燃費がいいミニバンTOP10! 燃費のいい中古車の選び方や低燃費運転のコツを解説

ミニバンに乗り換えたいけど、燃費が気になるという人は多いでしょう。実際、ミニバンはコンパクトカーや軽自動車に比べると燃費はよくありません。しかし、そんなミニバンの中でも、できるだけ燃費がいい車種を選びたいですよね。そこでこの記事では、ミニバンで燃費がいい車種をランキング形式でご紹介します。さらに、燃費がいい中古のミニバンの選び方や低燃費で運転するコツなども解説します。

燃費がいいミニバン

燃費がいいミニバンとは?

ガソリン価格の高騰などから、燃費がいい車を選ぶことは重要な判断基準です。

ただしミニバンは大きなボディを動かすため、燃料を多く使う性質があります。燃費を気にせずに選んでしまうと、燃料代がかさんでしまうでしょう。

では、燃費がいい車を選ぶにはどうしたらよいでしょうか。

ここでは、燃費がいいミニバンを選ぶ上で知っておきたい基本的な知識について解説していきます。

燃費がいいミニバンはハイブリッド車

車には、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、モーターなど、様々なパワートレーン(動力源となる装置)がありますが、ミニバンには主にガソリン車とハイブリッド車の両方が設定されているモデルが多く存在します。

ハイブリッド車

ハイブリッド車はガソリンエンジンとバッテリー、電気モーターを搭載しています。

ハイブリッドは運転状況に応じてエンジンとモーターの効率が良いほうを使用する仕組みです。そのため、ハイブリッド車はガソリン車よりも低燃費です。

ただし、ハイブリッド車はエンジンとモーター、高価なバッテリーを搭載しているため、ガソリン車よりも高額です。購入時の負担が減るエコカー減税を受けても、ハイブリッド車の方がガソリン車よりも価格が高いことが多いです。

頻繁に長距離を走る用途でない限りは、コストパフォーマンスは良くない場合もあるので注意が必要です。

ただし、ハイブリッドならではの走りの良さ、静粛性の高さというメリットがあるため、乗り心地を確認してから選ぶと良いでしょう。

ミニバンはサイズでも燃費が異なる

ミニバンは大きく分けて「コンパクト」「Mサイズ(ミドルサイズ)」「Lサイズ(ラージサイズ)」の3サイズに分かれます。

一般的なサイズ区分は以下の通りです。

以下はサイズ別の車種例です。

基本的に、ボディサイズが大きければ大きいほど車重があり、その分エンジンも排気量の大きなものが装備されます。エンジンが大きくなるほど燃費が悪くなる傾向にあるので、ボディサイズが大きい=燃費が悪いと考えてよいでしょう。

ただし、燃費を意識しすぎてコンパクトなミニバンを選んでしまうと、乗車人数や使い勝手に見合わないかもしれません。

燃費以外にも、居室の広さやシートアレンジの便利さ、荷室の大きさなど、ミニバンならではの使い勝手にも着目して、自分にとってぴったりの1台を選びましょう。

※以下の見出しの車種名の横の数字は「WLTCモード」の燃費値です。WLTCモードとは国際的な燃費測定方法です。WLTCモードでは実際の運転状況に近い条件で燃費が測定されているため、従来の「JC08モード」よりも実用的な燃費値となっています。

燃費がいいミニバンランキングTOP10

ここからは、新車で購入できるミニバンで、燃費がいい車種をランキング形式で発表します。

なお、順位を評価するにあたり、WLTCモードの数値を参考にしています。

1位:トヨタ シエンタ(18.3~28.8km/L)

トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタで最も燃費が良いのはハイブリッド車の2列シート5人乗りXグレード(2WD)で、28.8km/Lです。

また3列シート7人乗りXグレードでは、28.5km/Lという高い燃費性能を誇ります。

ガソリン車の場合は、5人乗りで18.4km/L、7人乗りで18.3km/Lです。

コンパクトながらも機能性が高く、特にハイブリッド車は燃費性能がダントツに良いため、燃費を重視したい方におすすめの車種です。

2位:ホンダ フリード(16.4~25.6km/L)

ホンダ フリード

2024年6月に新型のホンダ フリードが発売されます。

この新型フリードで最も燃費が良いのは、2列目がキャプテンシートで6人乗りのe:HEV(ハイブリッド車)のAIRグレード(2WD)で、25.6km/Lです。ガソリン車の最高燃費はAIRグレード(2WD)の16.5km/Lです。

