久常涼はエース「L字」に戻り中島啓太は「黒ヘッド」に メジャー前のパター変更事情

2本のパターとともにPGAツアーを戦う久常涼(撮影/服部謙二郎)

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 事前(15日)◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)

今季メジャー第2戦の開幕を前に、日本の若武者たちのパターが替わっていた。まずは久常涼。練習日のバッグには2本のパターが入っており、ひとつはスコッティキャメロンのピンタイプ(ニューポート2 GSS)。もうひとつはオデッセイのL字マレット(ブラック・シリーズiX#9)で、「マスターズ」で使っていたキャメロンのL字マレットは見当たらなかった。

インサートを取り替えたエースパター(撮影/服部謙二郎)

「CJ(2週前の「ザ・CJカップ バイロンネルソン」)から、使い慣れたオデッセイのL字に戻しました。日本に帰っている間にインサートを取り替えてもらったんです」。久常のエースパターであるそのL字マレットは、長年使い続けたことでフェース面のインサートがはがれかけていたという。マスターズ後の帰国中に修繕を終え、「インサートを変えても同じようなフィーリングだった」と久常も一安心して再渡米に携えた。

もう1本の「ニューポート2 GSS」は帰国中に手に入れたもの。「浜松のキャメロンミュージアムに行って、タイガー(・ウッズ)と同じモデルのヘッドをお願いして購入したんです。打感がすごく良くて、音も含めて感覚を研ぎ澄ませるように打てる。何よりカッコいいでしょ、コレ」と言ってヘッドを見せてくれた。フェースがツルツルして鏡のよう。いかにも難しそうだ。

タイガー・ウッズモデルのパターを購入した(撮影/服部謙二郎)

しばらくは、オデッセイとキャメロンのパターを大会によって使い分けていく予定。「フィーリングが伝わりやすいものを1本(キャメロン)、試合になるとどうしても楽さを求めちゃうので、そういうものも1本(オデッセイ)。この2本が多分、これからのエースかなと思っています」。ひとまず今週は、オデッセイのL字でスタートを迎える予定だ。

続いて、月曜日に現地入りしてから黒いヘッドのパターで練習をしていた中島啓太。エースのテーラーメイド「TPリザーブB11」(シルバー)はどこへ行ったのか。

練習ラウンドはずっと黒ヘッド(撮影/田辺安啓(JJ))

「今週のグリーンはおそらく速いだろうなと思って、家にあったパターを引っ張り出してきました。ロングネックなので少しフェースバランスに近いんですよ」。見せてもらったテーラーメイド「TPコレクション ジュノ」は、確かにネックが長い。速いグリーンに対して、ある程度ヘッドが勝手に動いてくれるパターをチョイスしてきたわけだ。TPリザーブよりもシャフトは硬くて重く、よりストロークが楽になるという。「欧州ツアーだと芝目の強い国が多いので、軟らかくて結構パチンと打てるシャフト(TPリザーブ)が合ったのですが、この黒ヘッドはシャフトが硬いのでコントロールしやすい。イメージはマレットに近いブレード。やさしく感じたので持ってきました」

全米プロ用に持ってきた黒ヘッド(撮影/服部謙二郎)

毎週のように異なる国や地域でプレーすることで備えられた道具の対応力。こうした細かいことへの配慮や積み重ねが、成績に影響してくるのだろう。結果を出しているから2人だからこそ、やはり説得力がある。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)

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