「稼ぐ公園」が北海道に? パークPFIの可能性

今週のけいナビの特集はパークPFI。民間企業が公園内に店舗を構え、そこで上げた収益で園内の施設の整備や維持管理をする取り組みで、企業、行政の双方にメリットがあることから全国各地で導入が進んでいる。北海道内でも恵庭市や厚真町が導入。札幌市も今年度から北区にある百合が原公園で導入する見通しで、大規模改修が予定されている大通公園も対象となるのか注目される。

番組MCの杉村太蔵さんが今回訪れたのは、恵庭市内にある「花の拠点 はなふる」。パークPFIの導入によって2021年にスターバックスコーヒー、2022年にはフェアフィールド・バイ・マリオットのホテルがオープン。市民だけでなく観光客も多く訪れるようになった。

パークPFIは、都市公園法の改正により制度化された。主な特徴は①店舗などを最大20年まで運営できる②建物の建ぺい率が12パーセントに拡大③広告物の占用が可能-の3点。このほか、事業に参加する企業には地元の企業にもメリットがある仕組みを講じることが条件となる。

その条件のもと出店が決まったのが「恵庭おむすび ゑびす」。スターバックスコーヒーの店舗に併設されている。もとは恵庭駅の近くで営業していたが、パークPFIの仕組みにのっとって移転してきた。移転後の売り上げ規模は以前の10倍だという。

恵庭市は、近隣の公園でもパークPFIを導入する。恵庭ふるさと公園では、造園工事業のコクサク(札幌・豊平区)が、スープカレーやパンケーキを提供する飲食店を運営している。

同社の早坂有生社長は「これまでは公園を造るだけだったが、飲食店を営むことで公園を利活用するという視点が生まれた」と説明。来園者が減る冬場の集客をどう図るかが課題だとしながらも、行政や地元の大学とも連携できることから「今後も取り組みを継続していきたい」と意欲を見せた。

厚真町でパークPFIの仕組みを活用しているのは、自動車部品製造のダイナックス(千歳)だ。ダイナックスはキャンプ場の運営に参入。冬期間も営業することで利用者を増やした。利用者の多くは町内の温浴施設やスーパーにも足を運ぶようになり、町の担当者も「地域の活性化につながっている」と話す。

札幌の大通公園にパークPFIが導入された場合、こうなるかもしれないという事例が道外にある。

札幌と同じようにテレビ塔がそびえたつ名古屋市の久屋大通公園。ここで2020年にオープンしたのが「Hisaya-odori-Park(ヒサヤ・オオドオリ・パーク)」だ。三井不動産が開発、全国最大規模のパークPFIと言われ、公園の両脇に飲食や物販の店舗が集積する。芝生広場も設けられ、憩いの場としての機能を残しながらもにぎわいが増した。

杉村さんは、北海道はパークPFI導入にうってつけの場所だとしながらも、「にぎわいが増すことに伴う騒音の発生といった問題には丁寧に対応する必要がある」と指摘。「飲食店だけでなく様々な業態の店舗が、北海道内の公園にこれから続々と出てくるのではないか」と展望した。

(2024年5月18日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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