介護保険料の上昇。地域差が広がる理由は?

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、5月16日の放送に経済評論家の加谷珪一が出演。先日報じられた介護保険料の上昇について解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「おとといのニュースなんですけど、厚生労働省が、65歳以上の高齢者が今年度から3年間に支払う介護保険料が、全国平均で月額6225円になったと発表しました。高齢化が進んで介護サービスの利用も増加しているということで、昨年度までの3年間より3.5%増。211円上昇で過去最高を更新していると」

長野智子「65歳以上の介護保険料の支払い分がどんどん上昇している、ということなんですけど、このまま加速していくと思われますか?」

加谷珪一「加速する、というほどではないかもしれませんが。高齢化が進んでいて、昔と違って単身の方も非常に増えていますよね。あと家族・親類が皆で介護して面倒を見る、といった風潮がなくなってきている。そうなると公的な支援が必要で、介護にかかるお金が増えてくるのは間違いない。保険料も上がらざるを得ない、というところだと思います」

長野「自治体によっても差があるんですよね?」

加谷「かなりありますね。高いところは9000円台、安いと3000円台……」

鈴木「データがあります。大阪市がいちばん高くて9249円。一方で東京の小笠原村、あと群馬の草津村などは3000円台ということです。ずいぶん違いますね」

長野「なんでなんですか?」

加谷「いろんな理由があるんですけど、最も単純な理由としては要介護になる方がどれぐらいいるか、という数の問題と、介護サービスなどを利用しないで、家庭の中で面倒を見る方がどれだけいるか、というところの割合で決まる感じなんですよ。恐らくですけど、この小笠原や群馬の草津などは家族・親類が手厚くケアをしているので、公的サービスをそれほど使っていないのではないか、と推察されます」

長野「小笠原村はあまり介護施設がないそうで。訪問介護が中心であるという」

加谷「そうですね。あとまだまだ家族が大人数という世帯も多いと思いますので、ある程度、皆さんで面倒を見られる、というのがあります。それで抑えられている可能性が高い。一方で大阪(市)は都市部ということで、単身の高齢者の方も多いわけですね。あまり年金をもらえない、という高齢者の方もいらっしゃる。それでどうしても要介護の費用が増えてしまう、ということもあるかもしれません」

長野「大阪、大変だ。万博も住民がずいぶん負担しなければいけない、みたいなことになっているし」

鈴木「大阪も東京も大都市圏だから同じような条件かと思っていましたから、これほど差があるというのは……」

加谷「東京はまだまだ地方から人が集まってきて活気のある街なんですけど、大阪の場合、どちらかというと人口が奪われる側の自治体になってしまっている。東京に比べると経済にも勢いがない。そうなると年収の問題やいろんなもので東京と差が出てくる、ということではないか、と思います」

長野「万博も『経済の起爆剤になるのかしら?』という疑問も出てきていますもんね」

加谷「万博をきっかけに、そのあと波及効果を……、ということだと思うんですけど、昭和の時代に比べると、ああいうイベントをやったことで持続的に経済が延びていく、という効果はあまり得られなくなってきています。過度な期待はしないほうがいいのではないか、と私は思います」

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