多彩なシートアレンジや洗練されたルックスで、先代モデルでも人気のあったミニバンです。新型でもコンパクトで低価格ながら、広い室内空間や収納などの使い勝手の良さが魅力です。

収納も多く、使い勝手が良い点も子育てユーザーにおすすめできます。

3位:トヨタ ノア(14.3~23.4km/L)

トヨタ ノア

トヨタ ノアで最も燃費が良いのは2WDのハイブリッド車(Xグレード)。Mサイズミニバンでもっとも燃費のいい23.4km/Lです。2WDのガソリン車(G、Xグレード)の場合でも15.1km/Lと低燃費です。

上質な乗り心地や使い勝手の良い荷室など、ミニバンに求められる機能がバランスよく盛り込まれています。

4位:スズキ ランディ(14.3~23.2km/L)

スズキ ランディ

スズキ ランディで最も燃費が良いのは2WDのハイブリッド車で23.2km/Lとなっています。2WDのガソリン車は15.1km/Lです。

トヨタ ノアのOEMモデル(兄弟車)のため、燃費性能は基本的に同じです。

「トヨタ ノア同等のミニバンが欲しいけど、他の人とデザインで差をつけたい」「どうしてもスズキ車がほしい」という方はランディを検討してみると良いでしょう。

5位:トヨタ ヴォクシー(14.3~23.0km/L)

トヨタ ヴォクシー

トヨタ ヴォクシーで最も燃費が良いのはハイブリッド車(2WDのみ)で23.0km/Lです。ガソリン車(2WD)の場合は15.0km/Lです。

トヨタ ノアの兄弟車のため、基本的に燃費性能は同じですが、ヴォクシーはエアロモデルの選択肢のみのため、ノアより燃費が少し劣ります。

とはいえ、燃費差はごくわずかなので、デザインにもこだわりたい方はこちらがおすすめです。

6位:日産 セレナ(11.6~20.6km/L)

日産 セレナ

日産 セレナで最も燃費が良いのはe-POWER(ハイブリッド車)のXグレードで20.6km/L。ガソリン車の最高値はXグレード(2WD)の13.4km/Lです。

e-POWERは燃費性能以外にも加速性や静音性、操作性の面で特徴があるため、燃費以上のメリットを感じるかもしれません。

7位:ホンダ ステップワゴン(12.9~20.0km/L)

ホンダ ステップワゴン

ホンダ ステップワゴンで最も燃費が良いのはe:HEV(ハイブリッド車)のAIRグレードで20.0km/L。ガソリン車ではAIRグレードの2WDで13.9km/Lです。

ステップワゴンはファミリー向けの車種として人気が高く、多彩なシートアレンジや、SPADAモデルに搭載された開く角度を任意に調整できる「パワーテールゲート」も人気です。

8位:トヨタ アルファード(10.3〜17.7km/L)

トヨタ アルファード

トヨタ アルファードで最も燃費が良いのはハイブリッド車のZグレード(2WD)で17.7km/Lです。ガソリン車はZグレードのみで、2WDの10.6km/Lが最高燃費です。

同車は豪華さと快適な乗り心地で高い人気を誇る大型ミニバンです。現行モデルからハイブリッド車が設定されたため、先代モデルから大幅に燃費が改善しました。

しかし、同じトヨタのMサイズミニバンのノア・ヴォクシーと比較すると、ボディが大きいためエンジンも大きく、燃費性能面では劣ります。

とはいえ、ラグジュアリーな内装や広々とした車内環境はやはり魅力的です。そのため、燃費も居住性も重視したい方にはアルファードのハイブリッドタイプはピッタリな車でしょう。

9位:トヨタ ヴェルファイア(10.2〜17.7km/L)

トヨタ ヴェルファイア

トヨタ ヴェルファイアで最も燃費が良いのはハイブリッド車のZ Premierグレード(2WD)で17.7km/L。ガソリン車はZ Premierグレードの1グレードのみで2WDの10.3km/Lが最高燃費です。

同車はアルファードの兄弟車で基本的な性能は同じですが、エアロなど一部仕様の違いのため燃費に差があります。

しかし大きな差ではないため、外装や内装の好みでどちらが良いかを決めると良いでしょう。

10位:三菱 デリカD:5(13.6km/L)

三菱 デリカD:5

三菱 デリカD:5のエンジンは1種類のクリーンディーゼルエンジンのみとなっており、燃費も全グレードで共通の13.6km/Lです。

同車はユニークなデザインとオフロード性能の高さで人気のミニバンです。

ハイブリッド車の設定がないため、上位9台から燃費が大きく劣るように見えますが、ハイブリッドエンジンではない4WDで13.6km/Lという燃費は優秀です。

アウトドア・レジャーでの使用や寒冷地など過酷な環境にお住いの方は、十分に検討の余地のあるモデルでしょう。

中古で燃費がいいミニバンの選び方とは?

