2024年5月15日、FC町田ゼルビアとセレッソ大阪の試合前、配布されたメンバーリストを見て、ふと思う。C大阪の清武弘嗣はベンチスタートか、と。サッカーセンスの塊で難しいプレーもいとも簡単にやってのける彼が日本代表や海外のクラブで活躍していた頃を覚えているからこそ、控えにいることが寂しく感じてしまう。
昨季は左太ももの負傷で長期離脱を強いられるなどして、フラストレーションを溜めているのは他ならぬ清武本人だろう。実際、77分から途中出場した町田戦での自身の出来について「ここ数試合、あの時間帯に入る時が多いのできついですね。ただ、(町田に1-2で)負けたので何も言えないです」と、低いトーンの声でそう話していた。
「基本的にメンバーに入ってもこの時間帯に使われるので、なかなか難しい時期が続いています。矢印を自分に向けながら日々やりたいなと思います」
チーム内での序列について、清武は「一番低い」感覚でいる。
「今日もブエノが先に出ましたし、僕は終盤に出場するので、自分は厳しい立ち位置にいる。今はここにいるので、精いっぱいやるだけです。それからのことは自分の人生なのでゆっくり考えたいと思いますが、今はここにいるのでチームのために頑張りたいです」
このまま終わる選手では決してないと、そう信じている。これほど才能に恵まれたプレーヤーは滅多にいないのだから。
清武は自身のキャリアが終盤に差し掛かっていることを十分に理解している。
「自分を必要としてくれるようにまずは頑張らないと。自分も先は長くはないので。ぼちぼちと色々と考えながらやりたいです」
現在の真情を吐露してくれた清武。34歳となり、色々と考えることもあるだろう。
ただ、本人の耳に届くかは分からないが、忘れないでほしい。
ここからの復活劇を願っているのは、何もC大阪のファン・サポーターだけではないということを。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)