仏像背に無言 薬師堂3周し願掛け 美作、勝央で奇祭「ヤセゴゼ」

木彫りの仏像を背負って薬師堂の周囲を歩く参拝者

 木彫りの仏像を背負い、願掛けしながら無言でお堂の周囲を歩く奇祭「ヤセゴゼ」が15日、美作市上相の間山(はしたやま)地区と市境の山中にある間山高福寺跡の薬師堂(勝央町史跡、同町曽井)で開かれ、参拝者が無病息災や家内安全を祈った。

 参拝者は高さ約30~50センチの仏像1体ずつを背負って薬師如来の真言を唱和。お堂を右回りで3周歩き、正面に戻るたびに頭を下げた。途中で笑うと願いが成就しないとされ、無言のまま歩を進めた。

 法要も営まれ、地元女性らがご詠歌を奉納した。女性(92)=同市=は「年を取っても元気で周りに迷惑をかけずにいられるよう祈った。今年も無事にお参りでき、感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

 ヤセゴゼは釈迦(しゃか)の誕生を祝う仏生会(え)に合わせ、旧暦4月8日に開催。現在は地区周辺の7戸が受け継いでいる。男性(72)=同=は「子どもの頃、ヤセゴゼの日は出店も並んでにぎやかだった。人が減るのは仕方ないが、代々守ってきた伝統行事をできる限り続けたい」と語った。

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