時間が溶けるよぉ…スローライフ農業シム『Farm Together 2』がいくらでも遊べちゃって止め時がわからない!というプレイレポート

時間が溶けるよぉ…スローライフ農業シム『Farm Together 2』がいくらでも遊べちゃって止め時がわからない!というプレイレポート

今回はMilkstone Studiosが、2024年5月8日にSteamにてPC(Windows/Mac)向けに早期アクセスを開始したスローライフ農業シム『Farm Together 2』をご紹介します。

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『Farm Together 2』とは?

本作は、農場のオーナーとして土地を開拓していくシミュレーションゲーム。シムと言っても数字に縛られたガッチガチの管理モノではなく、全体的にのんびりとした雰囲気のいわゆる「スローライフ」を楽しむ方向性の作品です。

そう、スローライフのはずなんですよ。しかし実際のところ耕しては育ててに夢中で、気付けばトータル8時間くらいが一瞬で溶けていきました。タスクとして掲げられる達成目標の塩梅が絶妙で、「そろそろ一区切りだから、もうちょっとだけプレイしよ……」という心をくすぐられ、止め時が本当にわからない。

筆者のやや古いラップトップでも滅茶苦茶サクサク動作するため、快適すぎて逆に驚いていたり。

これはおそらく『あつまれ どうぶつの森』で狂ったように整地やリフォームに勤しんでいた頃とほぼ同じ心境で、別の角度から表現するならば『DEATH STRANDING』で無心に国道やジップラインを繋いでいた頃とほぼ同じ熱中ぶりと言えます。

画面分割で無理やりひとり二役プレイを試みて挫折した筆者の図。

そして“Farm Together”というくらいだから、協力プレイ必須なんでしょう?と思いきや、ソロプレイでも滅茶苦茶快適に遊べてしまいました。本記事執筆にあたり、編集部に「ぼっちライターが挑む大規模農場ソロプレイとかどうでしょう!?」とか息巻いて企画してたのに、結果はただただぼっちライターがひとり「土いじりの沼」へ静かに沈んで帰ってこれなくなっただけ……!

ともあれ人生を投げ捨て今日も畑に出かけましょう(訳:ともあれさっそく紹介してまいりましょう)。

操作・設定・言語について

本作の操作系はキーボード&マウスおよびコントローラーに対応。どちらでプレイしても大きな差異はありませんでしたが、個人的な好みとしては、コントローラーの方が遊びやすい手触りでしたね。

その他設定項目については、映像や音声などオーソドックスな項目が並びますが、ゲームやインタフェースといったユーザーアクセシビリティに関する部分はなかなか細かく調整可能でした。なお言語は画像の通りばっちり日本語表記。翻訳は問題なく、プレイに支障もありません。

本編開始

さあ始まりました『Farm Together 2』。今回はオフラインのソロを中心に触れていきます。筆者は前作を未プレイではあるものの、過去に『ルーンファクトリー』シリーズで正気を失ったことがあるので、事実上の農業経験者(自称)。本作でも立派な小作人として勤め上げてまいりましょう。

トップ画面から、「自分のファーム」を選択して農場へ移動します。ここで新しく始める際は、ソロかオンラインかを選択可能。後者の場合は、他のプレイヤーが自分の農場をどこまで弄ることができるのか、といった編集権限の設定も行えます。

なお「操作キャラクター」と「乗り物」の外見についても、トップ画面からカスタマイズ可能だったり。衣装や髪型の一部はゲーム進行によってアンロックされますが、それ以外についてはそこそこバリエーションがあるので自分のスタイルを追求すると良いでしょう。

という訳で今回は、過去ネットで悪事を働いた咎で農場主に転生したスパくんという脳内設定でキャラクリしてみました。つぶらなひとみに顎髭がチャームポイントのナイスガイ。イメージカラーの水色を大切にしていきたいですね(狂)。

やってまいりました我らが農場「ひよこパーク」。後ほど名前を変えられることに気づいた筆者により「げーむすパーク」というこじつけスタイルに変更されますがそれはまた別の話。

こじつけ。

ここからはチュートリアルに従い基本操作を学習しつつ、画面右上に表示された「クエスト」をこなしていきます。クエストをクリアすると報酬としてメダルや経験値が得られ、これらは今後の農場拡大に際して重要なので、なるべくクエストはこなしていくと良いでしょう。

