犬に『鱈』を食べさせても大丈夫?与える際の注意点やメリットまで

犬に「鱈」を食べさせても大丈夫?

基本的には「大丈夫」です。鱈は犬にも安心して食べさせることができる食材です。

鱈100gあたりに含まれる脂質が約0.2gと少ないのが特徴です。スーパーの鮮魚コーナーでよく見かける真鱈(生)の切り身一切れが、だいたい100g前後です。

鱈100gあたりに含まれるタンパク質は約17.6g、炭水化物は約0.1g、カロリーは約62kcal。カロリーのほとんどがタンパク質によるものであることが分かります。

ドッグフードから摂る栄養素やカロリーのことも計算しつつ、おやつとして、トッピングとして鱈を与えるのがおすすめです。

身だけではなく、鱈を茹でて調理したときの茹で汁をドッグフードにかけて与えるのも、犬に喜ばれる方法のひとつです。手作りごはんにもお役立ていただけます。

犬に「鱈」を与えることのメリット

では、犬に「鱈」を与えると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

認知症の予防になる

鱈には「DHA」という栄養素が豊富です。「魚に含まれるDHA」という言葉をよく見聞きされているのではないでしょうか。これは「ドコサヘキサエン酸」という物質で、真鱈100gあたり42㎎が含まれています。

DHAには、中枢神経を保護する働きがあります。中枢神経とは、「脳」と「脊髄」を指し、背骨の中にある、とても太い神経のことです。

認知症を引き起こす原因は様々にありますが、「中枢神経変性疾患」もそのひとつです。

鱈に含まれるDHAを摂取することで、中枢神経が保護され、認知症の予防に役立つのではないか、と考えることができます。

睡眠のリズムを整える

鱈に含まれる「ビタミンB12」には、睡眠のリズムを整える働きがあります。脳の神経機能をサポートし、睡眠を促すための「メラトニン」という物質の分泌をサポートする作用によるものです。

老犬になると、睡眠のリズムが乱れがちになります。昼間に寝すぎて夜に眠れなくなるなど、徘徊や夜鳴きの原因になることもあるでしょう。

睡眠を促すためのメラトニンの分泌を活性化させるため、脳の神経機能を正常化させるため、睡眠のリズムを整えるために、鱈をおやつやトッピングとして与えてみることも、徘徊や夜鳴き対策のひとつとしてもおすすめできます。

犬に「鱈」を与えるときの注意点

ここまでは犬に「鱈」を与えることの良い点について紹介しましたが、実は気を付けるべき注意点も存在します。

しっかり火を通すこと

犬にも鱈の身と皮のどちらも与えて大丈夫です。身だけ与えようと考えがちですが、実は、身と皮の間にこそ、最も鱈の栄養素と旨味が詰まっています。

生の鱈には、アニサキス(寄生虫)の存在が心配されるため、必ず加熱するようにし、しっかり火を通してください。

骨を取り除いて身をほぐすこと

「骨抜き」と表示された切り身として売られている鱈にも、実際は小さな骨が残っていることがあります。よく確認し、小骨を取り除いてから与えるようにしましょう。

また、喉に詰まらせてしまうことを防ぐため、消化をよくするため、身をほぐしてから与えるようにしましょう。

アレルギーを考えること

鱈によるアレルギー報告は滅多にありません。アレルギーにも似た食中毒を引き起こす「ヒスチジン」という物質も少ない魚です。

もしも皮膚に痒みや赤みが見られるときは、(アレルギーかも…?)と考え、すぐに獣医師に相談しましょう。

腎臓病の有無を考えること

鱈はタンパク質を多く含みます。腎臓病のある犬の場合は、かかりつけの獣医師に相談してから与えた方が安心です。

「タラ」の種類を考えること

実は「鱈」と呼ばれる魚にはいくつか種類が存在します。

犬に安心して与えることができるのは「真鱈」です。

「銀鱈」は100gあたりに約17.5gの脂質を含むため、脂質の過剰摂取になりやすく、非常に高カロリーです。

さらに、犬に安心して与えることができるのは「生の鱈」です。しっかり火を通してから与えます。

「塩鱈」は、長期的な保存を可能にするための塩が加えられています。犬には与えない方がよい鱈です。

鱈の加工食品を考えること

鱈は、かまぼこや魚肉ソーセージなど、練り物の原材料としてもよく使われる食材です。「鱈は犬にも与えていい食材だから」と、加工食品を与えることは好ましくありません。

食塩・砂糖・でん粉・調味料(アミノ酸等)・発酵調味料・植物油脂など、犬が必要としないものが多く含まれているためです。

まとめ

犬に鱈を食べさせても大丈夫ですが、メイン食材としてではなく、おやつやトッピング程度の量を与えるようにしましょう。

「生の鱈」以外で、私がおすすめする犬に食べさせても大丈夫な鱈は、「干し鱈(身のみ)」です。

「寒干し鱈」や「むしり鱈」の骨と皮を取り除き、干して乾燥させたものです。塩が含まれていない商品を選ぶのが最大のポイントです。

(獣医師監修:平松育子)

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