3連勝【ヘグモ浦和がさらなる上昇気流に乗るために必要なこと】(3)2失点と渡邊凌磨の「クリア」、「後半登場」大畑歩夢、小泉佳穂の「後悔」

ヘグモ監督が目指すサッカーは、攻撃に関しては形になりはじめている。足りないのは? 撮影/原悦生(Sony α‐1)

明治安田J1リーグ第13節、アルビレックス新潟(以後、新潟)対浦和レッズ(以後、浦和)の戦いは、2-4で浦和が勝利を収めた。連勝した浦和にとって、今後の戦いで大切なことは、自分たちよりも下位にいる順位のチームに負けないことだ。そうしなければ、上昇気流には乗れない。5月15日第14節の京都サンガF.C.戦に勝利して3連勝を飾った浦和は、連戦となる5月19日第15節のジュビロ磐田戦を、どうやって切り抜けるのか。新潟戦での得点と失点の場面をピックアップして、具体的に試合を分析しながら、浦和の今後の戦い方を占ってみたい。

続いては、75分の浦和の失点シーンだ。FW長倉幹樹がエンドラインまで駆け上がり、マイナスのクロスをゴールエリア中央に送る。クリアしようとしてジャンプした渡邊凌磨の膝に当たってあふれたボールを太田修介が決めた。
浦和の失点シーンには2つの問題がある。ひとつは、渡邊が頭でクリアしなかったことだ。ヘディングでボールにいけば、ボールがゴールラインを超えてコーナーキックにできたはずだ。この場面において、ヘディングでクリアにいかずに足をあげてクリアするという選択をしたことで、渡邊が「守備が苦手」だということはわかる。
2つ目は、後半に登場した左SBの大畑歩夢のプレー。最初、太田と並走しており、太田が駆け上がってくるのをチラッと確認している。しかし、そのあとで太田がペナルティエリアに入って来た際には、大畑は一度も太田に視線を向けていない。
つまり、マークするべき選手を見失ってしまっているのだ。もし、大畑が首を振って太田を捉えていたならば、最後までついていくことができた。いや、本来ならついていかなければならない。
たまたま太田がそこにいたから失点したのではなく、太田をフリーにしてしまったことが問題なのである。こうしたプレーが失点に結びついてしまう。失点前は、3-0で勝っていた浦和が、この時間帯でクロスから失点してしまうチームであることが、上昇気流に乗れなかった原因になっている。上位に食い込みたいのならば、クロスからの失点をいかに防ぐのかに注視することが大切だ。

もったいない「後半の失点」課題は守備にある

87分、左サイドからの舞行龍ジェームズのクロスを、長倉がヘディングシュートを決めて、新潟が2点目をあげる。
舞行龍のクロスがよかったことを最初にあげなければならないだろう。浦和はDFの人数がそろっていた。さらに長倉は、マークする小泉佳穂の前にいったん出るフリをして、背後に回ってフリーになっている。小泉は、手で長倉が近くにいることを確認していたのだが、長倉がニアにいくフリをして裏にいった。
長倉のこの動きによって、小泉の視界から長倉が消えた。長倉の動き出しがとてもうまい。浦和のDF陣は、新潟の選手の背後に立って守備をしている。ボールとマークする相手を同一視野に入るポジショニングをしていた。そのため、小泉だけ相手の前に立たされる。結果、小泉は「頭を抱えて」自分がマークを失ったことを悔いることになった。
アディショナルタイム11分。エカニット・パンヤがペナルティエリアに入ってボールを受けた際、遠藤凌が足を出して引っ掛けてしまい、浦和にPKを与える。ペナルティエリア内には浦和の選手が誰もいなかったので、無理に足を出す必要はない。反射的に出てしまったのだろうが、サンタナがPKを決めて試合は終わった。
4-2で浦和が勝利したのだが、後半の失点はもったいない。選手の疲れもあっただろうが、監督もそれを見越して選手交代をしていたので、失点はなんとしても防ぎたい。
攻撃に関しては形になりはじめている。課題は守備にあって、この試合の最後のほうに「5-3-2」の最終ラインを5バックにして、守備を固めた浦和。思い切って、勝っている試合では、もっと早くに5バックにして守備の意識づけを促してもいいのかもしれない。
今週中に行われる京都戦と磐田戦では、監督が掲げる攻撃ができるのかと、守備の意識をどこまで高められるのかに注目したい。

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