息子の”就活”が始まりました。「就職超氷河期」の頃と「現在」とでは平均年収はどのくらい異なるのでしょうか?

就職氷河期と現在の就活事情を比較

「就活」を始めようとしている子どもたちの親世代は、1993年から2004年に学校卒業期を迎えて就職難を経験した世代かもしれません。

「平成21年版厚生労働白書 暮らしと社会の安定に向けた自立支援」では、当時の就活事情について「大卒では求人倍率は1990(平成2)年の2.77から2000(平成12)年には0.99に……高卒についても、求人倍率は1990年の2.57から2003(平成15)年の1.21に……落ち込んだ(一部抜粋)」ことが記されています。

1994年には「就職氷河期」という造語が、新語・流行語大賞の「審査員特選造語賞」に選ばれ、この世代は「ロストジェネレーション(失われた世代)」とも呼ばれています。1990年のバブル崩壊で多くの企業は人件費の削減を実施せざるをえなくなり、新卒者の就活は難航しました。

1990年代後半から2000年頃にかけては、金融不安やITバブル崩壊により景気悪化が加速し、「就活超氷河期」とまで呼ばれるほどでした。

就職氷河期に就活をしていた親世代にとって、現在の若者の就活事情はうらやましいと感じられるでしょう。厚生労働省によると、2023年度の有効求人倍率は1.31倍で、ここ数年、売り手市場が続いているとのことです。

就職氷河期と現在の20代の平均給与は

就活を始める若者や親世代には、就職氷河期と現在の20代の年収が気になる方もいらっしゃるでしょう。国税庁の「民間給与実態統計調査結果」を基に、「就職氷河期」が流行語大賞を取った1994年から2004年までと2022年の、20代の平均年収をまとめると表1の通りです。

表1

※国税庁「民間給与実態統計調査結果」を基に筆者作成

同調査結果から、現在の20代の平均年収は、就職氷河期が厳しくなった2000~2004年の水準と比較すると、20代前半で3万2000円~22万8000円、20代後半で30万7000円~44万9000円高いことが分かります。

就職氷河期には、正社員になれずに非正規社員で働く人が増えたことが社会問題になり、その後も正社員になることなく現在に至る方もいらっしゃいます。また正社員登用されたものの、転職を繰り返したり失業したりした方も少なくありません。

就職氷河期の厳しい時期に就活を行ったため、現在でもさまざまな課題に直面している方が多いことから、厚生労働省では「就職氷河期世代活躍支援」への取り組みを行っています。

売り手市場の現在は就職氷河期よりも20代の年収が3万2000円~44万9000円高い! 就活が楽なわけではない点にも注意

就職氷河期が厳しくなった2000~2004年と現在の20代の平均年収を比較したところ、現在のほうが20代前半で3万2000円~22万8000円、20代後半で30万7000円~44万9000円高いことが分かりました。

就活に関しても、現在は売り手市場が続いていることから、就職氷河期世代から見るとうらやましい状況だといえるかもしれません。

しかし、現在の就活は楽であるというわけではない点に注意が必要です。アフターコロナの時代になり就活の常識が目まぐるしく変化していることもあり、希望する就職先からの内定を得るために、子どもと親はしっかりと就活に備える必要があるといえるでしょう。

出典

[厚生労働省
平成21年版厚生労働白書 第2章 様々な場面における、個人の自立と社会の安定に向けた取組み(17ページ)](https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/09/)
一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について
国税庁 民間給与実態統計調査結果 統計表 3-10

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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