ホンダ、電動化とソフトへ投資倍増 30年度までに10兆円

Maki Shiraki

[東京 16日 ロイター] - ホンダは16日、電気自動車(EV)を中心とする電動化とソフトウエア領域に2020年度から30年度までの10年間で従来の2倍となる約10兆円を投資する計画を発表した。EVで先行する中国勢や米テスラを追撃するため、EV向け電池の自前調達やソフト開発を加速して巻き返しを図る。

ホンダは22年に電動化とソフト領域に研究開発費と設備投資で30年までに計5兆円を投じると公表していた。10兆円の内訳は、ソフト開発と電池にそれぞれ約2兆円、次世代工場を含む生産領域などで6兆円。

三部敏宏社長は同日の経営説明会で、EVは北米や欧州では成長の減速感がみられるが「EV黎明期には変動があるのは織り込み済み」とし、ホンダが手掛ける二輪と四輪などの小型モビリティーは「長期的にはEVシフトが着実に進んでいくと確信している」と述べた。

投資を倍にする理由としては、EVのコストの3─4割を占める電池をまず「手の内化」することで「安定調達とコスト削減」を図るほか、「人工知能(AI)を中心としたソフトウエア開発」を強化するためとした。

今後、北米で調達する電池コストを現行比で20%以上削減、生産コストを35%削減するなどし、30年にはEVで営業利益率5%の実現を目指す。同社は30年に約200万台のEV生産を計画している。

世界戦略車のEV「0シリーズ」では30年までに小型から大型まで全世界で7車種を展開。日本では25年度中にモバイルパワーパックを4個搭載する超小型モビリティを投入する。中国では27年までにEV10モデルを発売し、35年までに販売する全モデルをEV化する。

北米を中心に需要が堅調なハイブリッド車(HV)は、25年3月期に100万台(前期は85万台)の販売を計画するが、三部社長は、29年から30年がピークで「180万台くらいになる」との見通しを示した。10日の決算会見で同社長は、HVは「30年に200万台規模の態勢を備えたい」と語っていた。

三部社長はまた、中国で人気化しているプラグインハイブリッド車(PHV)に関しては、市場のある中国では対応しているが「今のところ積極的に拡大展開していく計画はない」とした。

「電池は空になれば重りで、電池だけで走る時はエンジンやトランスミッションという重たいものを引っ張らないといけない」などと話し、PHVは「コストを含めて非常に厳しいシステム」と指摘した。今後、一部の市場でPHVが伸びる場合は「技術は持っているので、そんなに時間をかけずに対応は可能」とした。

ホンダは30年までにHVを含めて販売する新車全てを100%電動車にする計画で、EVと燃料電池車(FCV)の販売比率を世界で30年に20%、35年に80%、40年に100%にするという目標を掲げている。

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