戸塚区川上小 読書活動で文科大臣賞 端末活用し、言語力向上へ 横浜市戸塚区・横浜市泉区

表彰状を手にする堀部校長(左)と渡辺代表

戸塚区の川上小学校(堀部尚久校長)が4月、2024年度の「読書活動優秀実践校」として文部科学大臣表彰を受けた。国語科の授業と関連づけ、児童に配布しているタブレット端末を活用した取り組みが評価された。

文科省が2002年度から始めたこの表彰制度。子どもの読書活動の一層の推進を図るため、特色のある活動をする学校・園、図書館、団体・個人に対し表彰。今年度は全国263の取り組みが受賞した。

主体性を重視

川上小学校は国語の授業と関連づけ、児童に配布しているタブレット端末でできる「読書生活シート」を2022年に開発。5年生から6年生に活用した。このシートには、読んだ本や感想を書き込めるほか、自ら撮影した表紙の画像も挿入できる。図書館で本を分類する際に広く用いられている「日本十進分類法」も導入し、児童が偏りなく幅広いジャンルの本に興味を持てるような工夫がされている。

国語の授業に限らず、好きな時間に取り組めるようにしたことも特徴的だ。主体的に読書の楽しさを知った児童の一人は自宅から西村京太郎の本を持参し、シートに記入。さらにサスペンスの創作にもチャレンジした。多くの児童からも「読書生活シートで本の楽しさを知ることができた」といった声があがったという。今後は他学年の導入も検討中だ。

堀部校長は「ポイントはこのシートをクラスメイトが見られるようにしたことにある。情報を共有することにより、記録だけでなく、各自の読書生活の充実化を図ることを目的とした」と話す。

読み聞かせも活発

同校は20年以上前から週2回全校一斉の朝読書時間を設定するほか、月2回保護者や地域ボランティアからなる「ひまわり」(渡辺いづみ代表)が読み聞かせを行っている。読書月間には図書委員会が独自のイベントを企画・運営しており、「読書スタンプラリー」などの記念品として「手作りしおり」も作成するなどし、児童の読書活動への興味や関心を高めている。司書教諭や学校司書、「ひまわり」と、読書活動や学校図書館の様子をまとめた「読書活動パネル」を戸塚区役所や西武東戸塚S.C.に展示し、取り組みを発信している。感想や意見を学校図書館の環境整備や読書活動の充実に役立てるなど、意欲的だ。

堀部校長は「子どもたちに本を押し付けても良い結果には結びつかない。読書を単に推進しているのではなく、今後の人間形成に必要な言語力を身につけさせることが教育的なねらいとしてある。その入口が読書と当校では位置づけている」と語る。

読書生活シートを操作する児童

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