ホロライブの“聖地”1600ヶ所を網羅したGoogleマップが圧巻 作者「AZKiに影響された」

推しという言葉が市民権を得てはや数年。

世の中の推しの数だけファンコンテンツも生まれ続ける今。時に、溢れる熱意に驚かされるファンコンテンツを目にすることもあります。

ここで紹介するのもその一つ。VTuberグループ・ホロライブ所属タレントの配信・動画で登場した場所や、MVの撮影地を、なんと約1600箇所(!)網羅した「ホロライブ聖地パーフェクトマップ」です(外部リンク)。

Googleマップで任意の場所を記録できるマイマップ機能を利用しており、誰でも閲覧可能。とにかく膨大な情報に圧倒されます。

5月12日に公開されると「自分の地元もある!」などの反響を呼び、ファンを中心に話題になっています(公開後も随時更新中)。

今回はこのマップを制作したムネパンさんにインタビューを実施。マップをつくりはじめたきっかけなどをお聞きしました。

2021年の旅行企画「ホロ伊豆ム」がきっかけに

──ホロライブ関連の聖地をまとめた、「ホロライブ聖地パーフェクトマップ」をつくろうと思い立った経緯を教えていただけますか?

ムネパン きっかけとしては、2021年に実施された「ホロ伊豆ム」という旅行企画が大きかったです。

ムネパン 自分はホロライブを追いかけるのと並行して、鉄道で日本各地を旅することも趣味にしています。ホロライブに関連する場所を目的地として旅行をする経験が、バーチャルとリアルという、なかなか融合しづらく壁のある趣味を持っていた自分にピッタリとハマったんです。

そこから配信やMVで登場する場所を巡るようになりました。

──なるほど。「ホロライブ聖地パーフェクトマップ」を制作する以前には、AZKiさんがよく配信で遊ばれているゲーム『GeoGuessr』(※)に関するマップも制作されていたんですよね。

ムネパン はい。2023年初頭にホロライブ内で『GeoGuessr』配信ブームが巻き起こり、「ホロライブメンバーがGuessした地点をリスト化して同じ場所を巡ることが出来れば、より旅が楽しくなるんじゃないか」との発想に至ったのがマップ制作の経緯です。

自分自身の趣味の一環としてつくりはじめたものですが、Xにポストしてから多くのホロライブファンの方々に「聖地に行きたくなった」「地元が映っていて嬉しい」などの声もいただいて、制作した甲斐がありました。

──思わず自分が住んでいる場所を確認したくなる気持ち、よく分かります。自分も確認してしましました。

※『GeoGuessr』。Googleマップのストリートビュー機能を活用したゲーム。ランダムで飛ばされた場所の看板や風景から、自分がどこにいるのかを当てるのが主な遊び方。

公開までに約1年! 2つの地図を統合して誕生

──そんな「ホロライブ聖地パーフェクトマップ」を完成させるまでにかかった時間は、どのぐらいだったのでしょうか?

ムネパン ホロライブメンバーが配信した『GeoGuessr』の降臨地点をマップにまとめる作業自体は、2023年初頭に『GeoGuessr』配信が流行した直後の2月ごろからはじめていました。

当初は399地点からスタートし、配信がある度に更新を続けていたので、1年以上かけてゆっくりと900地点以上にピンを刺していったことになります(旧マップは現在非公開)。

また、それと並行する形で、『GeoGuessr』内で配信やMVのロケ地を当てることができる創作マップ「ホロライブ聖地マップ」を、2023年6月に制作しはじめています。140地点からスタートし随時更新していきました。

そして、2024年4月に2つのマップを統合して、ホロライブ関連の聖地を1枚で完全網羅する究極の地図「ホロライブ聖地パーフェクトマップ」を、Googleマイマップにてつくり直す構想を立て、位置データなどを再利用しつつ、先日公開に至りました。

──AZKiさんが『GeoGuessr』の配信のほか、「ホロメンMAP」のように、地図や地理に関する企画配信をよくされていることも影響していますか?

