限であり、そこまで年金額に差は生じないのである。この事実は、元エリートサラリーマンからすれば「うそ、たったこれだけ?」「なにかの間違いでは」と、思わずにいられないだろう。

しかし、エリートであっても60歳定年で現役を引退してしまえば、年金はわずか月20万円弱という事実。まさかこれだけで「満足な老後生活」など送れるわけがあるまい。現役時代、あちこちから羨望のまなざしを送られていたエリートサラリーマンであっても、自身の老後生活は、自身の手でどうにかするしかないのである。

人の給料との比較して一喜一憂する自分に、情けない気持ちがよぎるかもしれないが、人間だもの、そんな側面はだれにだってある。戦うフィールドが違えば、感想は違うものになるかもしれないが、同世代で似たような立場にあれば、ひとり勝手に嫉妬の炎を燃やしたり、傷ついたりすることもあるだろう。

だが老後になれば、大変なのはどちらも同じようなもの。そう思えば、一般のサラリーマンたちも、少しは気持ちが和らぐかもしれない。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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