【レポート】第16回GA文庫大賞授賞式の模様をお届け 100名以上の出席者が6人の受賞作家を祝福

2024年5月10日(金)、東京都内某所にて、第16回GA文庫大賞の授賞式&受賞パーティーが開催された。GA文庫では、昨年に出席者を一部の歴代受賞作家に絞る形で、4年ぶりとなるリアル会場で授賞式を開催。今年はついに、コロナ禍以前の形式となり、出席者が100名を超える規模での開催となった。リモートや規模の縮小を経て、数年ぶりに顔を合わせたという作家陣も多く、会場のあらゆる場所で喜びの声が聞こえてくる貴重な機会となった。

第16回GA文庫大賞では前期で713作品、後期で811作品、通期で1,524作品の応募があった。そしてこのたび、《金賞+審査員特別賞》に1作品、《金賞》に2作品、《銀賞》に3作品の計6作品が受賞を果たした。このたび設けられた《審査員特別賞》は、GA文庫大賞初の試みとなり、特別審査員である大森藤ノ氏一押しの作品に贈られる賞として、1作品が《金賞》との同時受賞となった。授賞式には歴代の受賞者はもちろん、GA文庫やGAノベルで作品を執筆する作家陣が顔を揃え、立食形式で実施。会場のあちこちに人が集まり、大きな賑わいをみせた。

また、今回は授賞式を第一部、受賞パーティーを第二部として開催された。授賞式は関係者に見守られ、厳かな雰囲気の中、賞状と盾が受賞者に手渡された。第二部では出席者が会場入りし、100名を超える作家や編集者たちの前で、受賞した6人が緊張の面持ちを浮かべながら挨拶と意気込みを語った。『イマリさんは旅上戸』にて《金賞+審査員特別賞》を受賞した拾宇勇気氏(刊行時のペンネームは結城弘)は、「ここに立っているのが本当に信じられない」と吐露。また、自身の旅好きにも触れ、「周囲からは真っ直ぐに生きろと言われてきたが、これまで様々な寄り道をしてきたからこそ、この作品が生まれた」と思いの丈を語り、「自分をここまで連れてきてくれた物語という力は、寄り道をするたびに強く実感する。これから先もとんでもない場所へ連れていってくれると信じて、いい作品を書けるよう頑張っていきたい」とコメントした。

『一週間後、あなたを殺します』にて《金賞》を受賞した幼田ヒロ氏は、「昔からライトノベルが本当に大好きで、ライトノベル作家にすごくなりたかった。中高生の頃はお小遣いもお年玉もすべてライトノベルの購入に充てていた」と、無類のライトノベル好きであることを振り返りつつ、受賞の喜びを語った。そして壇上で胸を張り、「5年以内にアニメ化するような作品を作ります!」と意気込みを口にした。

イラスト:あるてら

『文学少女に囁く愛は三十一文字だけあればいい』(改題後は『恋する少女にささやく愛は、みそひともじだけあればいい』)にて《金賞》を受賞した畑野ライ麦氏は、受賞の喜びに触れながら、「この賞を長く続けてこられた編集部、歴代の受賞者の方々、その積み重ねがあってこの場に立たせていただいている。これからは私もその一部となれるよう頑張っていきたい」とコメントした。

イラスト:巻羊

『贖罪のマンティコア』にて《銀賞》を受賞した境井結綺氏は、「これまで口にしてきた作家になるという伏線を回収できた」と喜びながら、自身の受賞作に言及。「ダークファンタジーでありつつ、ミステリーのような読後感を味わえる」としながら、ダークをやりすぎてしまった作品だと語り、会場の笑いを誘った。

『四天王最弱の自立計画』にて《銀賞》を受賞した西湖南氏(刊行時のペンネームは西湖三七三)は、GA文庫編集部のWEBラジオ「GA文庫編集部ラジオ会議」のヘビーリスナーであったことを告白。「私の作家としての血を濃くしていただいたのは、紛れもなくGA文庫」と振り返り、「初心を忘れず、何かにぶつかった時は、編集様の穏やかな声を思い出して精進していきたい」と今後の意気込みを語った。

『空の上、宙の下』にて《銀賞》を受賞した畑リンタロウ氏は、GA文庫で刊行作業をするにあたって自身の筆が早くないことを挙げ、「GA文庫編集部には作家を缶詰にするというイベントがあるようで……」と、作家ならではの話題に触れた。一方で「缶詰と聞くとちょっとだけされてみたいなという思いもある」と笑いを誘いながら、「缶詰にしてでも物語を書かせたいと思ってもらえる作家になれるよう、小さいことからコツコツと頑張っていこうと思います」と挨拶を締め括った。

そして壇上には、GA文庫の編集長・宇佐美氏も登壇。「いずれもユニークでバラエティに富んだ作品を6本、世に送り出せると編集部一同自負しております」と太鼓判を押し、「受賞されたみなさまは作家としての人生のスタートに立ったわけで、受賞がゴールではありません。編集部としてもみなさまと一緒に、大ヒットに繋がるような作品を作っていきたい」と引き締めた。また、5年ぶりに多くの出席者を招く形で開催された授賞パーティーについても言及。「少しでも旧交を温める機会になれば」としつつ、「厳しい出版業界ではありますが、全力を尽くしてやっていきたいと思います」と編集部としての意気込みも語った。

※GA文庫編集長・宇佐美氏

さらに作家代表挨拶として、第1回GA文庫大賞の受賞作家であるあわむら赤光氏が登壇。急遽大森藤ノ氏の代役としてこの場に立ったことを明かし、会場の笑いを誘った。そして「自分が主役のパーティーは一生に数度、それこそ一生に一度あるかないかの機会」と強調。「錚々たる顔ぶれの作家陣が集まっているわけですから、たくさん甘えて、いっぱいお話して、ちやほやされて、悔いがないよう楽しんでください」と、今日という日の大切さに触れながらコメントした。

最後に第8回GA文庫大賞の受賞作家で、『一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる』のTVアニメ化も発表されている菱川さかく氏も登壇。昨今はデビューの手段が多様化していることに触れながら、「新人賞でデビューすることのメリットのひとつとして、同期ができること。損得勘定抜きで相談し合える仲間ができる、そこからスタートできるのは非常に大きなことです。ぜひ同期の方とも仲良くして、交流を深めていただくのがいいと思います」と挨拶。乾杯の音頭を取ると、会場は大きな拍手に包まれた。

歓談タイムではくじ引き抽選会も実施されるなど、会場は大きな盛り上がりをみせた。昨年とは異なる多くの出席者が会場のあちこちを忙しなく動きながら、名刺や挨拶が飛び交う様子は、まさにコロナ禍以前の姿と取り戻したと言える。今回受賞した方々も、多くの現役作家陣と交流ができたに違いない。そして現役の作家陣もまた、数年ぶりに顔を合わせ、積もった話を語る貴重な交流の機会にもなっていた。出席した作家陣はさらなる飛躍を誓うことはもちろん、第16回GA文庫大賞を経て、作家として新たなスタートを切る6人の作家陣の活躍にも大きな期待が寄せられる。第16回GA文庫大賞受賞作は、2024年7月より順次刊行が予定されている。

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