50歳以上のメンバーが学校別のチームで戦う京都500歳野球。城南が初優勝

京都に500歳野球というものがあるのをご存じでしょうか?
かつて甲子園を夢見た元高校球児が集まり、春と秋に大会を行っています。
そこには、30年以上前の夢の続きがありました。
京都府内の高校の硬式野球部出身者で、50歳以上のメンバーが学校別のチームで戦う京都500歳野球連盟。
毎年春と秋に大会を行っています。
37回目となったことしの春の大会では、29校のOBチームが熱戦を繰り広げました。
500歳野球には、特別なルールが盛りだくさん。
まず名前の由来になっている500歳。
フィールドにいる9人の選手の年齢の合計が500歳以上でなければなりません。
試合前、大会役員が確認します。

「OKです。510歳」

試合は7イニング制。
ピッチャーは55歳以上で、4回には60歳以上の人が投げなければなりません。
塁間やピッチャーからキャッチャーまでの距離は、通常より2m短くなっています。

【声】京都500歳野球連盟 寺本英治 理事長
「高校3年間で顔を合わせていない人もたくさんいる。
学校を愛する、野球を愛する人が、先輩後輩の域を超えて、母校愛を野球で体現している」

東山東友クラブ「50歳だけど1年生!」

今年5人の新人が入ってチームが一気に若返った東山。
亀岡との3回戦、新人に負けまいとバッターボックスに立つのは、55歳の前田さん。
豪快なあたりでセンターの頭上を越えるタイムリーヒットを放ちます。
ライトを守る前田さんは、守備でも活躍をみせます。
20代から20キロ体重が増えても・・・打球を追いかけ、キャッチ!
実は前田さんは、佛教大学時代(昭和62年春~平成2年秋)に122本のヒットを打ち、リーグ通算最多安打記録をもつ逸材。
今でもその記録は破られていません。

【声】東山東友クラブ 前田智久さん(55)
「すごく楽しいです。
この年齢で勝ち負けにこだわって、手を抜かずに真剣にやりながらできるのが楽しい」

みんな真剣! 全力!
だけど足がついてきてくれないことも・・・
ライト前ヒットのはずが・・・

「ライトゴロ、足がもつれました」

対する亀岡は創部9年目。
4回から登板したのは68歳の溝口さんです。
母校のOBチームが出来たと知って、61歳でおよそ30年ぶりに野球を再び始めました。
試合には敗れても高校時代のように校名を背負って、野球をできることが元気の源となっています。

【声】亀岡高校OBクラブ 溝口貢さん(68)
「人生最後の野球として、楽しくみんなでわいわいできる喜びを感じてやっている」

そして決勝戦に勝ち上がったのは、塔南(創部11年目)と城南(創部28年目)、いずれも初優勝を狙います。

城南は、現在、西宇治と合併し、城南菱創高校となっています。
ということで、現役高校生に合わせて2年前から城南には西宇治出身の選手もチームに加わっています。
一方の塔南。
母校は移転・再編によって3年生のみが在籍。
開建高校となっていて、来年度から塔南の卒業生はいなくなります。
そんな節目に『500歳野球で塔南の名を響かせたい』と初優勝に意気込みます。
初回、城南が塔南をとらえます。
1アウト1、2塁のチャンスで、打席に立つのはエースで4番の井上さん。
右中間へのタイムリーヒットで先制します。
なおも続くチャンスで、5番・西宇治出身の山上さんが、左中間への大きなあたりで2点を追加し、3対0とリードを広げます。
さらに2回、城南は1点を追加して、なおも1アウト満塁のチャンスにバッターは再び山上さん。
センター前にうまく放ち、6対0と引き離します。
投げてはエース・60歳の井上さん。
2回戦から一人で投げぬいてきた剛腕で、この日、3回まで塔南打線にスキのないピッチングをみせます。
その後、両チーム得点し5点を追いかける塔南は、最終回ノーアウト1.2塁のチャンスに7番植田さん。
ショートの後ろに落ちる内野安打で1点を返します。
しかし反撃及ばず、最後は城南が踏ん張り、初の優勝を飾りました。

「城南、優勝したぞー」

【声】城南高校OB 井上裕延 投手(60)
「城南高校の名前を背負って優勝するのは初めてのことで、貢献できたことを非常に喜んでいます。
いつまでも若く身体が動く選手を目指して頑張りたい」

「優勝―おー!!」

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