学びの時間はかけがえのないものに シニア大学生の卒業式

特集です。藤田裕太郎アナウンサーが取材しました。

去年5月の入学から、10月の学園祭、そして、今年2月には舞台デビューと、

何度か活躍ぶりを紹介してきた、65歳以上の現役大学生、シニア大学生についてお伝えします。

1年間の期間限定ながらキャンパスライフをエンジョイした皆さんが、先週、晴れて卒業しました。

学びの成果は多種多様。シニア大学生、最後の1日に密着しました。

藤田アナ 武田洋子さん69歳の自宅を訪ねました

自宅を訪れるのは、ちょうど1年ぶりでしたが、お変わりない様子です。

部屋にお邪魔するや否や、いただいたのは、淹れたばかりの、モーニングコーヒー。

コーヒーだけでなく、様々な面でお気遣いもいただきました。

朝の『目覚まし』に効く、1杯のコーヒー。武田さんが1年かけて取り組んだ、研究テーマです。

県立大は去年5月、65歳以上の人を対象に、入学して、研究やサークル活動に取り組んでもらうというシニア大学生の事業をスタート。

武田さんは学生生活に臨んだ15人のうちの1人

コーヒーをおいしく淹れるには、どうしたらよいのか?身近な関心事への答えを探るため、この1年間、試行錯誤を重ねました。

藤田

「どういうところを意識して淹れるとおいしいんですか」

武田さん

「『おいしくなぁれ』って感じですね笑…穏やかな気持ちで、

飲む人のことを考えて淹れるといいかなって。自分でイライラしてるとダメだって話聞いたんで」

藤田

「洋子さん大学でおいしいコーヒーをいろんなデータに基づいて研究されたんですよね…」

武田「うん。そうですね」

武田さんが1年かけて学んだおいしいコーヒーの極意は?

目が覚めるようなシャキッとした答えを導き出すための時間は、1年では足りなかったのかもしれません。

学生生活を締めくくる、研究成果の報告会へ。武田さんも最後の1日に臨みました。

多彩な研究成果が披露された場は、秋田市中心部のあきた芸術劇場ミルハスです。

1人あたりの持ち時間は、10分。

酵母を研究した伊藤晴美さん(68)

「分離された酵母は細胞の大きさだけでなく、円形や楕円などそれぞれかたちが異なりました」

江戸時代のエコライフを研究した伊藤伸子さん(76)

「循環型社会への関心が高まっています。このヒントが私の好きな江戸時代に隠されています。

足るを知る生活って大事だなということです」

コーヒーの研究に取り組んだ武田さんも、

多くの資料や写真を交えながらの研究報告を無事、終えました。

65歳以上ともなれば、子どもや孫も持つ世代。そうした家族の前で有終の美を飾った学生もいました。

次女・加納静佳さん(44)

「子どもたちがすごい喜んで、おばあちゃん頑張ってーって。」

「大学に行く日はやっぱりイキイキして前の日から準備してたりしてたので、

そういう姿は子どもたちにとっても刺激になったと思います」

加納琴子さん(68)「授業にも参加できて、そして何よりも大学祭。納豆汁、みんなで盛り上げてやったっていう。いろいろ楽しい経験させてもらって、本当に充実した1年でした」

多くの思い出をつくった学生生活も、いよいよフィナーレ。

藤田アナ

「学生たちの晴れの舞台に選ばれたのはミルハスの中ホールです。

多くの人が見守る中、シニア大学生1期生の卒業式、そして2期生の入学式が行われます」

学びの芽を育み花開かせた1年。学生たちは、多くの人が応募する中、入学試験に臨み合格しました。

研究の末つくった製品の特許を出願した人や、

民間企業が設立した団体から資金援助を受けることが決まった研究に携わった人もいます。

卒業という節目を迎えても、新たな学びや新たな発見は、まだまだ、続きそうです。

武田洋子さん

「自分にスポットライトあたるのはめったにないので本当になんか…いいのかなって感じ…

楽しい1年でしたね」

藤田声「この学生生活振り返って、一番の学びの成果。何でしょう」

その夜は、長い長い宴が、続きました。

この長い長い宴の中で、学生の皆さんは、これからも学びや成長を続けると決意表明をしていました。

わたしたちが取材した武田さんの決意は、

「衰えないように、歩くことを頑張りたい」で、体力づくりにも励むそうです。

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