販売価格「1枚1万円」から…マイナカード「偽造工場」摘発、河野大臣は「現場がしっかりやれば防げた」の “意識低い” 系発言

批判気にせず責任転嫁!今日も笑顔の河野太郎氏(写真:つのだよしお/アフロ)

5月15日、警視庁池袋署は、千葉県船橋市のアパートの一室でマイナンバーカードなどを偽造したとして、有印公文書偽造などの疑いで、いずれも中国籍で住居不定の彭楽楽(ポンローロー)・陸成龍(ルーチョンロン)の両容疑者を逮捕した。同日、東京新聞が報じた。

報道によると、警視庁は2022年から千葉、東京、大阪で中国人グループの「偽造工場」の摘発を進めており、今回の拠点を4月24日に家宅捜索。

偽造されたマイナカード7枚と在留カード約100枚、材料のカード約1万2000枚、プリンター、パソコンなどを押収。捜査関係者によると、偽造マイナカードの販売額は1〜2万円ほど。ラミネートにホログラムが施される在留カードに比べ、「マイナカードはホログラムがないから楽だ」と話すメンバーもいたという。

マイナカードの偽造をめぐっては、大阪府八尾市の松田のりゆき市議が、本誌の取材に総額350万円の詐欺被害を訴えるなど、詐欺事件が相次いでいる。松田市議は、偽造したマイナカードを身分証として使われ、スマートフォンを勝手に機種変された。その後、携帯を止めているにもかかわらず、ロレックスなどを買われたと証言している。

河野太郎デジタル大臣は、5月10日、記者会見で詐欺事件が相次いでいることについて「右上のマイナちゃん(うさぎのキャラクター)がパールインキで印刷されており、偽物は色が変わらないからすぐわかる」とし、「目視でも、ていねいにカードをチェックすれば偽造は見破れる」と強調。偽造かどうかを見分けるチェックポイントを記した文書を、事業者向けに配布する方針を示した。

さらに14日の会見でも、「現場でオペレーションがしっかりしていれば、防げたものだと思う」とコメント。そのうえで、「厳格な本人確認をするため、カード読み取りアプリの開発の必要性について検討をおこなっている」と述べた。

だが、本人確認時のICチップ読み取りの義務化については未定で、今後、関係省庁と議論していくという。

偽造マイナカードによる詐欺被害が相次ぐなか、河野氏が「現場のオペレーションがしっかりしていれば」と語ったことに、「X」では批判的な声が殺到している。

《マイナ偽造被害をオペレーションのせいにする。責任転嫁の河野太郎》

《マイナンバーカードを身分証明書にするの止めるべきだな。河野太郎のいい加減なコメント見たけど、マイナちゃんの印刷の色なんて中国偽造業者からしたら一瞬で真似できるだろって話》

《保険証や運転免許証、銀行口座などを紐づけを計画しているくせに本体のマイナカードが簡単に偽造できるのを重視しないのか。マイナカード自体をいったん止めないのか》

マイナンバーには、行政手続きを簡略化する機能もあるが、5月15日、会計検査院が公表した調査では、1258機能のうち自治体が使ったのは年金申請などわずか33機能(3%)。税金減免など485機能(39%)はまったく使われていなかった。

また、マイナカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の4月の利用率も6.56%と低迷している。まったく便利になっていないばかりか、誰でも詐欺にあいかねないマイナンバー。河野氏のように「現場の意識が低い」と責任転嫁するような発言は、逆効果ではないか。

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