ここまで、新車で買えるモデルで燃費がいいミニバンを紹介してきました。

しかし、この記事を読んでいる方の中には、初期費用を抑えるため、新車ではなく中古のミニバンを検討している方もいるかもしれません。

そこで、中古車を燃費で選ぶ際に重要となるポイントを3つ紹介します。

それぞれ解説していきます。

新しいモデルなら中古でも燃費がいいものもある

中古車の中でも、年式によって燃費性能が大きく異なります。当然ですが、新しいモデルほど燃費性能がよいです。そのため燃費がいい車種を選びたい場合、中古車でもできるだけ新しいモデルを選ぶことが重要です。

マイナーチェンジ前のモデルで、エンジンなどが新型モデルと共通のものを選べば、燃費は新型モデルに近い高水準のものとなります。このような中古車を選べば、初期費用や維持費が安いミニバンを手に入れることができるでしょう。

一方で古い年式の車は価格が安いですが、新型モデルと比べると燃費性能には期待できません。特にフルモデルチェンジ前の型式を選んでしまうと、燃費性能に大きな差があるかもしれません。

安価なミニバンを購入できたとしても、維持費の面で損をする可能性には注意しましょう。

エンジンが消耗すると燃費は落ちる

中古車を選ぶ際には、エンジンの消耗具合にも注意が必要です。

なぜなら走行距離が多い車や、しっかりとメンテナンスされていない車は、エンジンの消耗によって燃費が悪化している可能性があるからです。

ただし、中古車のすべてのエンジンが大きく消耗しているとは限りません。

しっかりと整備され、正しくパーツ交換等がされている車は燃費性能も良い状態で維持されています。ディーラーの認定中古車など、信頼できる中古車販売店で走行距離の少ない車種を選ぶことができれば、状態の良い中古車が手に入れられるでしょう。

環境性能・安全性は新車の方が良い

賢く選ぶことで、中古のミニバンでも新型と同等の燃費性能を手に入れることができますが、環境性能や安全性については新型の方が優れています。

最新モデルは軽量化の技術やクリーンな排出ガスなど、最新の環境性能技術が搭載されていますので、環境性能を重視する方は新車を選ぶべきです。

ファミリーで使用するミニバンの場合、安全性も見落としてはいけません。大切な家族を守るためにも、衝突安全性能の高い車種をおすすめします。

また、事故を未然に防ぐための衝突被害軽減ブレーキやハンドル操作サポート、追従ドライブ支援機能など「予防安全機能」も重視すべきです。

ミニバンは車体が大きく重量もあるため、事故が起きた際に歩行者や自転車などに対する被害が大きくなりがちです。

乗員と他者への影響を考慮するなら、事故を未然に防ぐ(最小限に抑える)予防安全技術が搭載された新型モデルを選ぶと良いでしょう。

ミニバンで燃費以外にも気にすべき点は?

ミニバンはファミリーにとって理想的なボディタイプですが、大きく重いボディのため燃費ばかりを心配されがちです。

しかし車を選ぶうえでは燃費以外にも気にすべき点があります。ここからはそれらについて簡単に解説します。

燃費だけに執着しない

燃費の良さは、長期的なランニングコストに大きな影響を与えますが、それにだけ執着すると重要な他の要素を見落とす可能性があります。

たとえば、車の使い勝手や運転性能、安全性などです。

燃費がどれだけ優れていても、車を使う人にとって使い勝手や乗り心地が悪い車だと、毎日の満足度が異なってきます。

さらに、燃費性能が高い車は通常、購入時の価格も高くなる傾向があるため、注意が必要です。

日々の走行距離が少ない場合は、無理して高価なハイブリッド車を選ぶと、実際には燃費の差で差額を埋めることができなくなる場合もあります。

燃費の良さと他の要素をバランスよく検討し、総合的に車を選ぶことで、コストパフォーマンスの良いミニバンに乗ることができます。

燃費以外の維持費も想定しておく

ミニバンを購入する際には、購入後に発生する維持費も考慮することが重要です。

主な維持費は以下のようなものです。

上記に加えて、駐車場代も必要になる場合があります。

エンジンのサイズは燃費だけではなく、税金や消耗品などランニングコストにも影響があります。

また車種によっては任意保険や車検代が高いものもあるため、車種ごとに維持費の違いを把握しておくことが重要です。

ミニバンの燃費を向上させる運転のコツ

当記事を読んでいる方の中には、すでにミニバンに乗っているものの、燃費の悪さを理由に燃費がいいミニバンへの乗り換えを検討している方もいるかもしれません。

以下の方法を参考にすることで、燃費を改善し、引き続き乗り続けることができるかもしれません。ミニバンで燃費を向上させる方法は、日常の運転習慣を見直すだけで簡単に実現できます。

