【大阪・道頓堀】夫婦円満のゲン担ぎに♡「夫婦善哉(めおとぜんざい)」で心も身体もほっこりしよう

古くから飲食店が並ぶ大阪の「くいだおれ」エリアから少し歩いた場所に、なにわ情緒漂う「法善寺横丁」というグルメスポットがあります。今回取材に向かったのは、その法善寺横丁で約140年もの間存在している甘味処「夫婦善哉(めおとぜんざい)」です。

実は大阪の中でも指折りの観光スポット!とある有名文学作家の聖地にもなっている「夫婦善哉(めおとぜんざい)」を紹介します。

何人もの手で守られ続けてきた夫婦善哉の約140年の歴史とは?

こちらが「法善寺横丁」西側の入り口。いかにも古き良きなにわの風景といった雰囲気で、外国人観光客が写真撮影しています。門をくぐって見えるのが「夫婦善哉(めおとぜんざい)」。水掛不動尊のすぐとなりに位置しています。

創業は明治16年。人形浄瑠璃の語り手をしていた木文字重兵衛(きもんじじゅうべえ)という人が「お福」という屋号で開業したことが、その歴史の始まりです。屋号の元になった「お福さん人形」は現在4代目。お店を守るようににっこりと微笑んでいます。

こちらは3代目のお福さん

木文字重兵衛が亡くなった後は娘の「かめ」が営業を続けていましたが、第二次世界大戦の影響で廃業してしまったとのこと。しかし終戦後に店の常連客が営業を再開。その後宝塚歌劇などの演出家へ、料理屋の店主へと、多くの人の手に渡り続けて、その名前が守られてきたお店なのだとか。

現在は「和食さと」で知られる「サトフードサービス株式会社」が運営しています。和食さとの創業店舗「すし半」も同じく法善寺横丁生まれ。体力的な理由で閉店を検討していた当時の店主の想いを汲んで、「大阪の文化を守っていきたい」と暖簾を譲り受け、今に至るのだそうです。

1人前を2つのお椀で提供するシェアスタイルが”縁起物”として定着!

「夫婦善哉(めおとぜんざい)」の一番の特徴は、1人前の善哉を2つのお椀で提供するところ。少し変わったスタイルですが、創業当時からこの提供方法なのだそうです。理由は「2つのお椀の方が、お得に感じるから」なのだと言われています。大阪の商人らしい発想です!

お客様には「夫婦仲良く食べられるように」と伝えていたそうで、夫婦円満の善哉という口コミが徐々に広がったのだとか。やがて「夫婦善哉」という屋号に変え、今も営業を続けています。

お店の隣にある水掛不動尊は、水をかけてご利益をいただきます。水をかけられすぎて苔で覆われている石像も有名スポット。夫婦円満、縁結び、商売繁盛など色々なご利益が良い場所にお店があることから“縁起のいい善哉”としてたくさんの方が訪れるのだそうです。

ということは、カップルや夫婦が多い?と思いきや、そうでもなく「若い女性グループや、男性1人で来ることも。もちろん新婚さんやカップルもたくさん来ます!」と女将さん。最近は外国人観光客も多いそうで、「豆を甘くして食べる文化がないのだそうで、善哉を不思議そうに食べています(笑)」とのことでした。

昔から変わらない!こだわりの「夫婦善哉」

さて、肝心の善哉についても聞きました。善哉は、創業当時から受け継がれてきた製法を守りながら、すべて店内で仕込みからすべて手作りだそうです。

高級小豆である「丹波大納言小豆」を使用。消えるか消えないかの超弱火で、じっくり長時間かけて羽釜で炊き上げます。こうすることで豆が潰れずに中までふっくらと仕上がるのだとか。

また、暑い日向けに「冷し善哉」もあるのですが、暑い日でも温かい善哉を注文する方も多いそうです。理由は、白玉です。

白玉も店内で仕込んでいるそうで、提供直前に善哉と合わせて火にかけることで、ふわふわの食感に仕上がるのだとか!実際に冷やし善哉の白玉と食べ比べてみると、冷やし善哉の白玉はコシがありもっちり。温かい善哉は確かにふわふわでした。お好みで選んでくださいね。ちなみに夏は期間限定のかき氷「氷善哉」もあるそうです!

文豪・織田作之助やアニメ・ゲーム好きの聖地として大盛況!

「夫婦善哉」に行くことがあれば、もう一つ注目してもらいたいのが店内に飾られている写真や資料です。特に、大阪出身の文豪・織田作之助の写真。そして、織田作之助の名を世に知らしめたきっかけとなった代表作「夫婦善哉」の初版も飾られています。

そう、この小説「夫婦善哉」は、法善寺横丁を舞台に描かれた作品。作中にも主人公の夫婦が「夫婦善哉」を食べるシーンがあり、文芸好きの聖地にもなっています。

また、最近では織田作之助をはじめとする文豪たちをモチーフにしたアニメ作品・ゲーム作品も人気で、幅広い層のお客様に支持されるようになっているのだとか。

店頭限定のお土産コーナーには「夫婦善哉 塗箸セット」も。結婚祝いや結婚記念日のプレゼントに購入される方も多いそう。美味しい善哉を味わえるだけでなく、明治から受け継がれてきた趣と世界観に浸れる空間がありました。みなさんも、夫婦円満のご利益に、聖地巡りに、レトロな世界を味わいに行ってみてくださいね。

About Shop
夫婦善哉(めおとぜんざい)
大阪市中央区難波1-2-10
営業時間:10:00〜22:00
定休日:なし

あかざしょうこ

ウフ。編集スタッフ

メンバーの記事一覧

関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。

© 株式会社風讃社