【静岡県知事選】県の課題・大井川流域とリニア問題(静岡)

リニア問題をめぐり川勝県政では徐々に県と大井川流域市町との温度差が浮き彫りになっていましたが流域の自治体や地元住民が次の知事に求めることは?

知事選に立候補しているのは、届け出順にいずれも新人で、

諸派の横山正文候補。

共産党の森大介候補。

無所属で立憲民主党と国民民主党が推薦する鈴木康友候補。

無所属で自民党が推薦する大村慎一候補。

無所属の村上猛候補。

無所属の浜中都己候補

の6人です。

豊富な水量を誇り、南アルプスを源流として流域に住む人たちの生活や産業を支える大井川

3年前の前回の知事選で勝負の決め手となったのはこの大井川流域でした

流域の10市町の得票は川勝前知事が22万票あまり、対立候補の岩井さんが11万票あまりで川勝前知事のダブルスコアとなり4選を後押しする形となりました川勝県政で大きな注目を集めた大井川をめぐるリニア問題

(川勝知事 )

「水につきましては第一に地表水、地下水は一滴も譲らない」

リニア工事による大井川の水量減少などを懸念する県は川勝前知事のもとJR東海と議論を重ねてきました

JR東海が解決策を模索するなか、カギを握ってきたのが大井川流域 10市町の市長や町長たちです。

(島田市 染谷市長)

「命ともいえる大井川の水を一滴たりとも無駄にできない」

大井川の水問題が噴出した当初は、県と同様に工事着工に難色を示していた流域市町ですが、県とJR東海の議論が長期化する中で変化が。

(島田市 染谷市長)

「概ね田代ダム案については肯定的に受け入れている」

(JR東海 丹羽社長)

「地域の方々の懸念を解消すべく、双方向のコミュニケーションを大切にしながらこの問題に取り組んでいきます」

JR東海による田代ダム案の提案で”水問題解決”の糸口が見えるにつれてJR東海に理解を示すように…。知事と流域市町との”認識のズレ”が浮き彫りとなり島田市の染谷市長が知事に苦言を呈す場面が目立つようになりました。

(島田市 染谷市長)

「ボーリング調査について早く着実に進めてほしい。流域の総意です。」「きっとなにか食い違いがあるなと思っている」

県と流域市町との溝が埋まらないまま突如訪れた”川勝前知事の電撃辞任”。知事の退任に伴い、島田市の染谷市長は先月県がリニア問題を議論する場である専門部会について「解散・廃止にすべき」との見解を示しました。

(島田市 染谷市長)

「これは私個人の提案として聞いてもらいたいが、今ある(県の)専門部会は一度、解散・廃止していかないと47項目を引きずったままでは仕切り直しもできやしない」

川勝知事の退任後初めて開かれた県の専門部会は、これまで難色を示してきた「ボーリング調査」について「科学的な観点からリスク管理ができている」として態度を一転、調査の実施を容認しています。

Daiichi-TVは大井川流域10市町の首長にアンケートを実施

その中で「川勝県政のリニア対応を評価するか?」という質問には9つの市町から「一部評価する」吉田町から「評価する」と回答がありました。

(牧之原市 杉本市長)

「県外流出する湧水の全量戻しが担保されたことに関しては評価するが、県は早期開業に向けた期成同盟会に加入しているものの結果的に着工を遅らせたり課題解決に結びついていない」

(御前崎市 下村市長)

「大井川の水資源の大切さについて発言したことから流域市町の声がJR東海に届けられた点については評価している。しかし、県と流域市町との意見の相違も見られるなどコミュニケーションが不足し早期の課題解決にはつながっていないと感じる」

水問題への対応を評価する声が多かったものの「結果的に解決に至っていない」ことや「流域とのコミュニケーション不足」を指摘する声も上がりました。

一方、県の専門部会で協議されている環境問題など「47項目の議論」については7つの市町が今後も議論を続けることが「必要である」と答えました。また、「新しい知事に求めることは?」という質問には、『リニアの着実な推進と流域住民の不安の払拭を両立してほしい』『地下水への影響が出たときの担保として、国の関与についての 働きかけをしてほしい』などの回答がありました。

大井川流域に住む人たちはリニア問題についてどう受け止めているのか。

(流域市町に住む人)

「どっちにしろできるでしょうね中止ということはないと思う」

「川勝さんの意思を継いでほしいこのあたりの地域は水が大事」

「いままで水を守るということで知事がやってきた。その部分が一番心配」「あそこまで来たらやったほうがいいと思います。あの人(川勝前知事)もはじめの頃はよかったかなと思いましたけど、だんだんやることが合わなくなってきた」

大井川の水への影響を不安に思う声も多いなかで、”時間が経ったことで考えに変化があった”という意見もありました。史上最多の6人が立候補している県知事選。候補者たちは大井川流域とどのように向き合うのでしょうか?

リニア問題や「大井川流域」への向き合い方について候補者の考えを見ていきます。

(鈴木 康友 候補)

「流域市町の不安を払拭するために補償が担保される必要がある。そのためにJR東海や国との意思疎通を県がリードする」と話しています。川勝前知事がたびたび口にしていた「命の水」というワードも用いて水問題や環境への影響を第一に考える姿勢を示しています。

(大村 慎一 候補)

「流域市町との対話を大切にして1年以内に課題解決の目途を示す。大井川の水と環境を守ることを前提にリニア問題をしっかり前に進める」と話しています。「1年以内に結果を出す」とリニア促進を前面にアピールしながらもGWには島田市で集会を開くなど、「流域市町との対話」を強調しています。

(森 大介 候補)

「大井川流域の62万人もの県民の命と暮らしが脅かされる問題。無理に建設を進める必要は無く、中止を求める」と主張”リニア反対”を前面に訴えて「流域住民の代弁者」としての立場を強調しています。

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