水原一平事件は“オワコン”?いよいよ佳境もSNSに《飽きた》の声…識者はTVの報道手法に苦言

ロサンゼルス連邦地裁を去る際に報道陣に取り囲まれる水原一平被告(C)ロイター

ドジャース大谷翔平(29)の預金口座から不正に送金したとして、銀行詐欺と税の不正申告などの罪に問われている元通訳の水原一平被告(39)が5月15日(現地時間14日)、罪状認否のため米ロサンゼルス連邦地裁に出廷した。

水原被告は、すでに罪を認める司法取引に応じて裁判で争わない姿勢を見せているが、この日は手続きの都合上、無罪を主張。今後、実質的な審理を経て判決が言い渡されることになり、事件はいよいよ佳境に入った格好だ。

ところが、X(旧ツイッター)を見ると、視聴者から《水原一平の件 ニュースばっかり飽きた》といった、連日の報道にもはや飽きたという声が続々。もちろん、《司法取引って公然と言っちゃってるだけにその取引がなんなのかわからないけれど水原氏の身の保障の在り方含め気になる》といった、裁判に関心を示す投稿も多数見られるが、本来最も注目されるべき裁判が始まったにもかかわらず、何とも残念な状況とだ。

中には、《もういいかげん飽きた 朝のテレビの1番のニュースは野球詐欺の通訳の裁判。こんなバカのニュースを1番に報道して何の意味がある》といった、水原事件の報道姿勢を良しとしない論調も根強い。このような声が上がる一因として、テレビの報じ方や取り上げ方に問題がある可能性はないのか。

同志社女子大学でメディアエンターテインメントを研究する影山貴彦教授は、今回の事件の罪状が重大であるがゆえに、「メディアの使命として報じざるを得ない」としつつも、その過熱ぶりには問題があると指摘する。

「日本のメディア、とりわけテレビは明けても暮れても当該事件オンリーになってしまっています。次々と新事実が出てきてそれを矢継ぎ早に報道するがゆえの結果ならまだしも、コメンテーターが推測を交えつつ語るシーンなども使って放送時間を埋めています。この状況を見る限り、メディアは自らの使命を果たすことよりも視聴率を稼ぐのが主たる目的になってはいないかと考えてしまいます」

ここから導き出される結論として、影山氏は続ける。

「これらの報道に辟易としている視聴者から報道への苦情が出ているという状況であり、視聴者から『飽きた』という声が上がるならば、それは『報道の手法に飽きた』ということ。そして、それはメディアの責任だと言えるでしょう。漫然と続けられている『工夫なき報道の洪水』への反対表明として、メディアは重く受け止めるべきではないでしょうか」

現在の報道姿勢に対して視聴者が違和感を覚えるのは、無理もないということか。

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