栃木県内観光客入り込み15%増 23年8387万人、コロナ前9割に回復 5類移行要因

 2023年の栃木県内観光客入り込み数は前年比15.5%増の8387万5915人、宿泊の延べ人数(宿泊数)は8.3%増の784万6663人となったことが15日、県観光交流課のまとめで分かった。5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し客足が戻ったとみられ、いずれもコロナ禍前の19年比で9割以上の水準に回復した。福田富一(ふくだとみかず)知事は同日の定例記者会見で「後半は行動制限がなく、もっと増えてほしかった。栃木の良さを国内外に発信したい」と述べた。

 県内市町の推計値を同課が集計した。

 入り込み数、宿泊数ともに増加した理由について、同課はコロナの5類移行で観光需要が回復したほか、インバウンド(訪日客)の増加、旅行代金を割り引く全国旅行支援事業「いちご一会とちぎ旅」も奏功したとみている。19年比では入り込み数が90.9%、宿泊数は95.0%だった。

 月別で見ると、入り込み数は年間を通じて前年を上回った。19年比では5類移行前の1~5月の平均は83.1%、移行後の6~12月は96.8%だった。宿泊数もおおむね前年を上回り、19年比では1~5月の平均が92.5%、6~12月は96.5%。入り込み数、宿泊数とも移行後の回復傾向が鮮明になった。

 市町別の入り込み数は、宇都宮市が17.8%増の1270万6400人でトップ。次いで日光市が13.8%増の992万5039人、那須塩原市が0.1%増の751万9662人と続いた。

 宿泊数の最多は日光市で、12.0%増の277万9992人。宇都宮市が5.0%増の185万113人、那須町が5.8%増の176万5038人。

 外国人宿泊数は23万5283人で、前年の5倍に増えた。全入国者に求めていたワクチン接種証明書の提出などの水際対策の終了が影響したとみられ、19年比の95.2%まで回復した。国・地域別では台湾、米国、中国の順に多かった。

 物価高による節約志向の高まりで旅行を控える傾向が強まっていることを踏まえ、福田知事は「長旅や海外に行けない人にとって栃木はもってこいの場所だと思う。しっかりPRを行い、今年も去年の数字を超えたい」と話した。

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