J1最下位に沈む京都、曺監督が見据える今後「全部変えて臨むなら僕が監督である必要はない」

京都は浦和に完敗で4連敗【写真:徳原隆元】

浦和に完敗で4連敗…勝ち点9の最下位に沈む

京都サンガF.C.は5月15日のJ1リーグ第14節で浦和レッズとアウェーゲームを戦い0-3の敗戦。勝ち点9にとどまり最下位に沈んだが、曺貴裁監督は「絶対にこの状態を自分たちで乗り越えるというエネルギーだけは失わないようにしたい」と前を向いた。

京都は試合の立ち上がりから浦和のビルドアップに勢いのあるプレスをかけた。序盤は浦和もロングボールでそれを回避するような場面があったが、徐々に間を突かれるようになり前半30分くらいからはかなり前進されるようになってしまった。曺監督は「今日で言うと、前半の最初は浦和さんのほうが少し疲れが見えるかなという展開だったと思う。ウチもメンバーは何人か替えたけど、非常にフレッシュに入ってもらって、相手のやりたいことをそんなに出させなかった前半だった」と話した。

しかし、具体的なゴールチャンスはそれほど作り出せず、逆にハーフタイム間際に先制点を許してしまう。そして後半の立ち上がりには京都が浦和ゴール前に攻め込み、こぼれ球に反応したMF福岡慎平が決定機を迎え右足シュートを放つもゴールポストに当たって外れた。その後の試合展開からすれば、結果的に京都はこのチャンスを逃したことが重くのしかかった。

前半と同様にプレスに打って出る京都だったが、前半以上に浦和に外される場面が目立つようになった。GK太田岳志のPKセーブなどもありながら2点を追加され、最終的には3点差を追う試合終了間際にDFアピアタウィア久が相手FW興梠慎三を倒し決定的な得点機会の阻止(DOGSO)で退場処分に。次戦以降にも影響を残してしまった。

それぞれの選手を見れば頑張りは伝わるが、どこに追い込んで奪うかが見えてこない状態で3本目、4本目のパスではフリーな相手につながれて前進されてしまう。直線的に追ってボール際で横に外されると止まれずにファウルをしてしまう場面も多くなった。曺監督は「今日見せたインテンシティーはわれわれの宝だと思っているので、そこを担保しながらメンバー選びをして、試合に臨まなければいけない」と話したが、それぞれの頑張りを線としてつなげることは必要だろう。

走行距離はトータルで4キロほど浦和より長く、スプリント回数は58回も多い。しかし、それらが相手に対して効果的に機能しているのかというと疑問符がついた。浦和のペア・マティアス・ヘグモ監督は「後半に入ってからはスペースがどんどん生まれてきた」と話し、浦和の選手からは「(京都が)90分持たないのは分かっていた」「遅れてどんどん前に出てズレていく守備の感じだった」という声もあった。

曺監督は「自分たちが長い時間を掛けて作ってきたものをJ1という舞台で挑戦して広げないと京都は前に進まないと僕自身は思う。つくりや準備、やろうとしてきたことを全部変えて臨むなら僕が監督である必要はない。結果がどうであれ、自分たちが進む方向に対して僕が強いメッセージを投げ続けることで選手が乗り越えると信じている。ほかの監督さんが来てどうなるかという問題はあるけど、僕自身が一番選手を信じていると自負している。その路線でまだあと半分以上あるので、やっていきたい」と、現状と今後について記者会見で話した。

14試合で勝ち点9の最下位は厳しい状況だが、指揮官の言葉通りに乗り越えられるのか。4連敗となってしまったが、きっかけになるゴールや勝利が欲しいところだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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