新星・新村駿が信じる“2年目の逆ジンクス”「今年はいいんじゃないかなあ」

前週4位の勢いに乗り「66」をマーク(撮影/奥田泰也)

◇国内男子◇関西オープン 初日(16日)◇名神八日市カントリー倶楽部(滋賀)◇6869yd(パー70)

最終9番ティイングエリアでアドレスに入りかけて、止めた。前後のティマークと自分のボール位置を見比べ“デベソ”になっているようで、笑ってティアップし直した。そんな新村駿のドライバーショットは右OBゾーンに消えた。

この日は4アンダー「66」で午前組トップスコア。上がりのダブルボギーがなければ…という不満、不機嫌さを感じさせない前向きさが、新村にはある。

プロ2年目を迎えた。スポーツ界では2年目の成績に苦しむ選手も多いジンクスがあるが、「僕はいつも1年目が悪いんです。だから今年はいいんじゃないかなって」。長野・佐久長聖中1年は普通にゴルフが下手だった。同高1年は関東ジュニアに長野県予選で落ちた。日大1年はアイアンでシャンク癖が出て、時に90近く叩いたりしていた。プロ1年目の昨年は、22年に腰を骨折した影響で「腰椎分離症」を患い、まともにゴルフができなかった。

アマチュアで顕著なタイトルはないものの、ポテンシャルは高い。キャリーで300ydを超えるパワーフェードヒッターはこの日、314ydと短い前半16番ではユーティリティでガードバンカーに入れて、そこから放り込んでイーグル奪取。422ydの18番は「フォローだし、思い切り振って」とドライバーショットをグリーン手前エッジ60yd地点まで運び、余裕のバーディを決めた。

中島啓太、蝉川泰果ら同学年を追いかける23歳(撮影/奥田泰也)

「同年代がすごく活躍しているんで」。同学年に中島啓太、蝉川泰果らがいる。新村にとって2人は格好の道標。中島は日本で賞金王になり、その権利で挑んだ欧州ツアーで3月末に優勝。同ツアーからの米ツアー(PGAツアー)出場権を目指している。「啓太は“いい道”を見せてくれていると思うんです。僕は漠然と海外に挑戦したいと思ってきたけど“こういうルートがある”と示してくれているような」

蝉川はツアーで史上初の“アマチュア2勝”を果たして、プロ転向した。「彼がアマで勝った時に、メディアとかみんな驚いていたけど、僕はびっくりしなかった。学生の試合ではぶっちぎりのスコアで勝ってましたしね」。飛距離では「蝉川には負けません」と即答するだけに、蝉川の躍進がそのまま自分の自信になっている。

大きな夢がある。「PGAツアーでタイガー・ウッズと一緒に回りたいです」。ウッズの現状から見れば、残された時間は多くないが、諦めたくない。

前週の「For The Players By The Players」がツアー出場4戦目で、初の予選通過を果たして4位になって、今週の出場権を得た。来週の「~全英への道~ミズノオープン」(23日開幕/岡山・JFE瀬戸内海GC)も今大会10位以内に入らないと出られない。「ミズノで3位に入ったら、全英オープンに出られますよね」。笑顔で語る“サクセスストーリー”を実現させるため、23歳の新鋭が全力を尽くす。(滋賀県東近江市/加藤裕一)

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