知っていますか「正しい座り方」 福岡市・天神で6月2日に無料講座、参加者募集

次に、椅子の座面と座骨の接触を意識しながら、座骨に体重が乗る姿勢にする

「正しい座り方を知らない人が多すぎる」。福岡市の理学療法士、伊良部龍美馬(りょうま)さん(34)は勤務先の病院で患者を治療しながら、そう思うようになった。姿勢を意識すると痛みが和らいだり、健康の維持につながったりする。12年のキャリアを踏まえ、6月2日、同市・天神の西日本新聞会館で無料の講座を開く。

伊良部さんは高校を卒業後、福岡県内の自動車関連会社に就職した。だが、看護師をする母の影響を受け、自身も医療分野で人の健康に貢献したいと思うようになり、退職して専門学校に入学。2012年に理学療法士の免許を取得し、同市の病院で働き始めた。

治療するのは1日に10人余り。腰痛や肩凝り、首の痛みに悩む人は多い。座っている際の姿勢を尋ねたところ、自身が専門学校などで学んできた座り方を実践している人は皆無だった。

ある高齢者はかつて「背中に物差しを入れて背筋を真っすぐにするよう指導された」と語っていた。そのやり方では反り腰になる恐れがある。そこで伊良部さんは、治療と同時に「正しい座り方」も伝えるようにした。

その方法は自分の両手で尻の下を触り、座骨の位置を認識する椅子の座面と座骨の接触を意識しながら、座骨に体重が乗る姿勢にするずっと同じ姿勢では疲れるため、骨盤を寝かせたり立てたりする動作をときどき加える-というものだ。

治療や薬などの効果もあるにせよ、座り方を見直して腰痛や肩凝りが改善した患者は多かった。ただ、既に脊椎や骨盤が変形していて、教えた姿勢の通りには座れない人もいた。

「病院に来るのは、我慢できないくらいの痛みが出始めた人がほとんど。もっと早く正しい座り方を知っていれば、防げた痛みもあったはず」と伊良部さん。広く伝えるため、今回の講座を開くことにした。

座り方には、椅子の形状や座面の硬さも関係してくる。学校によくある座面が硬い椅子だと座骨が痛くなりやすく、クッションを置くなどの工夫も必要。講座ではそうしたアドバイスも行う。

伊良部さんは「常に背中が丸まっている人は無自覚に呼吸が浅くなり、自律神経の低下につながる。姿勢を変えて、体のまひが改善したという報告もある」と話している。

(四宮淳平)

講座は西日本新聞社主催。6月2日午前10時半~正午、西日本新聞会館10階会議室で。定員約60人で年齢制限なし。申し込みはこちらから。応募多数の場合は抽選。27日以降に当選者に通知する。

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