“世界最大規模”の坐禅イベント「總持寺 世界禅Challenge – Zen in One –大本山總持寺」を開催

全国に約15,000カ寺の寺院と1,200万人の檀信徒を有する曹洞宗の大本山である、神奈川県横浜市鶴見区にある曹洞宗大本山總持寺(そうとうしゅうだいほんざんそうじじ/ 以下、總持寺)では、令和6年4月より順次執り行われる「曹洞宗大本山總持寺太祖 瑩山禅師700回 大遠忌法要(だいおんきほうよう)」に向けて、令和5年より、禅や仏教に関心を持つ方だけでなく、多くの人々に向けて瑩山禅師の教えに触れていただく、ご縁をむすぶための取り組み「曹洞宗大本山總持寺 太祖 瑩山禅師700回大遠忌 特別企画」を実施。今までに全国7カ所を巡ってきた。

この集大成として5月12日(日)に「總持寺 世界禅Challenge - Zen in One –大本山總持寺」を開催。曹洞宗史上初として總持寺を含む日本8カ所と世界4カ所がオンラインでつながり「坐禅」を実施した。

總持寺の「大祖堂」には、畳1000枚もの広さがあり、本格的に坐禅できる場所ではトップクラスだ。そんな總持寺には合計で645人が集まった。

その他、大本山永平寺 (福井県吉田郡)、定光寺(北海道釧路市)、正法寺(岩手県奥州市)、正法寺 愛知専門尼僧堂(愛知県名古屋市)、 洞松寺(岡山県小田郡)、總持寺祖院(石川県輪島市)、安國寺(福岡県福岡市)の7カ所でもオンラインで中継も行われ、実際に坐禅に参加できる会場もあった。

そして時差があるにも関わらず、海外からは両大本山布 哇別院正法寺(ハワイ)、拓恩寺(パラグアイ共和国)、両大本山北米別院禅宗寺(北米 / カリフォルニア州) 、禅川寺(ヨーロッパ / オランダ)の4カ所もオンラインで座禅に参加。パラグアイではこの時、夜中の0時半、そしてオランダでは朝の6時半と時間も様々だった。

この様子はYouTubeを通して世界に配信された。これにより県や国、時差を超えて世界合計1,204人が参加するという盛大な坐禅イベントとなったのだ。

曹洞宗は今から800年ほど前の鎌倉時代に「道元禅師(どうげんぜんじ)」が正伝の仏法を中国から日本に伝え、はじまった。坐禅の教えを拠りどころとするため、修行の根幹は坐禅の実践。そのため、今回を機に坐に親しみを持ってもらい、總持寺にもお参りにきていただきたいとオープニングで照井文隆老師は語った。

ゲストMCには寺・仏像研究家、お笑いタレントのみほとけさんも登場。それぞれの日本と世界の会場に中継を繋ぎ、コメントをもらっていった。また、会場となった寺には多くの人が集まっている姿が見えた。

坐禅の前には總持寺の中央でご祈祷が行われ、厳かな空気の中、場や心が浄化された。

その後、坐禅の指南がスタート。指南を行った花和浩明老師は「仏教徒の本筋である坐禅をしっかり伝えていきたい。私たちが生まれた時から備わっているもの、それが禅である。”今、ここに”これが真実である。このことを坐禅を通して自分のものにしてもらいたい」と話した。

坐禅の指南では坐禅用の坐蒲(ざふ)の使った座り方から始まり、足の組み方、腕、指の組み方など細かいところまで説明があり、坐禅初心者でもわかりやすい。

坐禅は基本、素足で行い、足を組むのが難しい人にとっては椅子での坐禅も大丈夫だそう。座って行う方は背筋は伸ばすように伝えられた。坐禅を行う時は目はつぶらずに半眼。呼吸が大切で腹式呼吸で深くゆっくりとした呼吸をするように伝えられた。

坐禅の基本は心を無にすること。どんなことが思い浮かんでもほっておく。気にせず、ありのままで続けると坐禅が心地よくなっていくと説明。また、坐禅には呼吸、姿勢、心の3つを整えるのが大切だそうだ。

その後、ゲスト含めて日本と世界の参加者全員で約40分の坐禅が行われた。

坐禅後のみほとけさんは痺れた足をさすりながら前に出てきて「今回はMCということもあり、頭がパンパンだったので、集中できないだろうなと思っていたのですが、足を解いてくださいと言われるまで、こんなに足が痺れているとは思わないほど集中していました。自分の境界線が広がった気がします」とコメントした。

会場に訪れた方も「足が痺れましたが、気持ちよかったです」「途中、記憶がなくなって、心のうちに入れました」と各々、有意義な坐禅時間を過ごしていたようだ。

【ゲストによる禅Talk】

最後に有田 秀穂さん(脳生理学者)、GOMAさん(ディジュリドゥ奏者・画家)、中澤 佑二さん(元サッカー日本代表)、MCにみほとけさんが前に登場して禅Talkが開催された。

GOMAさんは世界最古の楽器、ディジュリドゥ奏者でもあり、当日はその音色を会場で披露した。

この楽器を奏でるには鼻から息を吸っているあいだに口腔内の空気を押し出す事によって発音し絶間なく音を持続させる循環呼吸法という特別な呼吸法が必要となる。その循環呼吸法を行っていると覚醒されてゾーンに入っていく感覚を覚えることがあり、坐禅と近しい感覚があると話した。

中澤さんは試合中に集中の仕方を聞かれると、本番に後悔のないように日々の練習、健康管理、睡眠など自分ができる全てのことをやっておく。また、PK戦などの緊張する場面ではより冷静な判断をするために呼吸を整える選手もいるなど、トップアアスリートは食事、睡眠、トレーニングだけでなく呼吸法を取り入れている人も増えていると話した。

有田さんは、脳生理学者の視点からストレスを感じてる人は呼吸を整えると間違いなく、心とカラダを整えてくれるのですごく納得できる。坐禅の呼吸法は脳、心、カラダを整える素晴らしいメソッドだ。また、朝に坐禅やウォーキングをして呼吸を整えることでセロトニンが活性化するのも大切。このことにより、昼間はポジティブになり、夜になるとセロトニンが睡眠ホルモンのメラトニンに変わってくれて、良質な睡眠にも繋がると話した。

4時間以上にもわたる豪華なイベントとなり、参加者にとっては坐禅も体験できた貴重な時間となったようだ。このようなイベントを通して坐禅はさらに多くの人々に浸透していくのだろう。

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