二階元幹事長3男が出馬を決意…世耕氏 “鞍替え” で「裏金議員の息子」と「裏金議員」が真っ向対決の保守分裂選に

和歌山県町村会から出馬要請書を受け取った二階伸康氏(左から2人目)

5月15日、自民党の二階俊博元幹事長の3男で公設第1秘書の伸康氏(46)が、次期衆院選の新和歌山2区から出馬する意向を固めたと報じられた。17日に記者会見を開き、正式表明するという。

「二階元幹事長は自民党の裏金問題に関連して、政治資金収支報告書への不記載が判明したことで、3月に次期衆院選への不出馬を表明しました。それを受け、和歌山県町村会が伸康氏に出馬要請していました。

二階元幹事長の後継をめぐっては、長男の俊樹氏との兄弟争いも報じられましたが、2016年にお膝元の御坊市長選で大敗した俊樹氏では危ういと、地元は判断したのでしょう。

伸康氏は大学卒業後、全日空に入社し、10年前から父親の秘書を務めています。父親の威光を笠に着ることが多い長男と違って、腰は低いですね。二階元幹事長も、これで気が楽になったのでは」(政治担当記者)

二階元幹事長は裏金が最多の3526万円だったにもかかわらず、引退表明によりおとがめなしとなった。こうした経緯もあり、3男出馬に対し、Xでは、批判が吹き荒れた。

《令和の時代に和歌山の殿様のつもりか 時代錯誤 こんなのが当選する時代はもう終わりでいい》

《もう庶民の苦しみ、苛立ち、世の不条理が分からない世襲は要らんって。違う選挙区でしか出馬できない制度を作ってくれ》

《二階の息子の世襲を許すな!》

この選挙でもうひとつ気になるのは、裏金問題で自民を離党した世耕弘成参院議員の動向だ。参院和歌山選挙区選出の5期目だが、衆院への鞍替えが噂されている。

旧安倍派のベテラン秘書がこう話す。

「世耕さんは鞍替えして新和歌山2区に出ますよ。次の衆院選が鞍替え出馬できる最後のチャンスですから。無所属での出馬になるでしょう。

元県議の楠本文郎氏が共産党公認で出馬するとはいえ、保守同士のガチンコ勝負で、大注目の選挙区になるはず。二階陣営は、以前なら勝負にならなかったかもしれないが、無所属の世耕氏になら勝てると踏んでいるようです」

一方の世耕氏はどう判断しているのか。前出・政治担当記者がこう指摘する。

「世耕氏は、5月の初め、和歌山県内のある首長に対して『無所属で衆院選に出る』と話したことが報じられています。さらに、世耕氏に近い地元政界関係者は、『二階さんの3男は初戦新顔なので、無理に出ても勝てる』と話しています」

自民を離党した世耕氏が、自民の公認候補になる予定の二階氏3男に勝負を挑んでもいいことはなさそうだが……。

「世耕氏は、選挙の段階で岸田政権が変わっていれば、ゴリ押しで出ても復党の可能性がゼロではないと見ているのかもしれません。

ただ、自民本部には個人の利益を優先させた行動と映るので、たとえ選挙区で勝ったとしても、復党への道のりは簡単ではないと思います」(前出・政治担当記者)

「裏金議員の息子」と「裏金議員」の対決。はたして勝負の行方はどうなるか。

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