食生活の偏りが心身の不調の原因に!海外で摂取不足が注目される栄養素「ビタミンB1」とは

経済の発展や食の⻄洋化によって日本人の食生活は大きく変化し、現代はコンビニやデリバリーなどで食べたいものが気軽に手に入る時代になりました。

特に若い世代やフルタイム勤務の会社員といった「調理に時間が割けない忙しい方」にとって、便利な加工食品や外食の利用が増加しています。

しかしその弊害として、偏った栄養バランスによる「心身の不調」や「生活習慣病」のリスクなども懸念される状況に。

そこで今回は、静岡県立総合病院リサーチサポートセンター臨床研究部⻑の田中清先生監修のもと、栄養の偏りによって起こる症状や対処方法、普段の食事でどのようなことに気を付けるべきなのかと、近年海外でも摂取不足が注目される「ビタミンB1」について紹介します。

偏った食生活は心身の不調の第一歩!栄養不足・過多に気をつけバランスのとれた食事をしよう

食生活の偏りによって心身の健康へ悪影響も

様々な食べ物が豊富に、いつでも食べることが出来るようになった飽食社会の現代。毎日のように同じものを食べている方も多いのではないでしょうか。

そんな方に起きてしまいやすいのが「低栄養」。

低栄養とは、体内のたんぱく質などが不足し、身体機能の維持に必要な筋肉や骨を作るための栄養が足りない状態を指します。

人間の体は健康的に生きるために必要な栄養素として、たんぱく質のほかにも脂質・炭水化物・ビタミンといった様々な栄養が欠かせません。

1日に消費する栄養に対し、摂取する栄養が足りないことで起こってしまうのが低栄養。

主な原因として「食事量の低下」が挙げられ、特に高齢者は全身の筋力が低下し、噛む力が衰えてしまって満足に食事を摂取しにくくなってしまい、その結果食事量が低下しやすくなり、低栄養状態に陥りやすいと言われています。

また、若者の間で低栄養が増えている原因として挙げられるのが、ダイエットや美容の為の食事制限等による「偏った食生活」。

例えば「パスタのみの昼食」「パンとコーヒーのみの朝食」といった、炭水化物が多めの食事が代表的と言えるでしょう。

また、ファストフード・インスタント食品の食べ過ぎも、脂質・糖質は多めである一方、ミネラルやビタミンが極端に不足し低栄養の原因となってしまうのです。

低栄養で起きてしまう状態として、炭水化物・ビタミンB群不足で起きる「集中力の低下」、食事量の低下等によって起こる「体力の低下」、たんぱく質・ビタミン不足による「免疫力の低下」のほかに「不眠」「体が疲れやすくなる」「肌荒れ」といった、様々な症状が起こる場合も。

そんな栄養不足を防ぐためには、栄養バランスの良い食事を心掛けることがとても大切となるのです。

「体のだるさ」「疲れ」は栄養不足のサイン!?

食文化の違い・時代の流れで摂取しにくい栄養素がある中で、昨年日本国内で「ビタミンDの欠乏」が注目されましたが、現在世界で摂取不足が注目されている栄養素が「ビタミンB1」。

ビタミンB1は「チアミン」とも呼ばれている水溶性のビタミンで、解糖系やクエン酸回路のエネルギー代謝の一部で補酵素として働き、特に糖質を代謝するために欠かせません。

「疲労回復ビタミン」とも呼ばれることがあるビタミンB1は、糖質を燃焼してエネルギーに変える際に必要なビタミン。特にアルコールを多く摂取する人、運動によってエネルギー消費が多い人は特に摂取が推奨される栄養素です。

逆にビタミンB1が不足してしまうことで、ブドウ糖から十分にエネルギーが産生出来す、食欲不振・疲労・だるさなどの症状が現れるそう。

また、なかなか痩せない・疲労回復が遅いと感じる方は、ビタミンB1の摂取量にも着目することが大切です。

ビタミンB1は肉類・魚類・豆類・穀類・種実類などに多く含まれており、米や小麦といった主食となる穀物にも多く含まれているそう。しかし精製することでビタミンB1の含有量は少なくなってしまうため、白米や白い小⻨粉の割合が高い食事では欠乏症になってしまうこともあるのだとか。

ビタミンB1をしっかりと摂取したい場合は、特に玄米・胚芽米・全粒粉パンなど胚芽の部分に多く含まれているため、上記の食品を摂取すると良いそうで、水溶性で水に溶けやすいため、汁ごと食べられる調理法がおすすめとのこと。

また、ニンニク・玉ねぎ等に含まれる「アリシン」と一緒に摂ることで吸収率がアップするため、一緒に摂取することが推奨されています。

栄養過多にもご用心!生活習慣病のリスクも

ここまでビタミンB1にフォーカスしてきましたが、特定の栄養素ばかり過剰に摂取してしまうことも体にとっては悪影響となり、生活習慣病になってしまうリスクも高まるため、植物性食品・動物性食品ともにバランスよく摂取することが健康への近道となります。

ビタミンB1以外には、腸管からカルシウムやリンの吸収を促進する作用や、骨の成⻑を促す作用など重要な働きをもつ脂溶性の「ビタミンD」、タンパク質の分解を助けるなど、エネルギー代謝の補酵素として重要な「ビタミンB6」も大切な栄養素。

しかし、生活をする中で完璧な栄養バランスの食事を毎食続けるのはとても難しいもの。

「偏った食事をしない」「同じものばかり食べない」「出来る限り多様性を持たせて色々な種類の食品を食べる」というのが最善の予防策と言えます。

また、食生活を見直したとしても摂取しにくい栄養素は存在するので、推奨量の摂取が食事からは難しいと感じた場合は、サプリメントで補うのも1つの方法と言えるでしょう。

「ちょっと体がだるいな」「最近疲れやすい」といった症状に悩んでいる方は、毎日の食事と栄養バランスをぜひ見直してみてください。

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