ここからは日本自動車工業会(JAMA)が推奨するエコドライブの方法をもとに、燃費改善のコツを紹介していきます。

アクセルを優しく踏む「eスタート」

eスタートとは、急激な加速ではなく、ゆっくりとした加速で発進することです。

発進時の急加速は燃料を大量に消費してしまいますが、ゆるやかにアクセルを踏むことで燃料消費を抑えられます。

最初の5秒で、時速20kmが目安です。eスタートを心がけるだけで、約10%の燃費改善効果が期待できます。

加速・減速を少なくする

車間距離を保ち、前の車の動きに合わせてスムーズに加速・減速することで、ムダな燃料消費を減らすことが可能です。

車間距離が短くなると、ムダな加速・減速が増え、市街地では約2%、郊外では約6%程度の燃費が悪化します。また、渋滞を避けることで、加速・減速を少なくすることも効果的な方法です。

出かける前に渋滞情報をチェックし、渋滞の少ないルートを選ぶなど、スムーズな移動を心がけましょう。

減速時は早めにアクセルを離す

信号や前方の渋滞を見越して、早めにアクセルから足を離す方法も効果が高いです。

このエンジンブレーキの効果を利用することで、2%程度燃費を改善することができます。

ハイブリッド車でも、ガソリン車と同じレベルの減速力が発生するため、この方法は有効です。

Bレンジ(または、Sレンジ/Mレンジ)では、Dレンジに比べ、より強い減速力が発生するため、急な下り坂などにおすすめです。

上手にシフトポジションを選択することで、より低燃費が期待できます。

エアコンの使い方に注意する

エアコンの使用は燃費に大きく影響します。エアコンが必要ない時は、A/CスイッチをOFFにしましょう。

車の暖房は家庭用のエンジンとは異なり、エンジンの熱を利用して車内を温めます。暖房のみを必要とする場合は、A/CスイッチがOFFでも十分な暖かさを得られます。

ただし、フロントガラスなどがくもってきた場合は、A/CをONにして安全に運転できる環境をつくりましょう。

冷房を使用する際も、車内を過度に冷やさないように、高めの温度設定を心掛けましょう。

アイドリングを適正に調整する

アイドリング時にも燃料が消費されるため、適切に制御する必要があります。アイドリング時には、A/C OFFの場合でも、約10分間で約130ccの燃料を消費します。

例えば、子供のお迎えや荷物の積み下ろしなど、時間がかかる予定の場合にエンジンをずっとかけておくのは燃料の無駄遣いです。

長時間の停車中にはエンジンを切り、アイドリングを減らすことで燃費改善が期待できます。

また、最近の車では長時間のアイドリングによる暖機運転は必要ありません。マイナス20℃程度の極寒の地域を除いて、走行しながら十分に温まることを覚えておきましょう。

タイヤの空気圧を定期的にチェックする

タイヤの空気圧が適正値より不足すると、市街地で約2%、郊外では約4%燃費が悪化します。

なぜなら、適正ではない空気圧のタイヤは路面の抵抗が増えてしまうからです。定期的にタイヤの空気圧をチェックし、適正な空気圧を保つことをおすすめします。

また、空気圧と同時にタイヤの摩耗状態もチェックすることをおすすめします。

消耗したタイヤは燃費にも事故リスクにも影響があるため、こまめなタイヤチェックはエコな安全運転には必須です。行きつけのガソリンスタンドで「空気圧チェックをお願いします」と言えば、ほとんどの場合無料で対応してくれます。

毎回確認する習慣を身につければ、タイヤの空気圧への心配はないでしょう。

まとめ

ミニバンを選ぶ際、燃費の良さを重視する人は多いでしょう。

しかし、ファミリーユースを想定しているのであれば、居室の広さやシートアレンジの便利さなど、使い勝手の面も考慮することを忘れてはいけません。

また、燃料以外の維持費をしっかり把握しておくことや、日常的に燃費がいい運転を心がけることも大切です。

自身にとって最適なミニバンはどのような車なのか、総合的に検討することでより良いカーライフを目指しましょう。

[執筆:文生伊(あおい) 撮影:茂呂 幸正/小林 岳夫/堤 晋一]

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