ブラーエフェクトのせいでものすごい勢いでクワを振り回すように見える筆者。

本作の主な流れは「土地を耕し、種を撒き、水をやり、収穫する」という農作業のサイクルで得た資源をもとに「土地の購入、設備の拡充」を重ねて、農場をアップグレードしていくことにあります。

土地には正方形のマス目上に判定があり、キャラクターを動かして各マスを選択し、適宜アクションを行っていきます。農作物を得るための第一歩、まずは土地を耕して畑にしていきましょう。

ボタンを1回押して1マスを耕し、もう一度押して種をまき、さらにひと押しで水やりを行う……これであとは作物が育ち、収穫可能になるのを待つだけ、という状態にできます。こうして文字に起こすとなんだか面倒な工程に思えますが、実際はボタンを軽く連打するだけでサクサク作業が完了するので、むしろ楽しいプレイフィールでしたね。

しかし取り扱う農場の規模が徐々に大きくなってくると流石にそうもいきません。1マス1マス丁寧に作業していたら、現実世界でも日が暮れてしまいます。幸せのじょうろ(『ルーンファクトリー』の装備)あたりで一気に水やりをしたいな~……。

という、そんな時に便利なのがこちらの「トラクター」

このカンシンな農業機械に乗り込むと、自身を中心にした最大3×3の合計9マスに対してアクションを行えます。ボタン1回操作でアクション1回という部分はそのままですが、それが同時に9マスに対して適用されるのです。これは便利! しかもサクサク作業でもっと気持ちの良いプレイフィールに。

ただしここで気をつけるべきは「耕す」「種まき」といったアクションには、都度費用が発生するという点。序盤から自由に動けるからといって一気に拡大して大規模農場を目論むも、費用が尽きて種も買えねえという自体に陥ったのは誰あろう筆者です。

もちろん、そういった場合の救済措置もちゃんと用意されておりまして、単純に耕した畑を「リサイクル」というアクションによって元の状態に戻せば良いだけ。そうすることで、使用した費用も返金されるのです。

このリサイクルは他にも種まきなど、どのような形であれ「マスがアクションによって使用されている状態」に対して有効。そのことに気づいた筆者は、途中からデフォルトで敷かれていた舗装路などをリサイクルによって全て引っペ返して換金し、農場の拡大費用の足しにしていました。

さて、農作物の種にはそれぞれパラメータが用意されており、「購入費用」「植え付け期」「成長」「収穫量」「レベル」といった項目が並びます。ここらへん、どのパラメータを重要視して選択するかはお好みで良いと思います。

これ以外にも様々な動植物が購入可能ですが、基本的には農作物が主な収入源という印象。

筆者の場合、序盤は手探りでしたが、クエストをこなしていくうちに「成長」速度による効率、「購入費用」と「収穫量」の差額による儲けが大切であると気づき、以降はそれらを意識して作物を選んでいきました。

ただし注意点としては、季節によっては育てられない作物の存在と、成長速度は現実世界の時間を基準としている、ということ。成長速度の異なる複数の作物をうまいこと組み合わせないと、いつまで経っても安定した収入がないということになりかねません。

実際に例を挙げてみましょう。まずはこちらのレタスを御覧ください。これは種をまいてから10分で収穫可能になりますね。

では次にこちらのナスを御覧ください。育つまで12時間ですね。

・・・・・・・・・・・・・。

12時間!?

ええ、そうなんです。かぼちゃに至っては24時間です。

んなもん真面目にプレイしてたら時間がいくらあっても足りゃしねえ! そんな声が聞こえてまいります。筆者も最初はちょっとめまいがしました。しかしご安心を。これについてもちゃんと対策(?)が用意されており、「水やり」を行うことで成長速度を早めることができるのです。

画面左下の時間が数分短くなっていることがわかります。

作物の種類にもよるのですが、水やり一回で数分から数十分を短縮可能。またその水やり自体も一定時間経過後は再度行えるので、繰り返すことでかなりの時間短縮をできます。

畑の規模が大きくなると、端から端まで作業を終えるころには、いずれかの作物が収穫可能になっているので、体感としてはそこまで「待たされる」ということはありませんでした。ただし先程のナスやカボチャはそれでも1日がかりの大仕事だったりするので、序盤のメインウェポンとして選ぶのはおすすめしません。

