映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』旅に出る瞬間を捉えた本編映像公開

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映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』の本編映像が公開された。

原作は、累計発行部数600万部を誇るベストセラー小説『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』。英国文学界最高峰の賞であるマン・ブッカー賞に加え、コモンウェルス作品賞にノミネートされた。日本でも2014年の本屋大賞翻訳小説部門第2位に輝き、重版された過去もあるなど、多くの人々に愛され続けている。

本作で小説家デビューを果たした原作者のレイチェル・ジョイスは、映画にも脚本家として参加。さらに女優としても活躍していた時期があり、映画の主演であるジム・ブロードベントとは、かつて親子役で共演したこともある。

その縁もあり、本国で小説が出版された際のオーディオブックのナレーターとしてブロードベントが選ばれており、「ハロルドが長い旅路の中で変化していく様子や、気付きを得ていく物語が好きなんだ」と当時から原作に魅了されていたという。

物語を生み出したきっかけについてジョイスは「当時、父が癌に侵されていて数年間の闘病生活を送っていたんです。様々な治療を行い、手を尽くしましたが余命数週間と宣告を受けたばかりで……。家族全員がショックを受けていました。その中で私は、近く訪れるであろう父との別れにどう向き合うのか、恐ろしい痛みにどう立ち向かうのか、それを自分自身の中で理解するためにこの物語を書き始めたんです」と壮絶な悲しみを乗り越えるための手立てとして、作品を書き進めていたと明かしている。

公開された映像では、主人公のハロルドが、かつての同僚でもうすぐ命が尽きてしまうクイーニーに会うことを力強く決意し、壮大な旅へと歩み始める瞬間が映し出される。ほぼ手ぶらで歩きはじめたハロルドのそばを多くの人々が通り過ぎ、イギリスの壮大な大自然が眼前に広がっていく様は、まるで人が生きる人生そのものを映し出しているよう。ジョイスがこの物語を完成させた背景を知ると、より一層心に響くようなシーンとなっている。

本作の監督を務めたヘティ・マクドナルドも「冒頭からその世界観に惹き込まれ、強く心を揺さぶられました。この作品の根幹には、悲しみ、喪失、罪悪感、そして癒しといった、多くの人が共感できる、とても大きなテーマがあります。その物語の主人公であるハロルドは、かつてないヒーローです。勇気をもって未知の世界へと踏み出し、信じることが癒しへとつながると教えてくれます」と原作の魅力を語り、「ハロルドは心の内に大きな不安や葛藤を抱えていますが、彼の旅は感動的で、時には詩的ですらあります。登場人物に寄り添い、その旅路をたどる映画を制作するという本作の試みは、素晴らしいチャンスだと思いました」と映画化に至った想いを明かしている。

また映画の公開に併せ、原作小説が『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』(亀井よし子訳/講談社文庫)と改題され、5月15日(水) より発売されている。

映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』本編映像

<作品情報>
映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』

6月7日(金) 公開

公式サイト:
https://movies.shochiku.co.jp/haroldfry/

(C)Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022

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