ムネパン 大いに影響しています。

ホロメンMAPをはじめ、秘境駅マップ、難読駅名マップ、交差点マップ、さわやかマップなど、数多くの創作マップを配信されたことにより、ランダムで日本各地に飛ばされる通常の日本マップ以上に「ピンポイントでこの場所に行きたい!」と、旅行欲を掻き立てる地点が増えていったと思います。

ムネパン 実際に秘境駅マップ配信で登場した静岡県・大井川鐵道川根小山駅神尾駅に2023年に行ってみたのですが、こうした秘境駅で降りる経験はAZKiさんの配信がなければ一生なかっただろうな……と感慨にふけることもありました。

バーチャルの世界から届けられる配信が、リアルの世界の知見を広げる旅に連れ出してくれる、凄く面白い経験をしたなと思います。

AZKiの秘められた才能に惹かれた理由

──AZKiさんやホロライブを追いかけるきっかけがありましたら、教えていただけますか?

ムネパン ホロライブ自体は2018~19年ごろの活動初期からずっと追い続けてきました。AZKiさんのこともイノナカミュージック所属の時代から存じ上げていたのですが、やはり歌のイメージが強く、自分にとっては少し遠い存在に感じていました。

そんなAZKiさんのイメージが大きく変わったのは『GeoGuessr』配信をはじめられてからです。

47都道府県が曖昧なホロライブメンバーが多い中、市区町村の地名だけを見てスッと正確に地図を引き寄せるAZKiさんの秘められた才能を知り、地理や旅を趣味とする自分としてはグッと距離が縮まって、その多才な魅力に引き寄せられていったと感じています。

──素敵なエピソード、ありがとうございます。AZKiさんとの距離が縮まったきっかけにもなった『GeoGuessr』の配信内で写った場所は、説明もあるので特定も比較的容易だと思われます。そうではない、例えばMVのロケ地はどのように特定されたのでしょうか?

ムネパン 有名なものですと、星街すいせいさんの楽曲「Stellar Stellar」のMVは、東京都の江東区亀戸や新大阪駅周辺がロケ地となっており、自分以外にも多くのファンの方々が聖地をまとめたり現地を訪問しています。それらネット上の情報を参考にさせてもらいました。

熱意の賜物! 場所を特定する地道な作業

──ネット上の情報を調べるだけでは分からない箇所もあったりしましたか?

ムネパン はい。そういう場所に関しては、まさに『GeoGuessr』の日本マップをプレイするのと同様に、MV中に映る看板、文字情報、建物、地形、陽の沈む方角などから場所の候補を選定して、Googleストリートビューでひたすら該当する場所を捜索しました。

AZKiさんが2020年にリリースした楽曲「Take me to Heaven」のMVは、大阪駅周辺で撮影された映像が多く使用されているのですが、その中に電車からの車窓を映した場面が数か所ありまして。

ムネパン これはYouTubeにアップされている当該区間の車窓を見ながら、正確な場所を特定したり。極めつけは、実際にその区間を走る電車を乗りに行って、MVに映る地点を確かめに行ったりしました。

──凄い熱量ですね……! 制作は場所を特定し、Googleマップに記録していく繰り返しで進められたのでしょうか?

ムネパン はい、場所を特定してひたすらピンを刺していく作業を1年ちょっとで1500か所以上続けました

作業自体は自分1人でやっていましたが、場所の特定に関しては先述したように熱心なファンの方々による情報や、自分の周囲にいる地理好きのホロライブリスナーさんの助言や協力のもとで成り立っているところがあります。

今回、予想以上に反響を頂いてとても嬉しく思うと共に、ホロライブの聖地巡礼に楽しくご活用いただければと思います。

当然『GeoGuessr』の降臨地点やロケ地は住宅街や公共施設など、人が集まることを想定していない場所を多く含むため、現地を訪問される際はご留意いただけると幸いです。

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