【西武】辻発彦前監督インタビュー チームの軸となるべき選手とは?

4月26日放送のライオンズエクスプレスでは、埼玉西武ライオンズ前監督の辻発彦さんにインタビューした模様を放送した。今のライオンズの戦いかた、そしてチームの軸となるべき選手について訊いた。

――22試合を終えて、ライオンズは8勝14敗で借金6。特に4月は6勝13敗と、厳しい戦いが続いています。辻さんから見ていかがですか?辻「厳しいですね。でも、まだ120試合ありますから」

――開幕3カードをまず連続で勝ち越し、チーム打率が2割5分7厘と、リーグトップで非常にいいスタートを切りましたが、4カード目から昨日(4月25日)までの13試合は2勝11敗で、チーム打率は1割6分7厘と、極端な下がりかたかと思いますが、辻さんはどうご覧になっていますか?辻「外国人選手が今年の打撃陣ではカギになるのかなと思って見ていたんですけど、序盤はすごく打ったじゃないですか。ですが、やはり研究されますよ。アギラーも簡単に追い込まれて、落ちる球で抑えられてしまう。それでチームが勝てない、打てないとなるとどうしても思いっきり振れなくなり、追い込まれたら当てにいってしまう。悪循環になっています」

――西武は1番、2番の出塁率がほかの球団に比べてかなり低いというところで、上位も含めて打線が固まっていませんが、そのあたりはいかがですか?辻「西武の1番、2番が決まらないのは、ここ数年ずっと課題だったじゃないですか。特に1番が決まらないのは、周りの球団を見ても固定で1番を張っている球団は少ないですよ。阪神は決まっていますが(1番に近本光司、2番に中野拓夢)、ソフトバンクにしても、周東(佑京)が抜けたりで決まりきっていない。西武の場合、いい時はいいのですが長続きはしないので、本当のレギュラーというかそこまでの力が備わっていないというところで、いい選手を使うしかない、勢いがある選手を使うしかない」

――シーズン序盤は、ヒットや長打以外でも点を取れていたところで、辻さんが解説のなかで、「ちゃんとした点の取り方が出来るじゃないですか」と言っていた時もありました。ですが、個人の成績が悪くなったなかで、チームとしてどう点を取っていくかが重要になってくるかと思います。チームとしての狙い球の指示など、難しい部分はあったりするのでしょうか?辻「難しい部分はありますが、選手は一生懸命にやっていますよ。状況を考えながらこうしなきゃいけないところもあると思います。じゃあ1アウト満塁の場面を作りました。ボテボテのゴロでも1点入るのに、逆にいい当たりで併殺打になって点が取れないだったりと、悪いほうにいってしまう巡りあわせもあるかと思いますが、今の状態では状況に応じて点を取るためにはどうしなきゃいけないのかを徹底しないとダメですよね」

――辻さんと私(高橋将市)で中継していた4月3日の試合(対オリックス2回戦)で、先制点は取った時は2アウトから外崎選手が四球を選び、盗塁で2塁に進んだあと、アギラー選手がライト前にヒットを放って1点を取ったという、2アウトから先制した点の取りかたに辻さんは非常に評価をしていましたが、点が取れないことに注目されると、気持ちの焦りがチーム全体に出てくるものなのでしょうか?辻「そうですね。『ここでどうにかしないと』という気持ちになって、平常心じゃないんですよ。点が取れないにしても、試合に勝てればそこまで重圧じゃないですよ。打席に立った時に、圧を感じた時のプレーを今しないといけないという、ちょっと余計な力が入ったりしますので、そういうところが空回りしているのかなと感じます」

――そういったなかで、昨日までのオリックス3連戦は打線をシャッフルしていて、ある意味カンフル剤のような試合がありました。4月23日の試合(対オリックス4回戦)は、中村剛也選手がプロ初の2番、炭谷銀仁朗捕手が5番だったり、4月24日の試合(対オリックス5回戦)は、源田(壮亮)、外崎(修汰)、アギラーの3選手を外して、1番に高松(渡)、2番に山野辺(翔)という打順を組みました。これはかなりライオンズファンのなかでも話題になりましたが、この打順の動かし方の意図として、辻さんはどうご覧になっていますか?辻「2試合目(4月24日、対オリックス5回戦)の先発メンバーを見た時はびっくりしましたね。ですが、監督と首脳陣含めて考えたすえの打順ですから、それがどういう意図で組んだのかは分からないところではありますが、やはり好投手(エスピノーザ)だったので、日頃打席に立っていない打者ではなかなか打てないだろうなとは思っていましたし、どちらかというと繋いでいく想定をしたような打順を組んでいましたね。結果は出なかったですけど……」

――例えば、辻さんが指揮をとっていて苦しい状況に置かれた時は、辻さんだったら打順というのはどういう考えでいますか?辻「動かさないで済むところはそうしたいんですけど、やはり1点を取るために調子のいい選手が上に来るのは当然でしょうし、いかに1番と2番が出塁して、クリーンナップで点を取りたい形になるでしょうし」

――長谷川(信哉)選手、岸(潤一郎)選手が1番、2番で結構起用されていて、そういった選手を我慢して使い続けられたらと思っているファンの方もいらっしゃると思います。辻さんはどう考えていますか?辻「まだ始まったばかりで先のことを考える時期ではないのかもしれませんが、ただそこで使われた選手が何かを残さないといけないので、1番と2番を打つ打者が直球を初球から打ち上げたりとか内容が悪いと、『う~ん』と思っちゃいますよね。だから選手たちも考えて任された打順を打つのであれば、しつこさや足を活かすバッティングだったり、いろんなことを考えたなかで結果を出さないと自信にはならないですよね」

――ここまでの22試合で、「頑張っているな、成長しているな」と思う打者はどなたですか?辻「打者ですか? この内容ではあまり感じないですね。ただ勝負強さとしつこさでは、やはり佐藤龍世ですかね。昨年から非常に自信をつけたと思いますし、今の打線のなかではポイントゲッターになってくると思います。そのなかで、中村(剛也)君はさすがベテランで、オリックス戦でも非常にいいバッティングをしていましたが、彼も彼なりに必死でやっていると思いますよ。普通にやっているように見えてもね」

――これからあと120試合、軸となるべき選手、なってほしい選手はどなたでしょう?辻「頑張ってもらいたいのは、外崎(修汰)と源田(壮亮)ですよ。この2人がしっかりチームを引っ張ってほしいと思います」

――外崎選手と源田選手が頑張って、そこからチームが盛り上がっていくところですか?辻「2人が元気に明るく伸び伸びと躍動感を出してプレーしてくれないときついと思いますよ」

※インタビュアー:文化放送・高橋将市アナウンサー

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