企業連合会から私の老齢年金の請求書の提出要請がありましたが、これを出すと遺族厚生年金が支給されないのですか?

年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、遺族年金をもらう人が特別支給の老齢厚生年金を申請する場合について、専門家が解説します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。 今回は、遺族年金をもらう人が特別支給の老齢厚生年金を申請する場合についてです。

Q:企業年金連合会から私の老齢年金の請求書の提出要請がありましたが、これを出すと遺族厚生年金が支給されないのですか?

「62歳の預金生活者で現在亡き夫の遺族厚生年金の申請中です。昨年、企業年金連合会から私の特別支給の老齢厚生年金の請求書の提出要請がありましたが、これを出すと遺族年金が支給されないのですか? 特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金の有利な方を選択すること、という貴方さまのアドバイスを見ました(夫の厚生年金は私の10倍です)」(Mikatさん)

A:相談者のケースでは、遺族厚生年金を選んでいれば60代前半で企業年金連合会に企業年金受給の手続きをしても、遺族厚生年金は支給停止になりません。ただし企業年金の「代行部分」については支給停止となるでしょう

原則として老齢年金は65歳から受け取れますが、受給要件を満たした一部の人は、65歳になる前までに受け取れる年金があります。これを特別支給の老齢厚生年金といいます。 企業年金連合会から支給される企業年金からも特別支給の老齢厚生年金をもらえることがあります。企業年金には、「代行年金(国の代行部分)」の他に「基金独自の上乗せ年金」があることがあり、「代行年金(国の代行部分)」がある人は、企業年金から特別支給の老齢厚生年金をもらえることになります。 ただし、ご相談者がおっしゃるように、60代前半では、遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金とは同時にもらえません、どちらかを選択することになります。 企業年金連合会への手続きについて質問をされていますが、まずは、年金事務所で特別支給の老齢厚生年金の手続きをしましょう。 年金事務所に特別支給の老齢厚生年金の年金受給の手続き時、遺族厚生年金を選べば、企業年金連合会に手続きをしても、遺族厚生年金は支給停止になりません。 年金事務所で遺族厚生年金を選択した後に、企業年金連合会への書類を提出してください。企業年金連合会の企業年金(特別支給の老齢厚生年金の代行年金(国の代行部分))が支給停止になるでしょう。ただし「Mikat」さんが加入していた企業年金についても、「基金独自の上乗せ年金」がある場合は、「基金独自の上乗せ年金」部分の支給を受けられる可能性があります。 文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士) 銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。 (文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))

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