「成長が早くかつ購入費用が安い作物」を予算が許す限り大量に購入して資源を蓄えていき、ある程度余裕が出てきたら、その分を「成長速度は遅いものの実入りの良い作物」にまわす……筆者はこれらの作物を勝手に「軽作物」と「重作物」と名付け、クエストをこなす傍ら、後者のロングスパンな成長期間のうちに、前者をガンガン回す(?)という手法をとって資金を貯めていきました。

フォトモードによる上空からの撮影

また、移動時間を短縮して少しでも生産性を挙げるために、土地にデフォルトで配置されていた「りんごの木」や「花」、魚の住まう「池」、鶏や豚の「畜産エリア」をメイン作業畑の周辺に移設。

土を弄り終えたら、木を揺らし、池に飛び込み、畜生(ひどい)と戯れて生産物を失敬し、ふたたび畑に舞い戻る……このサイクルが完成することで、途切れることなく次々と作物/ 生産物が回収可能になるので、記事冒頭で触れた「止め時がわからない」ということになっていくのです。そういった意味で本作の「ちょうど良い塩梅」を攻めたゲームデザインは秀逸だと感じます。

さて、ここからは農場の施設拡充について触れていきましょう。農作業を通じてレベルアップすると、作物などが徐々にアンロックされていきますが、施設や装備類も同じように解放されていきます。その後はコインやメダルといった、作業およびクエストによって得られた資源を使用して購入、という流れです。

先程のトラクターはデフォルト装備ですが、例えば時間ごとにダイヤを生成してくれる「風車」、トラクター用の「燃料タンク」、エンドコンテンツ的な立ち位置の「自宅」といったバリエーションがあります。さらにレベルを上げていくと地形自体を編集できる「テラフォーミング」機能も使用可能になったり。

この間取り、何か変……。

家の内部は、複数の部屋に分かれていて最初は備え付けの家具がちょこんと並ぶだけで殺風景ですが、新しく購入することが可能で、おそらく農作業とはまた別の角度で人を虜にする「沼」だと思います。

ある程度農場の規模が大きくなると、収穫した作物のストック量も増えてきます。しかし保管量が初期段階のままだと、あっという間にキャパオーバーで、余剰分はそのまま廃棄という大変もったいないことになってしまいます。

ここで活躍してくるのが「街」という別マップにてオープン可能な「店舗」であります。街では他のNPCも道を歩いており、ちょっとしたクエストをくれたりしますが、『ルーンファクトリー』的な恋愛・結婚といったシステムはなく、あくまでフレーバーテキストの延長という立ち位置ですね。

話を「店舗」に戻します。店舗は、街の特定箇所にてオープンが可能で、序盤は種類も限られていますが、ゲームの進行に合わせて様々な各作物に特化した専門店が登場。少し方向性は異なりますが、トラクターの性能を上昇させる店舗も存在します。さらにアップグレードすることで、各収穫物の保管量上限がUPし、また収穫物を渡すことで一定数の「ダイヤ」と物々交換することが可能ですね。

このダイヤは、農場の新しい土地購入や施設拡充にも使用される大変重要。そうなんです、ここでは今まで在庫を圧迫していた大量の収穫物がそのまま高火力な換金アイテム(?)となるのです。

とはいえクエストをバンバンこなして土いじりをガンガンしていたおかげで、ダイヤ交換に困ることはなく、結構なハイペースでエリアの拡大や各種施設の拡充を行えたのは良かったですね。

こうして執筆しながら本作を振り返ってみると、いつの間にか「止め時がわからなくなる」巧みなレベルデザインと、細かな部分まで丁寧に詰めたインタフェースおよび操作入力による「遊びやすさ」重視のデザインには舌を巻くものがあります。

もちろんトラクターの乗り降り無しに給油したり、報酬を受け取りたいなどの要求はあるものの、全体で見ればほぼ重箱の隅レベル。早期アクセスでいくらか制限された状態であるにもかかわらず、この完成度の高さと快適なゲームデザインは見事のひとこと。

この記事で本作に少しでも興味を持たれた読者の皆様におかれましては、いかがでしょう、筆者と一緒に人生を投げ捨てて明日も明後日も土いじりをしていきませんか?(澄み渡る夏空のような眼)

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