生活防衛策に「株式投資」が浮上? 調査結果からわかる値上げへの対応策とは

昨今の物価高騰により、多くの人々の生活が圧迫されています。BRITA Japanが2022年から毎年実施している値上げと家計に関する調査によると、2024年は実に94.1%の人が昨年の春よりもさらに値上がりを感じていることが明らかになりました(図1)。

出所:BRITA Japan

この数字は、2022年の89.2%、2023年の91.8%と比べても高く、物価上昇が加速していることを示しています。一方で、同期間中に賃上げ(基本給の底上げ、ベースアップ)された人は46.1%にとどまり(図2)、その賃上げ幅も57.7%が1%~5%未満という結果に(図3)。値上がり率に賃上げ率が追いついていない現状がうかがえます。

出所:BRITA Japan

出所:BRITA Japan

こうした状況下、73.9%の人が昨春よりも生活が苦しくなったと回答。2022年の73.6%、2023年の70.7%と比べても、その割合は増加傾向にあります。値上げの影響で「外出を控えるようになった」(41.7%)、「貯金ができなくなった」(38.0%)、「自炊するようになった」(34.3%)、「飲み会や付き合いなどの交際活動をしなくなった」(24.7%)、「旅行やレジャーなどの計画をやめた」(23.6%)など、ライフスタイルにも変化が表れています(図4)。中には「趣味をやめた」「結婚や出産を諦めた」といった切実な声も。値上げが私たちの生活に広く深刻な影響を及ぼしていることが浮き彫りになりました。

出所:BRITA Japan

生活を守るための防衛策として、52.8%の人が何らかの対策を講じているようです。その内容は、1位が「節約」(71.6%)、2位が「ポイ活」(38.0%)でした。サブスクリプションの見直しやまとめ買いなど、日々の買い物での工夫が目立ちます。中でも興味深いのは、3位に「株式投資」(29.3%)が入っていること(図5)。長引くコロナ禍で在宅時間が増え、市場に参入する個人投資家が増えた流れに加え、今年からスタートした新NISA制度の後押しもあり、株式投資を生活防衛の一環として捉える人が増えているのかもしれません。

出所:BRITA Japan

物価高という逆風下でも、私たちにできる工夫はたくさんあります。ムリのない範囲で節約を心がけることが何より大切ですが、一方で資産形成の必要性も高まっているのは事実。自身のライフスタイルや価値観に合わせて、長期的な視点から計画的に取り組んでいくことが求められそうです。

新たな一歩を踏み出すチャンスととらえ、少額からコツコツと株式投資にチャレンジしてみるのもおもしろそうです。昨今はスマホで手軽に始められる投資アプリも充実していますし、新NISA制度の活用でお得にスタートできるのも魅力。もちろん、十分な知識を身につけてリスクを理解することが大前提ですが、若いうちから経済や市場に目を向ける習慣をつけることは、将来の資産形成にもきっと役立つはず。

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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